レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2025年01月31日
- 登録日時
- 2025/02/21 10:44
- 更新日時
- 2025/04/29 22:45
- 管理番号
- 県立長野-24-199
- 質問
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未解決
幕末の信濃の国の俳人「葛刈」について、名前や職業などを知りたい。浅間山麓の人で、明治13年没という情報がある。江戸後期の信濃の俳人に葛三(かっさん)や葛古(くずふる)がいるので、この流派の人物ではないかと思う。
- 回答
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当館所蔵の資料を調査したが、「葛刈」を号とする俳人は確認できなかった。国立国会図書館デジタルコレクションで、日本文学分野の「葛刈」を調べたが該当する人物は確認できなかった。念のため、「葛苅」でも調査した。
ちなみに、『長野県俳人名大辞典』矢羽勝幸編 郷土出版社 1993【N913/696】p.162によると、「葛古」は小諸市八幡の人で幕末期信州を代表する俳人の一人とあり、明治13年6月15日没、と書かれている。
なお、『佐久町誌 歴史編2 近世』佐久町誌刊行会編・刊 2005【N223/48/3-2】p.691-692に、「刈穂庵雪麻呂」について
(-前略-)慶応三年(一八六七)に出された全国高名俳人番付「例の戯」(江戸刊か)にも載っており、同年の信州高名俳人番付「信陽俳家月之友」では小諸の小林葛古と並んで最高位の行司役である。
とあった。この「信陽俳家月之友」については、『佐久の俳句史』矢羽勝幸著 櫟 1989【911.3/ヤカ】を出典としており、確認したところ、巻頭の図版ページに慶応4年の「信陽俳家為交」があり、行司に葛古と雪麿の名前が確認できる。また、同書の関係本文p.295-296に、番付表の解説があった。「信陽俳家為交」には、(しんようはいかまじわりのため)もしくは(しんようはいかのまじわりとす)の読みが付されている。
『佐久の俳句史』矢羽勝幸著 櫟 1989【911.3/ヤカ】p.291-295に雪麿について記載があり、あわせて伝記も掲載されている。
『長野県俳人名大辞典』(前掲)であらためて、「雪麿」を調べると、本名阿部茂宗 佐久町宿岩の人。通称喜市郎(124)、喜左衛門(634)。別号刈穂庵、月窓。享和二年出生。江戸の小林見外に師事。幼少より俳諧を好んだが家業を第一にし、熱中しなかった。六十に近い頃、家督を譲り、俳諧に専念した。「刈穂社中」を結び、小林葛古と佐久幕末俳壇を二分する宗匠となった。(-中略-)地方で出版された(192)では別格の行司の地位にあり、かなり著名な存在だった。明治十四年四月二十四日没。享年八十五歳。(-後略-)
とあった。( )内の数字は、巻末の「出典資料一覧」によると次のとおり。
(124)「俳諧三千題早引略解」五味寥左編。施無畏庵甘海校。明治五年刊。(-後略-)
(192)「信陽俳家月之交」慶応三年仲春発行の信州俳人番付。発行者無記。行司(別格最高位)は、葛古、雪麿、吾仏、真篶、潮雨、斧年の六人。収録者すべてが著名俳人というわけではない。
(634)「薫蕕同器集」井出宣長編。安政五年刊。(-中略-)佐久地方の雅人(和歌、漢詩、俳諧、絵、狂歌、書)の人名録をかねた作品集。各々の自筆を模刻した。彫刻も編者の手になる。
『佐久町誌 歴史編2 近世』(前掲)p.709-714にかけて、「雪麿」の家についての記載があった。阿部家は、宿岩村の名主を務め、幕末には(佐久)郡中取締役などの役職も務めていたことが書かれている。参考にするよう勧めた。
- 回答プロセス
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1 『長野県俳人名大辞典』(前掲)を調べるが、「葛刈」を俳号とする人物は確認できない。
2 浅間山麓の人、とあることから、小諸、佐久地域の史誌類の幕末期の文化の項目から「葛刈」を調査する。『佐久町誌 歴史編2 近世』(前掲)p.688-692を調べる。p.691-692に、「刈穂庵雪麻呂」の記述があり、「小諸の小林葛古と並んで最高位の行司役である」とのことから、この地域の有力な俳人と推測される。なお、「葛古」は、浅間山麓に位置する小諸市の人で、没年は明治13年だった。
3 『佐久の俳句史』『長野県俳人名大辞典』などで「刈穂庵雪麻呂」を調べる。「葛刈」とは関係が無いが、当時「葛古」と並ぶ俳諧師匠であったことがわかる。地域的には、浅間山麓というよりは、浅間山を望む地域と思われる。また、没年は明治14年とわかる。
4 依頼館も調査済みとは思ったが、国立国会デジタルコレクションで、「葛刈」「葛苅」で、検索を掛けたが、日本文学関係でこの人物を確認できる資料は、確認できなかった。
<調査資料>
・『近世信濃俳人・俳句全集』矢羽勝幸・田子修一編著 象山社 2004【N913/1021】
・『長野県史 通史編 第6巻 近世3』長野県史刊行会編 長野県 1989【215.2/ナガ/5-6】p.500-509
・『佐久市志 歴史編3 近世』佐久市志編纂委員会編 佐久市 1992【N223/69/3-3】p.820-831
・『小諸市誌 歴史篇3 近世史』小諸市誌編纂委員会編 小諸市教育委員会 1991【N222/43/2-3】p.854-872
・『南佐久郡志 近世編』南佐久郡志編纂委員会編 南佐久郡誌刊行会 2002【N223/61/6】p.1046-1047
・『浅科村史』浅科村史編纂委員会編 浅科村史刊行会 2005【N222/151】p.482-495
・『望月町誌 第4巻 近世編』望月町誌編纂委員会編 望月町誌刊行会 1997【N222/109/4】p.666-672
・『立科町誌 歴史編 上』立科町誌編纂委員会編 立科町誌刊行会 1997【N222/118/3】p.582-584
・『小海町 近現代編』小海町誌刊行委員会編 小海町1997【N223/20/4】p.177-184
・『臼田町誌 第4巻 近世編』臼田町誌編纂委員会編 佐久市臼田町誌刊行会 2008【N223/106/4】p.501-503
・『八千穂村誌 第4巻 歴史編』八千穂村誌歴史編編纂委員会編 八千穂村史刊行会 2003【N223/102/4】p.306-307
・『北佐久郡志 第2巻 歴史篇』北佐久郡志編纂会篇・刊 1956【N222/12/2】p.571-573
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 10版)
- 中部地方 (215 10版)
- 参考資料
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矢羽勝幸 編著. 長野県俳人名大辞典. 郷土出版社, 1993.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002299391 , ISBN 4-87663-230-8 (【N913/696】) -
佐久町誌刊行会/編. 佐久町誌 歴史編2. 佐久町誌刊行会, 2005-03.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I20111001100248765 (【N223/48/3-2】) -
矢羽勝幸 著. 佐久の俳句史. 櫟, 1989.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002072522 , ISBN 4-900408-27-1 (【911.3/ヤカ】)
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矢羽勝幸 編著. 長野県俳人名大辞典. 郷土出版社, 1993.
- キーワード
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- 俳諧
- 葛刈
- 俳人
- 刈穂庵雪麻呂
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000363198