調べ方マニュアル詳細
- 調べ方作成日
- 2015年02月02日
- 登録日時
- 2015/02/02 11:39
- 更新日時
- 2015/03/23 13:18
- 管理番号
- 国音2014-0009S
- 調査テーマ
-
楽譜探索・調査の基礎となる資料・情報
- 調べ方
-
「楽譜探索・調査の基礎となる資料・情報」を調べるには、
まず以下のように系統的に調査戦略を考えると
効率が良いかも知れません。
A.楽譜そのもの、様々な楽譜についての資料
B.楽譜エディションについての資料
C.楽譜を読む能力についての資料
D. A.B.C.の情報を含む資料
A.楽譜そのもの、様々な楽譜についての資料
調査の起点として以下の資料が役に立つ可能性が高いと思われます。
○本来なら参考図書類から書くべきかもしれませんが、本件においては
過去の調査等で実効性の高かった資料をまず挙げ、その後、参考図書類
について触れることとします。
『楽譜を読む本 : 感動を生み出す記号たち』(参考資料1参照)
*次の調査への起点として「主な参考文献・資料」p.221-222
が大変役に立ちます。又、楽譜問題を扱うレファレンサーに
とっては得がたい必読基礎文献表となっています。
学習者にとっては、この本で扱われた興味深い各テーマを
調査し、深める良い道案内になります。
B.楽譜エディションについての資料
調査の起点として以下の資料が役に立つ可能性が高いと思われます。
『知って得するエディション講座』(参考資料2参照)
*「あとがき」に記された"「完璧なエディション」など存在しません。
私たちにできることは、なるべくたくさんの情報を集め、それを元
にして自分で判断することなのです。" はレファレンサーにとっても
楽譜調査そのものにとっても最重要な指摘です。
*「序章 エディション早わかりガイド」に書かれている楽譜のエディション
の基礎知識、基礎用語[版、稿、原典版、実用版、解釈版、全集版、初版、
ファクシミリ版、スケッチ、手稿譜、筆写譜、清書、版刻、校正刷等には原語
も添えられていて大変便利です。]として、レファレンサーは正確な知識として
身につけ、楽譜や楽譜エディションについての質問に備えておく必要があります。
特に、当館では、自筆譜ファクシミリ版についての利用ニーズ/ディマーンズ
や質問がよくあり、又、検索結果にまで影響を与えてしまうことのあるファク
シミリ版については、口頭説明だけでは中々正確に理解していただけないので、
この本をまずは読んでいただくか、後で読んでおいてくださいと回答する場合
があります。
*主に鍵盤作品について書かれていますが、それ以外の楽譜探索や調査
にも広範囲に応用できる資料となっています。
C.楽譜を読む能力についての資料
調査の起点として以下の資料が役に立つ可能性が高いと思われます。
『楽譜を読むチカラ』(参考資料3.4.参照)
*この本の訳者あとがきには次のように書かれています。
この本の訳者が大学院で「エディション研究」を担当していると述べた上で、
"音楽学者がこの手の授業を担当すると、どうしても自筆譜や初版譜、原典版や
実用版の話になり、ついつい比較するだけに終わってしまう危険がある。演奏家の
卵たちには、やはり「楽譜を読むチカラ」を身につけてもらいたいし、またそのような
「チカラ」があってはじめて、さまざまな楽譜の比較も可能になるはずである。本書
でも原書にはなかった譜例を引用して、少しだけ版の比較をしてある。"
参考文献一覧p.225が次の調査の手がかりになる点は言うまでもありませんが、この本で挙げ
られている全ての譜例等が、原曲一点一点の楽譜を探し、手にとり調べ、知識・認識を深め、
ある時は分析し、比較し、あるいは演奏し、更に、他の楽譜を調べるときにも応用できる起点
になると考えられます。
D. A.B.C.の情報を含む資料
調査の起点として以下の資料が役に立つ可能性が高いと思われます。
『音楽の思考術 : より深く音楽を知るための実践的技法』
*特に、第Ⅰ部 楽譜をめぐって 第2部 演奏理論について が 本件と関係します。
◆以下のような音楽の図鑑類に掲載される譜例や図版、解説が調査の出発点として役に立つ場合もあります。
『世界の音楽大図鑑』(参考資料6参照)
*特に、「聖歌」や歴史的楽譜はその美しい形・色を見ながら、又、当時の文物(美術品、楽器)やゆかり
の建物等とともに見、解説を読むと当時の楽譜の機能や歴史的意味、文化的意味が親しく理解できます。
音楽や作品についての名言にも興味をそそられ、多角的、総合的に譜例を見ることができます。特に、
譜例や楽器等の要所、各部分につけられた引き出し線とポイント説明は大変的な的確で、歴史的な楽譜の
特徴や違いについて、その理解や認識、記憶をより深めてくれます。
学習者はもちろんレファレンサー必見の図鑑です。
*↑上記のような参考図書は、X-051(音楽図版、音楽史年表)に分類し、参考図書室に開架書架に排架し
ています。
◆音楽の百科事典と呼ばれることのある音楽参考図書の記述について
このジャンルで、当館で良く利用する日本の音楽参考図書2点を挙げます。
それらを楽譜に関する項目で調べますが、
楽譜に関する項目とは、
「楽譜」「記譜法」「五線譜」「楽譜の印刷と出版」「総譜」「譜表」「原典版」等です。
[↑これらは他の音楽参考図書の項目になったり、ネットや
OPACの検索語[キーワード]となる可能性があります。]
『ニューグローヴ世界音楽大事典 』(参考資料7参照)
*上述したような楽譜に関する項目を調べる他に、次の調査の手がかりを得るため
別巻2「参考文献」を調べる必要がある場合もあります。
*この事典は大項目主義なので、楽譜に関係する言葉が項目になって
いない場合には、索引からも調べ、本当に記述がないか確認する
必要があります。(ex:楽譜中に記載される音楽用語)
○楽譜に限らず主に英語での説明、最新情報を調べる等の場合は、
