調べ方マニュアル詳細
- 調べ方作成日
- 2007年09月03日
- 登録日時
- 2007/09/03 14:02
- 更新日時
- 2012/02/10 22:00
- 管理番号
- KUCL0016
- 調査テーマ
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完成
「漢文・漢籍資料」の調べ方(韻文編)
- 調べ方
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「漢文・漢籍資料」の調べ方(叢書編)で基本的な漢籍の検索方法を紹介しました。今回は漢籍資料の中でも韻文、つまり日本語でいうところの「漢詩」についての検索法を紹介します。
中国の韻文にはその読まれた時代や形式などによりさまざまな種類があります。一般に「詩」という時は、唐の時代を中心に流行した近体詩、その中でも「絶句」「律詩」を指す場合が多く、その詩が何文字ずつの句から構成されているかで「五言絶句」「七言律詩」などに分類されます。
また、『詩経』『楚辞』から始まり漢代や三国時代に詠まれた形式の定まっていない詩は「古体詩」と呼ばれ区別されます。
その他にも、宋代を中心に流行した「詞」、元代の「曲」などさまざまな種類・形式がありますので、どの時代・種類・形式に当てはまるのかを把握するのが重要となります。以下に「唐詩」を中心に説明します。
A.詩人、詩題などから探す場合
1.辞書・辞典類で探している資料の詳細を確認する。
基本的には(叢書編)で紹介したのと同様の作業です。もちろん『大漢和辞典』『中国学芸大事典』の2冊は必須です。
これに加え専用の辞書類として
『唐詩鑑賞辞典』 前野直彬編 東京堂出版 1970年
本館書庫 参考図書 921.43033-To72
『唐詩解釈辞典:校注』 松浦友久編著 大修館書店 1987年
開架 参考図書 921.43033-To72
『唐詩解釈辞典:校注 続』 松浦智久編著 大修館書店 2001年
開架 参考図書 921.43033-To72-続
『漢詩の事典』 松浦友久編著 大修館書店 1999年
開架 参考図書 921.036-Ka59
などもお奨めです。詩人・詩題などが分かっていればここから収録されている叢書を探すことができ、書き下し文や訳、鑑賞・解説などが見つかる場合もあります。
個人の詩集がない場合、あるいは所蔵がない場合にはその詩が詠まれた時代に合わせて以下のような資料を見ることになります(編者の後の年は当館所蔵・あるいはNACSIS Webcatで他館に所蔵が確認された資料の発行年で、成立年とは異なります。)
上古から隋まで
『先秦漢魏晋南北朝詩』 [リョク]欽立編 中華書局 1983年
所蔵なし
漢代から南北朝まで
『全漢三国晉南北朝詩』 丁福保編 全2冊 中文出版社 1979年
本館書庫 一般図書 921.4-Te21
唐代
『全唐詩』 彭定求・楊中訥 編纂 全8冊 復興書局 1961年
本館書庫 一般図書 921.43-Z3-1~8
宋代
『全宋詩』 北京大學古文獻研究所編 全72冊 北京大學出版社 1991年~
所蔵なし
これらは書名どおり、後世の人が現存の資料から詩を掻き集めたものです。その性質上膨大なものになっていますが、多くは巻頭や巻末に目録や目次、索引などがあるので、これらを見つけて有効利用することが近道です。
2.データベースを使って検索する。
最近はネット上に便利なデータベースもあるので活用しましょう。資料の性質上、中国・台湾のページが多く、説明も全て中国語なのが難点です。
『全唐詩』に関して言えば「寒泉」 http://140.122.127.253/dragon/ (2007/09/03確認) がお奨めです。「寒泉」は『全唐詩』以外にも『毛詩』(『詩経』)『論語』などの経書や『史記』『漢書』など史書類を中心にさまざまな漢籍の検索が出来、本文が表示されるので、コツさえつかめばかなり便利だと思います。利用法については 寒泉を使ってみよう http://www.shuiren.org/chuden/toyoshi/kansen/index-j.html (2007/09/03確認) が詳しいのでそちらをご参照ください。
検索結果から本文を探す場合、データベースの底本と所蔵している図書が違うと、ページや巻数なども異なってきますが、ほとんどの場合、収録の順番には大きな差はないので、前後の文章を見比べながら絞り込めば良いと思います。
3.見つからなかった場合
もし検索して見つからなかった場合には以下のことに注意して下さい。
ア.作者が複数の名前で呼ばれる場合
「長恨歌」で有名な白居易は字(あざな)が楽天と言い、白楽天と呼ばれることもあります。また香山先生・酔吟先生とも号していたそうです。資料によってはこのような別名を使って記述している場合もあるので見落とさないで下さい。
イ.詩題や詩句、作者に異同がある場合
詠まれてから相当時間も経っており、個人の詩集が今のように出版流通していた訳でもないので、諸本によって詩題や語句に多少の異同があります。
また作者に諸説あるものも少なくありません。例えば井伏鱒二の「花ニ嵐ノタトエモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ」の訳詩が有名な「勧酒」の詩は唐末期の詩人于武陵の作として知られていますが、『全唐詩』では同時代の詩人武[カン]の作としても全く同じ詩が収録されています。
このようなケースも踏まえ検索語をいろいろ変えてみるのがコツです。
B.詩句・熟語から詩を探す場合
まれに、詩句の一部を持ってきて、「この詩の全文を知りたい。」というレファレンスがあります。もしそれが「唐詩」であると限定できたなら、A.で紹介した「寒泉」が活躍します。これを応用すれば、「〈○○〉という語が含まれた唐詩にはどんなものがあるか知りたい。」という質問にも対応可能です。
また索引なども
『白氏文集歌詩索引』 平岡武夫, 今井清編 同朋舎 1989年
本館書庫 参考図書 921.43031-H19-上 中 下
『全唐詩索引』 「王維巻」「孟浩然巻」「賈島巻」など 欒貴明 [ほか] 編著
所蔵なし
などがあれば参考になると思います。
残念ながら『全唐詩』全ての詳細な索引は無いので、探している詩句が見つからないことも良くあります。
特殊な資料としては『佩文韻府』というものがあります。
『佩文韻府 : 索引本』 清聖祖敕撰 ; 王雲五主編 台湾商務印書館 1967年
本館書庫 一般図書 921.03-H15-1~7
この資料は、詩句を韻ごとに分けて並べたもので、同じ詩語が使われた詩句が時代の古いものから順に収録されています。巻末に画数索引があり、それで詩句を探していきますが、文字が相当細かく見つけるのに苦労すると思います。
- NDC
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- 詩歌.韻文.詩文 (921 9版)
- 参考資料
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漢詩の出典
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-asia-16.php (2012/02/10確認)
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漢詩の出典
- キーワード
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- 漢籍
- 韻文
- 漢詩
- 備考
- 登録番号
- 2000002499