レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年01月15日
- 登録日時
- 2024/08/12 15:26
- 更新日時
- 2025/06/05 10:17
- 管理番号
- 吹-20-2024-002
- 質問
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解決
吹田市(すいたし)の紫雲寺(しうんじ)にある、森狙仙(もり そせん)の絵について知りたい。
- 回答
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大阪府(おおさかふ)吹田市の山田(やまだ)にある紫雲寺には、本堂の内陣の天井に、江戸時代後期に大坂(おおさか)で活躍した画家・森狙仙の描いた絵がある。「紫雲寺本堂 内陣鳥獣図(ないじんちょうじゅうず)」は、吹田市ホームページ>文化・スポーツ>文化・芸術・歴史>歴史・文化財>文化財保護>指定・登録文化財>指定・登録文化財一覧(最終確認2024.9.14)によると、昭和47年3月31日に大阪府指定有形文化財に指定された。
以下の資料やホームページに掲載されている。
(1)雑誌記事タイトル:狙仙の猿画 千里・山田の紫雲寺をたずねて
著者:池田半兵衛
掲載雑誌:大阪春秋 16巻1号 通巻49号 p112~p117
発行年:1987
「内陣の格天井に狙仙が描いた、淡彩の鳥獣画七十八面を見て、その見事さにまったく驚いた。天井は一尺二寸(約三十六センチ四方)に区画され、油煙でくすんでいた。内陣左右の障壁に貼付け画が四面、その金碧極彩色の「おしどりに蓮池図(はすいけず)」に、「狙仙」の落款があった。」
「全体には鳥ずくしといえるほど、多くの鳥類が描かれていて、雉があり、鴨がおり、燕がおり、鴉もいる。鶴に鷹、オウムも、孔雀もいる。珍らしいのは蛤である。画面は天井画らしく、動物と添景を装飾画風に、円くまとめている。」
「鷹に太陽、鷲に松、梟に楓、鷺に蓮、兎に笹という添景がかえって新鮮だ。」
「狙仙がなぜ、紫雲寺に大作を残したかは、分からない。安永二年、内陣の普請をしているが、普請からは数年後のことである。当時淀川筋から千里丘陵にかけて、多くの野鳥が生息していた。千里は昔から野鳥の天国で、大正年代の調査でも七十二種を数える。八丁池(はっちょういけ)や釈迦が池(しゃかがいけ)には毎年、鴨の大群が渡って来た。三万とも五万とも伝える。万葉の秀歌で名高い、島熊山(しまくまやま)の谷あいには野猿が群生した。絶壁に「猿戻り」の名が残っている。狙仙が写生行脚に千里丘陵を歩き、紫雲寺に逗留したことも考えられる。」
とあり、天井画4面と狙仙の落款の写真が白黒で掲載されている。(この項の引用文内のふりがなは記録者による補記。)(2)『山田郷土史 山田のあゆみ』(山田自治会郷土史編纂委員会/編集 山田自治会郷土史編纂委員会 2001)
p50 「森狙仙作の格天井鳥獣画・内陣障壁画あり。[昭和47年3月大阪府文化財に指定]」
p55~p57 「紫雲寺の内陣の格天井には、江戸時代後期の画家「森狙仙」によって描かれた七十八面の鳥獣図と、内陣左右の小壁にも蓮池図、撫子花に鴛鴦と翡翠の金碧画四面があり、「祖仙」の落款があります。「祖仙」は、還暦六十一才のとき、「狙仙」(猿の仙人の意)と改名したといいます。」
「格天井全体には、鳥ずくしといわれるほど鳥が多く主体として中央部に描かれ、周辺には松やヨシなどの植物が添景として装飾画風に丸く(花丸風)まとめられています。キジ・ニワトリ・ツル・サギ・ワシなどに混じって、ハッカン・オオバタン・インコ・クジャクなど日本に生息していなかった鳥類も描かれています。スズメ・ツバメなどについては写実的に取り組んでいるようですが、多くの場合、後年彼が完成した写生の極致と程遠いものが感じられます。しかし、スズメと藁・サギと蓮・ムクドリと楓・タカと松など、主体と添景の組み合わせは彼独特の工夫を感じさせます。
また、中央部には狙仙が得意とした「猿画」が二面みられ、カッと口を開いて柿の実を狙う躍動感あふれる絵と、紅葉の枝からゆっくりと動き始めた猿の絵は、後年彼が猿画の大家として大成する片りんをのぞかせています。
鳥・猿以外のものとして、天空を駆ける「龍」二面・童話にみられる「兎」と「亀」、なぜか「蛤」一面が描かれています。
また、格天井の左右の一番奥には、半分の大きさの絵が三面ずつあり、「キジ・天女・キジ」で構成されています。」
とあり、猿、鶴など5面の写真が白黒で掲載されている。(3)『すいた歴史散歩 増補版』(吹田郷土史研究会/[ほか]著 吹田市教育委員会 2012.3)p34~p35