Oxford Music Online(ニューグローヴ世界音楽大事典(The New Grove
Dictionary of Music and Musicians)の英語版第2版を含む)を検索します。
『音楽大事典』(参考資料8参照)
*索引の活用が必要な場合もあります。
*↑上記のような参考図書は、X-001(音楽百科事典(日本語))に分類し、参考図書室に開架書架に排架し
ています。
*楽譜中に記載される音楽用語等は、X-010(楽語・事項事典)に分類し、参考図書室に開架書架に排架
しています。
必要に応じ、以下のデータのご参照もお願いします。
音楽用語を調べる 2 (2013年) 2006年10月24日一般公開版続編(国音2012-0002S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000020839
◆当館OPACで日本語の「楽譜探索・調査の基礎となる資料」を探す場合
・当館OPACの基本的な使い方については
当館ホームページ - 所蔵資料・情報検索 - 使い方ガイド
OPACの使い方
http://www.lib.kunitachi.ac.jp/webopac/kcmlopacguide/2.pdf
の
ご参照をお願いします。
・まず、和書にチェックを入れた上で
タイトル に 楽譜 と 入力し、フレーズ検索します。
すると、2015年2月2日現在で、269件のヒットがあることが分かります。
次に、スタイルをクリック、降順をクリックすると、新しい順に
並びが変わります。
更に、[逆年代順に並んだ]一覧の中から、本件に関係がありそうな図書を
目で選びます。
一覧して調査に役立ちそうな図書は以下の通りです。(2015.2.2現在)
『楽譜でわかるクラシック音楽の歴史 : 古典派・ロマン派・20世紀の音楽 :
作曲家が得意とした音楽様式上の特徴を読み解く / 広瀬大介著』
『「原典版」で弾きたい!モーツァルトのピアノ・ソナタ : 楽譜選びから演奏法まで / 久元祐子著』
『楽譜の文化史 / 大崎滋生著』
『楽譜の世界 / NHK交響楽団編』3冊 (1, 楽譜の本質と歴史 2, 音楽の現場と楽譜 3, 日本と世界の楽譜
『楽譜の歴史 : ヨーロッパ記譜法の変遷 / 皆川達夫著』
◆音楽史〔日本音楽史含む〕、世界音楽、民族音楽、音楽教育関係の資料の中に譜例や音楽・楽譜解説が掲載される場合があります。
◆当館OPACでの自筆譜ファクシミリの探し方
・当館OPACでは、自筆譜等(autograph, holograph etc)は、検索語としては不安定[目録データにない場合も
ある等の理由]なので、利用しておりません。
・むしろ、件名に含まれるManuscriptsを重要な検索語として使用しております。
・以下のデータ中に具体的な検索語使用方法を書いております。ご参照をお願いします。
国立音楽大学附属図書館の自筆譜ファクシミリを見たい。(国音2014-0004)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000153665
Bach, J.S.:Inventionen und Sinfonien( バッハ, J.S.:インベンションとシンフォニア )
(国音2011-0067S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000019301
Bach, J.S.:Clavier-Büchlein vor Wilhelm Friedemann Bach
(バッハ J.S.:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集)(国音2011-0068S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000019302
ベートーヴェン自筆譜ファクシミリや原典版、全集楽譜(国音2013-0004S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000022398
ショパンの楽譜(国音2011-0016S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018844
*Urtext(原典版)、手稿譜ファクシミリの探し方等にも触れています。
図形楽譜(国音2011-0023S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018961
五線譜以外のハーモニカの楽譜 (国音2011-0045S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018999
◆グレゴリオ聖歌やネウマ譜の場合は、〔事前調査が必要だったり〕更に工夫して検索する必要があります。
以下をご参照願います。 〔グレゴリオ聖歌等には"Ave Maria"が含まれます。〕
グレゴリオ聖歌(国音2011-0001S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000017599
ネウマ譜関係資料(国音2011-0017S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018847
◆歌曲関係
イタリア歌曲(イタリア声楽曲/イタリア古典声楽曲/イタリア古典歌曲/イタリア近代歌曲)(国音2011-0004S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018745
ドイツ歌曲(国音2011-0005S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018746
