探し方ガイド:Der Lindenbaum の 日本語歌詞、対訳を探し、調べるには?
1.探すときのキーワード(例)
”Der Lindenbaum”"Die Winterreise "「菩提樹」「冬の旅」
当館OAPC
→タイトル に ”Winterreise ”又は「冬の旅」 と 入力し、検索 又 ”Der Lindenbaum”
又は「菩提樹」とも入力し、各々検索
*適宜、人名・団体名 に Schubert又はシューベルト を入力し、掛け合わせ検索する必要があります。
*楽譜は、日本の出版社を選ぶとほとんど全ての楽譜に日本語歌詞又は訳詞が掲載されています。
*日本語歌詞のものの方が少ないので、現資料で確認する必要があります。その際、注記の歌詞:日本語
や著作責任に入力される「日本語」という記述は参考になります。
*CD等も、日本から出されているものについては、ほとんど全て訳詞がつけられます。又、輸入盤であって
も、国内発売するものには訳詩がつけられます。
*図書に限定する場合は、資料種別の和書にチェックを入れて、検索します。この場合は、タイトル検索を
必ずフレーズ検索としておきます。
◆当館OPACも含めた日本語歌詞の探し方のレファレンス事例として、
W.Müller/Schubert:Der Lindenbaum (ミュラー/シューベルト:菩提樹他)の 日本語歌詞 や 日本語の
曲名 を 調べたい
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000127814 をもご参照ください。
(↑は、日本語歌詞のみです。「菩提樹」以外の日本語曲名は検索語のヒントになりますが、歌詞としていない
訳詞も含めて探す場合は、本データの探し方を参考にしてください。)
◆日本歌詞ではない[歌うことを想定しない]訳詞を探す場合にも、まず日本語歌詞のある資料を探し、日本
語歌詞の他に対訳、直訳等がないか調べます。
◆当館OPACで検索しにくい日本語歌詞、訳詞としては、音楽教科書やその指導用資料の中に収載されて
いるものがあります。
Schubert/シューベルトやDer Lindenbaum /菩提樹では、ヒットしないので、音楽教科書名や、指導用資
料名等をOPACで検索し、一つ一つ収載状況を調べる必要があります。
◆ネットでも、文献にまだなっていない方の優れた訳を見つけることができます。
2.調べるときのキーワード
”Der Lindenbaum”"Die Winterreise "「菩提樹」「冬の旅」
①『世界の歌を美しい日本語で』 日本訳詩家協会創立45周年記念出版委員会編 ; 長田暁二監修・解説
日本訳詩家協会, 2007
*同書のp124-125には、近藤朔風 詞と兼常清佐 詞が掲載されており、「泉に沿いて 茂る菩提樹…」が
近藤氏によるものであることがわかります。なお、近藤氏による歌詞も楽譜により異同があると、ブログ:梅丘
歌曲会館「詩と音楽」 2008.2.14 甲斐貴也の「シューベルト「菩提樹」 訳詞:近藤朔風(1880.2.14生ま
れ) 」の記事で指摘されています。
②「Der Lindenbaum 菩提樹」『シューベルト:冬の旅 Schubert:Winterreise』 [楽譜]p21-25
[原詩直訳]p84-85 Tokyo : Ongaku no Tomo sha, 1967 請求記号:F20-879
*大木惇夫 伊藤武雄 訳詞(日本語歌詞)、 高橋英夫(原詩直訳)が付されています。
③「ゆかしの光(菩提樹) Der Lindenbaum」『特撰著名合唱曲集』 p26-28 中田章校閲
東京 : 新響社, 大正10 [1921] 請求記号:F2-350他
*林古渓 作歌、と記述されています。日本語歌詞ではありますが、原詩の意味、詩語からは
かけ離れた内容となっています。原詩は、初句から”..., hier find'st dei-ne Ruh' hier find'st
dei-ne Ruh”までを引用していますが、日本語歌詞は3番までつけられています。
三部合唱(Trio)の部に収載されています。13 × 19 cmの横長楽譜です。大正11 [1922]
に改訂版(請求番号:F19-073)が出されますが、当館所蔵のものは、縦長の楽譜・普通サイ
ズです。
④シューベルト原作 ; 大塚淳編曲 「科の木」 東京 : 共益商社, [1928] 請求記号:F11-211
*單聲三部合唱曲への編曲版です。飯田忠純 譯詞となっていますが、詩の連の関係からも必ずし
も忠実な訳とは言い難い面が見られます。しかしながら、見出しの並列タイトルに ”Der Lindenbaum”
を置き、表紙に "原名 デル・リンデンバウム"と記述している点は、タイトルへの拘りとして、注目すべ
き点かも知れません。第1節は、「泉のほとり 立てる科の木」と始まり、歌詞は3番まであります。
⑤『冬の旅 : 24の象徴の森へ』 梅津時比古著 東京 : 東京書籍, 2007
*目録データに、対訳や訳と記されているものは、調査の目星がつけやすいのですが、中にはこの本の
ように、大変優れた訳詩が付けられながら、目録データに記述され難いものもあるので、悉皆調査の場合
は、やはり現資料を全て見て判断するしかありません。
⑥『菩提樹はさざめく』 三宅幸夫著 東京 : 春秋社, 2004
*⑤と同様です。
◆”Der Lindenbaum”は"Winterreise "の第5曲目ですが、独立して歌われることも多い曲です。歌曲の
みならず、比較的早い段階で、合唱編曲され、次第に民謡化したという指摘もよく見られます。当館所蔵
資料もその一端を示し、それらは又、日本語歌詞、訳詞等へ影響を示すとも考えられるので、今後の調
査・研究を待ちたいところです。
◆日本語の題名は「菩提樹」で定着した感が見られますが、元々、詩人Müller, Wilhelmが書いた”Der
Lindenbaum”は、リンデン(和名:西洋菩提樹)であり、一般の日本人がどうしても思い描いてしまう東
洋の「菩提樹」[インドボダイジュ]とは、別種であることがWeb等で指摘されており、原詩から考えると
「菩提樹」という曲名はふさわしくないのでは?という指摘も現れつつあります。
◆訳詞として、歌詞を楽譜中に、更に、巻末に直訳を付ける楽譜もあります。
◆楽譜部分以外の場所、巻末等に書かれる訳詞やCDや図書中の訳詞は、歌詞として歌える確率は大
変低いと言えます。