資料館には、明治5年の博物館の創設以来、収集、蓄積してきた貴重な資料が数多く所蔵されています。資料館の所蔵資料について皆様に知っていただくため、2009年7月~2014年12月まで資料館内に展示コーナーを設置し、25回に渡って種類別にご紹介をしました。
第14回 文化財の調査報告書
昭和24年の法隆寺金堂壁画の焼損を契機として、昭和25年「文化財保護法」が議員立法によって制定されました。新しい文化財保護法は、旧来の国宝保存法、重要美術品等ノ保存ニ関スル法律、史蹟名勝天然記念物保存法など文化財保護に関する法律を総合し、新たに「文化財」の概念を採用するとともに、「無形文化財」と「埋蔵文化財」についても法律による保護対象としたものでした。その後、社会情勢の変化に対応して、昭和29年、昭和50年(伝統的建造物群保存地区、文化財の保存技術の保護制度の創設)、平成8年(文化財登録制度の創設)、平成11年、平成16年(文化的景観の保護制度の創設)というように、保護の対象の拡充と新しい制度の創設が行われてきました。
現在、文化財保護法による文化財は、有形文化財(美術工芸品と建造物)、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観及び伝統的建造物群の6分野と定義されており、これらのうち重要なものを、重要文化財、重要無形文化財、史跡名勝天然記念物等として国が指定・選定・登録し重点的に保護しています。そのほかに、埋蔵文化財および文化財の保存技術も保護の対象としています。また地方自治体においても、文化財保護条例を制定して地域の文化財の保護と活用を行っています。
文化財の調査は、国(文化庁)や都道府県が実施するものの他、所蔵している博物館や研究機関などによっても実施され、さまざまな報告書が刊行されています。おそらくその数は膨大な数に上ると思われます。
資料館では、埋蔵文化財の発掘調査報告書(第7回展示)および建造物の修理工事報告書(第11回展示)を別立てにする一方、その他の文化財の報告書は一般図書と区別せず整理しているため、正確には把握できませんが各分野を合わせた所蔵数は、約3,000冊と推計されます。
<展示期間>
2011年7月11日~8月30日
<展示資料>
1 『比叡山を中心とする文化財 (文化財集中地区特別総合調査報告2)』
[東京] : 文化財保護委員会 , [1963.12] (当館請求番号:109-00-76)
2 『山形県指定有形文化財 絵画書蹟の部(山形県文化財調査報告書 第9輯)』山形県教育委員会編
山形 : 山形県教育委員会 ,1959.3 (当館請求番号:109-25-7)
3 『香川県文化財調査報告 第1』
高松 : 香川県教育委員会 , 1951.3 (当館請求番号:109-82-1)