調べ方マニュアル詳細
- 調べ方作成日
- 2012年12月26日
- 登録日時
- 2012/12/19 12:18
- 更新日時
- 2019/03/28 12:03
- 管理番号
- 千県中参考調-2012-003
- 調査テーマ
-
完成
読本(よみほん)の派生作品を調べる ―「南総里見八犬伝」を例に―
- 調べ方
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江戸時代後期に流行した伝奇小説「読本(よみほん)」の影響について、歌舞伎や浮世絵、映画等になった情報を調べる方法を、千葉県が舞台になっている曲亭馬琴作『南総里見八犬伝』を例にご案内します。
目次
1 キーワード
2 原作の概要を調べる
3 歌舞伎作品を調べる
4 浮世絵を探す
5 映画作品を調べる
6 インターネットで調べる
1 キーワード
図書を探すときに便利なキーワードです。
「読本」(よみほん)、「歌舞伎」、「浮世絵」…、作品名(「南総里見八犬伝」)、作者名(「曲亭馬琴」)
作品名には略称や愛称(「八犬伝」、「里見八犬伝」等)、人名には別名(「滝沢馬琴」等)がある場合もあります。
蔵書検索をするときには、共通することば(「八犬伝」、「馬琴」)で探すと、すべてを一度に探すことができます。
なお、キーワード「読本」(よみほん)で本を探すときは、ひらがなの「よみほん」で検索すると一般件名「英語-読本(どくほん」)等の不要な情報を避けることができます。
2 原作の概要を調べる
原作の概要を知りたいときには、百科事典、文学事典や、原作の分野(読本)についてまとめられている事典類を調べてみましょう。
<こんな資料があります> [ ]内は千葉県立図書館での請求記号です。所蔵館 中:千葉県立中央図書館、西:千葉県立西部図書館、東:千葉県立東部図書館
・『日本大百科全書 1~25』(小学館 1984~1989) ※西、東:2版 1994)[中 031/N71/1~25] [西 0310/41/1~25] [東 031/1/1~25]
例えば『南総里見八犬伝』については17巻p623に「南総里見八犬伝」の項、7巻p23に「曲亭馬琴」の項があり、概要がわかります。
・『日本古典文学大辞典 第1巻~第6巻』(日本古典文学大辞典編集委員会編 岩波書店 1983~1985)[中 9103/N71/1~6] [西 9102/46/1~6] [東 9102/51/1~6]
近世末までを対象とし(一部明治期以降を含む)、事項、人物、作品、編著等の項目約13,000を収録する文学事典。梗概(こうがい)、内容、特色等のほか、諸本、翻刻(ほんこく)、参考文献の情報も掲載されています。
例えば『南総里見八犬伝』については4巻p571~573に「南総里見八犬伝」の項、2巻p209~211に「曲亭馬琴」の項があり、作品のあらすじや作者の生い立ちがわかります。
・『読本事典 江戸の伝奇小説』(国文学研究資料館,八戸市立図書館編 笠間書院 2008) [中 91356/7]
読本の歴史と概説・作品解題、図版等が掲載されています。
例えば『南総里見八犬伝』についてはp112~119に「南総里見八犬伝」の項があり、概説や挿画、内容、形式、構成等についての解説があります。
原作の本文を読みたいときには、千葉県立図書館ホームページの「図書・雑誌・視聴覚資料検索」で、検索項目の「書名」に作品名を、「著者名」に作者名を入力して検索します。(例えば、書名に「八犬伝」、著者名に「馬琴」と入力して検索します。)
現代語訳で読みたいときには、「訳」、「現代語訳」と表示されているものを探します。
<こんな資料があります>
・『南総里見八犬伝 1~12』(曲亭馬琴[作] 浜田啓介校訂 新潮社 2003~2004 新潮日本古典集成) [中 C935/タハ4/1~12] [東 91356/47/1~12]
ルビ付き、大きめの文字と広い行間で読みやすい全12巻。原作の口絵、挿絵がすべて収録されています。
・『現代語訳南総里見八犬伝 上、下』(曲亭馬琴[作] 白井喬二訳 河出書房新社 2004 河出文庫) [中 C935/タハ6/1~2] [東 91356/54/1~2]
伝奇小説の名手白井喬二が、読みやすい抄訳でまとめた現代語訳版です。
原作に関する本(研究書)を探すときには、検索項目の「一般件名」に作品名(例えば「南総里見八犬伝」)を入力し検索します。また、作者に関する本(伝記)を探すときには、「個人件名」に原作の作者名(『南総里見八犬伝』の場合は「馬琴」)を入力して検索します。
<こんな資料があります>
・『八犬伝・馬琴研究』(播本眞一著 新典社 2010 新典社研究叢書) [中 C935/ハシ1] [東 91356/92]
『南総里見八犬伝』を中心に、曲亭馬琴と、馬琴の著作についての論考を集めた研究書。『南総里見八犬伝』の構想とテーマ、典拠、曲亭馬琴という号についてなどが考察されています。
・『活劇巨編『里見八犬伝』大評判 ベストセラー作家滝沢馬琴の栄光と苦悩』(小西聖一著 井上正治絵 理論社 2009) [中 J913/コセ] [中 C935/コセ1]
