2015年に国宝指定された松江城について書かれた資料のうち、主なものを紹介する。
ここに紹介した資料以外については、キーワードや件名に「松江城」を入力して検索すると多数出てくる。
①『松江市史 別編1 松江城』松江市史編纂委員会/松江市/2018年-松江城について網羅的に解説。築城整備、石垣、城郭施設、城下町の造成など。また資料を豊富に掲載。絵図、城下町遺跡、石材・石垣・瓦、文献資料、松江城伝来資料など。
②『増補 松江城物語』島田成矩/山陰中央新報社/1999年-松江の歴史、松江城と城下町、松江藩主などについて紹介する。第2章「松江城物語」では城地の選定から築城、松江城の特色などについて解説。
③『山陰文化ライブラリー4 松江城と城下町の謎にせまる-城と城下の移り変わり-』石井悠/ハーベスト出版/2013年-松江城と城下町について、発掘や資料によって明らかになったことをまとめる。天守のみならず御殿や門などの周辺施設についても解説。
④『松江市ふるさと文庫23 石が語る松江城の物語』澤田順弘/松江市歴史まちづくり部史料編纂課/2019年-松江城を「石」の視点から解説する。松江城の石垣の石材からその産地などを探る。
⑤『松江城研究』1号・2号/松江市教育委員会/2012年・2013年-1号は松江城調査報告会の報告および論文で構成。報告会は、松江城研究の最前線と城郭・縄張りなどについての報告を収録。2号は再発見された祈祷札についての報告と科学的調査、および種々の論文が収録されている。
⑥『松江城調査研究集録』1号~(以下続刊)/松江市/2013年~-『松江城研究』1号に収録されていた「松江城調査報告会」の報告を中心に構成。1号では再発見された祈祷札の報告が、2号ではその祈祷札の貼り付け位置の特定についての報告が収録されている。
⑦『松江城関係資料集』1号・2号/松江市/2018年・2019年-1号は「松江城天守実測図」として城戸久氏調査図面を収録。昭和12年に近世城郭建築研究の第一者である城戸氏が松江城の現地調査を行なった。昭和25~30年の昭和の大修理以前の松江城の姿を知る貴重な資料。2号は「松江城天守古材調査記録」として、昭和25年~30年に行われた大修理の際に交換され、保存されていた古材の調査記録(平成29~30年実施)。古材すべてを写真撮影し、墨書があるものは赤外線写真撮影・解読・実測トレースなどを行っている。古材の墨書により年紀や大工名などを知ることができる。
【松江城についての調査報告書】
⑧『松江城天守学術調査報告書』松江市/2013年-平成22年~23年に行われた学術調査の報告書。主に調査によって判明した新知見として柱、横架材についてと、分銅紋に「富」字の刻印を持つ部材について報告されている。
⑨『史跡松江城整備事業報告書(松江市文化財調査報告書第88集-1~5)』松江市教育委員会/2001年-5分冊。1:事業概要、2:調査編、3:石垣修理、4:建造物復元、5:環境整備で構成されている。
⑩『史跡松江城石垣総合調査報告書(松江市文化財調査報告書第186集)』松江市歴史まちづくり部まちづくり文化財課(埋蔵文化財調査室)/2018年-平成24年~29年度に行われた石垣の総合調査の報告書。
⑪『史跡松江城石垣修理報告書(松江市文化財調査報告書第111集』松江市教育委員会/2007年-平成12年に起きた鳥取西部地震による被害と復旧に伴う保存修理事業の報告書。
⑫『重要文化財松江城天守修理工事報告書』重要文化財松江城天守修理事務所/1955年-昭和25年~30年に行われた昭和の大修理の報告書。天守は総解体され根本修理された。資料の前半は修理前の破損調査、発見資料と墨書史料などについての報告、附録として山口鎌次「松江城天守石垣用石材の原産地調査報告」(昭和26年)を掲載。資料の後半は写真と図面を載せる。
【松江城をつくった堀尾氏について書かれたもの】
⑬『堀尾吉晴-松江城築城国主・中老-』島田成矩/今井書店/1995年-松江城を築城した堀尾吉晴の伝記。ただし松江入府以降は全体の2割程度の記述。
⑭『松江市ふるさと文庫6 堀尾吉晴-松江城への道』山根正明/松江市教育委員会/2009年-城普請(築城)の視点から堀尾吉晴の人生をたどる。取り上げる城は佐和山城・浜松城・富田城・松江城。