「天井画のうち9割が鳥で、他に猿、竜、兎、亀、蛤、鳳凰などがあります。」
とあり、天井画の一部分のカラー写真が掲載されている。(4)『あルック吹田 2016改訂版』(すいた市民環境会議/企画・編集 吹田市シティプロモーション推進室 2016.3)p7
「内陣左右の金碧壁画を含めて大阪府指定有形文化財になっています。」
とあり、天井画の一部分のカラー写真が掲載されている。また、鶴の面のカラー写真が大きく掲載されている。(5)『吹田郷土民話かるた』(吹田郷土民話かるた普及会 1982)
「て 天井に 狙仙の 鳥獣画」という札あり。(6)『SUI♡SUI吹田本』(シティライフNEW(発売) 2015.11)p53
格天井の一部と、天井画の2面がカラー写真で掲載されている。(7)吹田市のホームページ>文化・スポーツ>文化・芸術・歴史>歴史・文化財>文化財保護>指定・登録文化財>紫雲寺本堂内陣鳥獣画(最終確認2024.9.14)にもカラー写真あり。
(8)文化財修復を担う「株式会社さわの道玄」のホームページ>寺院内装の再生(最終確認2024.9.14)にも天井画のカラー写真が掲載されている。
(9)大阪府のホームページ>教育・文化・観光>歴史・文化財>大阪府の文化財>大阪府内指定等文化財一覧表(最終確認2024.9.14)にも「紫雲寺本堂内陣鳥獣画」が記載されている。
- 回答プロセス
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郷土資料の棚で吹田市の歴史や美術に関する資料を確認した:回答欄(3)(4)(5)(6)
当館の検索機で「紫雲寺」「森狙仙」をキーワードとして検索した:回答欄(1)
紫雲寺の所在地から、当館の検索機で「山田」と「歴史」のキーワードをかけあわせて検索した:回答欄(2)
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216 10版)
- 日本 (291 10版)
- 日本画 (721 10版)
- 参考資料
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- 池田半兵衛. 狙仙の猿画 千里・山田の紫雲寺をたずねて. 大阪春秋社, 1987. 大阪春秋 16巻1号 通巻49号 p112~p117
- 池田半兵衛. 狙仙の猿画 千里・山田の紫雲寺をたずねて. 吹田市立中央図書館, 2004. (自館請求記号 ス721.6, 自館資料番号 63876650 『大阪春秋 第49号』(1987年刊)より抜粋して、電子複写・製本したもの)
- 山田自治会郷土史編纂委員会. 山田郷土史 山田のあゆみ. 山田自治会郷土史編纂委員会, 2001.
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吹田郷土史研究会, 大阪府文化財愛護推進委員吹田市協議会 著 , 吹田市教育委員会 編. すいた歴史散歩 増補版. 吹田市教育委員会, 2012.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I023899466 -
すいた市民環境会議‖企画・編集. あルック吹田 : 観光マップ 2016改訂版. 吹田市シティプロモーション推進室, 2016.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I2711B13321047 - 吹田郷土民話かるた. 吹田郷土民話かるた普及会, 1982. (自館請求記号 ス798, 自館資料番号 66709692)
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SUI♡SUI吹田本. シティライフNEW, 2015-11.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I27210013937691
- キーワード
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- 大阪府(おおさかふ)
- 大坂(おおさか)
- 吹田市(すいたし)
- 大阪府指定有形文化財(おおさかふしていゆうけいぶんかざい)
- 紫雲寺(しうんじ)
- 森狙仙(もり そせん)
- 森祖仙(もり そせん)
- 紫雲寺本堂内陣鳥獣図(しうんじほんどうないじんちょうじゅうず)
- おしどりに蓮池図(はすいけず)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000354387