日本歌曲(国音2011-0006S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018748
荒城の月(国音2014-0011S) 〔調べ方マニュアル〕
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000023369
「荒城の月」の瀧廉太郎の原曲と山田耕筰版の異同について調べたい(国音2011-0008)〔レファレンス事例〕
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000097333
宗教歌曲(声楽 独唱曲)(国音2011-0007S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000018749
Ave Maria(アヴェ・マリア)(国音2013-0006S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000022503
*Ave Mariaの楽譜を含む当館所蔵Ave Maria関係資料の探し方を総合的に案内する
「調べ方マニュアル」です。Ave Mariaに関しての当館各レファレンス事例への
リンク等も収載しています。
◆自筆譜、手稿、自筆譜ファクシミリ、手稿ファクシミリ等を含む以下の展示をいたしました。
2014年12月16日~2015年1月29日 美しい手稿の世界
http://www.lib.kunitachi.ac.jp/tenji/2014/tenji1412.pdf
展示の企画、パンフレット作成等にあたり、以下の資料を活用させていただきました。
『貴重書解題目録 : 国立音楽大学附属図書館所蔵』(参考資料9参照)
◆展示にあたり以下の目録情報も利用いたしました。
当館ホームページ - 所蔵資料・情報 ― 特別資料 - 貴重資料の概要
http://www.lib.kunitachi.ac.jp/collection/toku/rare_list.aspx
*なお、企画展示等以外の通常利用は原本ではなくマイクロフォーム等でのご利用をお願いしております。
ご注意のほどお願い申し上げます。
◆「絵と音楽」も楽譜と関係深いテーマです。
"絵と音楽"(国音2012-0005S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000022100
- NDC
-
- 音楽 (760)
- 音楽の一般理論.音楽学 (761)
- 参考資料
-
-
1
タイトルと著作者 楽譜を読む本 : 感動を生み出す記号たち / 沼口隆〔ほか〕共著
出版社・発行年 東京 : ヤマハミュージックメディア, 2010
形態 223 p. ; 19 cm.
注記 文献あり -
2
タイトルと著作者 知って得するエディション講座 / 吉成順著
出版社・発行年 東京 : 音楽之友社, 2012 -
3
タイトルと著作者 楽譜を読むチカラ / ゲルハルト・マンテル著 ; 久保田慶一訳
出版社・発行年 東京 : 音楽之友社, 2011
形態 230 p. ; 21 cm.
注記 文献あり
翻訳:
Interpretation : vom Text zum Klang / Gerhard Mantel -
4
タイトルと著作者 Interpretation : vom Text zum Klang / Gerhard Mantel
シリーズ Studienbuch Musik
出版社・発行年 Mainz : Schott, 2007
形態 264 p. : ill. ; 21 cm.
注記 Includes index
翻訳:
楽譜を読むチカラ / ゲルハルト・マンテル著 ; 久保田慶一訳 -
5
タイトルと著作者 音楽の思考術 : より深く音楽を知るための実践的技法 / 村田千尋著
出版社・発行年 東京 : 音楽之友社, 2000
形態 173 p. ; 21 cm.
注記 文献あり 索引あり -
6
タイトルと著作者 世界の音楽大図鑑 / ロバート・ジーグラー,スミソニアン協会監修 ; 秋吉康晴〔ほか〕訳 ; 木杳舎日本語版編集 ; 金澤正剛日本語版監修
出版社・発行年 東京 : 河出書房新社, 2014
形態 400 p. ; 31 cm.
注記 年表あり 索引あり
翻訳:Music -
7
タイトルと著作者 ニューグローヴ世界音楽大事典 / Stanley Sadie〔ほか〕編
出版社・発行年 東京 : 講談社, 1994~1995
形態 23冊 ; 31 cm.
注記 総監修: 柴田南雄,遠山一行 編集:第一出版センター 発売:文献社 付 (別冊 15p 30cm) :略語・略号総覧
翻訳:The New Grove dictionary of music and musicians / edited by Stanley Sadie -
8
タイトルと著作者 音楽大事典
出版社・発行年 東京 : 平凡社, 1981~1983
形態 6冊 ; 27 cm. -
9
タイトルと著作者 貴重書解題目録 : 国立音楽大学附属図書館所蔵 / 国立音楽大学附属図書館編
出版社・発行年 〔立川〕 : 国立音楽大学, 2007
形態 73P ; 27 cm.
注記 並列タイトル: An annotated catalogue of rare musical items in Kunitachi college of music library
2006国立音楽大学創立80周年記念出版
索引あり
-
1
- キーワード
-
- 自筆譜
- 初版
- 原典版(urtext)
- 版
- 稿
- 実用版
- 解釈版
- 全集版
- エディション比較
- ファクシミリ版
- スケッチ
- 手稿譜(manuscripts)
- 筆写譜
- 清書
- 版刻
- 音楽図鑑
- 校正刷
- 自筆譜
- 備考
- 登録番号
- 2000023323