28年という歳月をかけて長編『南総里見八犬伝』を完成させた滝沢馬琴の栄光と苦悩の人生を紹介。当ときの出版界の様子、読本の位置付けもわかります。小学校中学年以上向けにわかりやすく書かれています。
3 歌舞伎作品を調べる
歌舞伎になった作品を調べる事典があります。
<こんな資料があります>
・『歌舞伎名作事典 新装版』(金沢康隆編 青蛙房 2009) [中 77403/7]
例えば『南総里見八犬伝』についてはp230~231に「八犬伝」の項があり、「花魁莟八総(はなのあにつぼみのやつぶさ)」や「里見八犬士勇伝」の題で劇化されたことがわかります。
・『歌舞伎事典 新訂増補』(服部幸雄,富田鉄之助編 平凡社 2000) [中 77403/3] [西 77403/1] [東 77403/5]
例えば『南総里見八犬伝』についてはp197に「里見八犬伝物」の項があり、歌舞伎に取り入れられた場面についてや、客入り、評判についての解説もあります。
4 浮世絵を探す
浮世絵の情報を調べる事典があります。原作の作品名からその作品を題材に描いた浮世絵の画家名を確認し、その画家の絵が収録されている画集を探します。
<こんな資料があります>
・『浮世絵大事典』(国際浮世絵学会編 東京堂出版 2008) [中 7218/60]
例えば『南総里見八犬伝』についてはp366に「南総里見八犬伝」の項があります。
・『定本 浮世絵事典 上・中・下巻』(吉田暎二著 画文堂 1977) ※西:第2版(1990)、東:第3版(1994) [中 7218/Y86/1~3] [西 7218/1/1~3] [東 7218/4/1~3]
例えば『南総里見八犬伝』については中巻p313に「南総里見八犬伝」、下巻p18に「八犬伝の内 芳流閣(ほうりゅうかく)」の項があります。
・『原色 浮世絵大百科事典 第1巻~11巻』(日本浮世絵協会編 大修館書店 1980~1982)(東部所蔵:1,6,7,8,10のみ) [中 7218/G34/1~11] [西 7218/3/1~11] [東 7218/41/1~10]
第11巻に事項索引、人名索引があります。
例えば『南総里見八犬伝』については、4巻(説話・伝説・戯曲)p112に「南総里見八犬伝」の項があります。また、9巻(作品4;広重~清親)p20~21に歌川国芳画「八犬伝之内 芳流閣(ほうりゅうかく)」、p79に大蘇芳年(たいそよしとし)画「一魁随筆 犬塚信乃 犬飼見八」、p82~83に大蘇芳年(たいそよしとし)画「芳流閣両雄動」がカラーで掲載されています。
・『浮世絵レファレンス事典』(日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ 2010) [中 7218/72] [東 7218/136]
美術全集に掲載されている浮世絵を画家名から検索できる索引事典です。
・『日本美術作品レファレンス事典 絵画篇 浮世絵』(日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ 1993) [中 7021/N71/1(2)] [西 7021/38/2] [東 7021/5/1-3]
『日本美術作品レファレンス事典 第2期絵画篇 近世以前・浮世絵・近現代』(日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ 2006) [中 7021/9/1-2] [東 7021/5/06-1]
国内で刊行された美術全集に収録されている作品を画家名、作品名から調べることができる索引事典です。1945~1991年刊行の美術全集を調べられる「絵画 浮世絵篇」と、1991~2006年刊行の美術全集を調べられる続編「第2期絵画篇 近世以前・浮世絵・近現代」の2冊があります。
・『復元浮世絵大観 10 豊国・国貞・国芳』([歌川豊国ほか画] 集英社 1979)帙入24枚,別冊付録解説付き。 [中 7218/F74/10]
一枚もの形で複製した浮世絵24枚、別冊付録解説付き。
『南総里見八犬伝』の中でも著名な場面「芳流閣」(国芳画)と、「ふぐ」(広重画)、「仙人」(三代豊国画)の三作品を一図中に取り合わせた大判錦絵が収録されています。
5 映画作品を調べる
映画になった作品を調べる事典類があります。
<こんな資料があります>
・『日本劇映画総目録 明治32年から昭和20年まで』(朱通祥男編 永田哲朗監修 日外アソシエーツ 2008) [中 77821/93] [東 77821/366]
映画のタイトルの五十音順に配列。封切年月日から探せる「封切順作品一覧」付きです。
例えば『南総里見八犬伝』についてはp531~532に「里見八犬伝」の題で10本、p891に「南総里見八犬伝」の題で2本、p961に「八犬伝」の題で5本の映画の情報が掲載されています。
・『日本映画原作事典』(スティングレイ,日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ 2007) [中 77821/91] [西 77821/24] [東 77821/357]
巻末に原作から映画が引ける「原作名索引」があり、原作名と異なったタイトルで映画化された情報も調べられます。
例えば『南総里見八犬伝』については原作名索引を「南総里見八犬伝」で引くことで、p276~277に「里見八犬伝」が9本、p350に「新八犬伝」が1本、p685に「妖雲里見快挙伝」が2本掲載されていることがわかります。
・『日本映画作品辞典 戦前篇 第1巻~第5巻』(日本映画史研究会編 科学書院 1996) [中 77803/2/1-1~5] [西 7780/56/1-1~5] [東 77803/5/1-1~5]
『日本映画作品辞典 戦後篇 第1第1巻~第6巻』(日本映画史研究会編 科学書院 1996) [西 780/56/2-1-1~6] [東 7803/5/2-1-1~6]
日本で上映された映画について、タイトル(邦題)の五十音順に配列した辞典です。俳優名索引、スタッフ名索引付き。戦前篇(全5巻)と戦後篇(全6巻)があります。
例えば『南総里見八犬伝』については戦前篇 第2巻p815~816に「里見八犬伝」が7本、戦前篇 第3巻p1488に「八犬伝」が3本掲載されています。
・『日本映画索引』(細谷勝雄編 創栄出版 1993) [中 778/H95]
日本で上映された映画について、タイトル(邦題)の五十音順に配列した辞典です。
例えば『南総里見八犬伝』についてはp229に「里見八犬伝」8本の情報が掲載されています。
6 インターネットで調べる
●国立国会図書館サーチ(デジタル資料) http://iss.ndl.go.jp/
国立国会図書館が運営する情報検索サイトです。「簡易検索」で「デジタル資料」を選択、「詳細検索」では「デジタル資料」のみにチェックを入れることで、国内各機関が公開するデジタルアーカイブを統合検索することができます。
●国立国会図書館デジタル化資料 http://dl.ndl.go.jp/
国立国会図書館が所蔵する貴重書等から特色ある資料を取り上げ、カラー画像で表示するデータベースです。
●国文学研究資料館 http://www.nijl.ac.jp/
「電子資料館」のページには書誌・目録データベース、本文データベース、画像データベースがあり、国文学関係の論文の検索、古典籍の書誌・所在情報の検索、古典籍中の人物画像の検索などができます。
●国立劇場 文化デジタルライブラリー http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/
「公演記録を調べる」では国立劇場、国立文楽劇場、国立能楽堂、国立演芸場においてこれまでに上演された 歌舞伎、文楽、能・狂言などの自主公演に関する情報を検索できます。
「収蔵資料を見る」では国立劇場の所蔵資料から芝居絵の錦絵等を見ることができます。
●早稲田大学演劇博物館デジタルアーカイブ http://www.waseda.jp/enpaku/db/
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館所蔵の資料を総合的に検索できます。「里見八犬伝」と検索すると、浮世絵も閲覧できます。
●館山市「さとみのふるさと」 http://www.city.tateyama.chiba.jp/satomi/contents/contents.html
館山市立博物館所蔵の『南総里見八犬伝』にまつわる錦絵を見ることができる「里見八犬伝デジタル美術館」や、物語のあらすじ、「里見氏を調べよう・資料編」など、『南総里見八犬伝』に関する情報が数多く掲載されています。
●菜の花ライブラリー「千葉県デジタルアーカイブ」 https://www.library.pref.chiba.lg.jp/nanohana/
千葉県立中央図書館で所蔵する貴重書の中から錦絵や絵地図、南総里見八犬伝関係資料や房総数学文庫など、主に千葉県に関する資料を公開しています。
(インターネット最終アクセス:2019年3月27日)
所蔵状況は2012年12月現在です。
- NDC
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- 小説.物語 (913 9版)
- 歌舞伎 (774 9版)
- 日本画 (721 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 読本(よみほん)
- 歌舞伎
- 浮世絵
- 「南総里見八犬伝」
- 曲亭馬琴
- 備考
- 「調べ方案内(パスファインダー)読本(よみほん)の派生作品を調べる ―「南総里見八犬伝」を例に―」(http://www.library.pref.chiba.lg.jp/reference/pathfinder/pf_hakkenden201212.pdf)より
- 登録番号
- 2000021703