レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年12月10日
- 登録日時
- 2012/06/02 17:29
- 更新日時
- 2012/06/02 17:29
- 管理番号
- 9000007827
- 質問
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解決
幕末から明治にかけて、子どもの頃仏門に入り一人前の僧侶となった人は、どのような生活(修行)をしていたのか。またその当時はどのような理由で仏門に入ることが多かったかがわかるような伝記資料を紹介してほしい。
- 回答
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当館所蔵資料では、11歳頃出家し浄土宗管長職等を務めた岩井智海(いわい ちかい 1863-1942)、12歳で寺に入り15歳で剃髪し天王寺住職などを務めた福田尭頴(ふくだ ぎょうえい 1867-1954)の伝記がある。当時は、利発な子どもである、先祖供養のため、あるいは口べらしにといった理由で出家することがよくあったようだ。詳細については照会資料をご覧下さい。
- 回答プロセス
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1.インターネットの検索エンジンで「歳で出家 明治」のキーワードで検索、該当する情報を確認し、国立国会図書館総合目録ネットワーク「ゆにかねっと」( http://somoku.ndl.go.jp/ )で伝記・評伝の出版を確認するが、次のものはいずれも当館未所蔵資料だった。
・土宜法龍(どき ほうりゅう)安政元(1854)年-大正12(1923)年。4歳で出家。高野山真言宗管長などを務める。『木母堂全集:伝記・土宜法竜( 伝記叢書) 』(土宜法龍著 宮崎忍海編 大空社 1994年)
・梶浦逸外(かじうら いつがい)明治29(1896)年-昭和56(1981)年。12歳で出家。岐阜県正眼寺(しょうげんじ)住職,妙心寺派管長などを務める。『底なし釣瓶で水を汲む:逸外老師随聞記』(谷耕月編 柏樹社 1986年)
・釈宗演(しゃく そうえん)安政6(1860)年-大正8(1919)年。12歳で得度。臨済宗大学学長、円覚寺派管長などを務める。『宗演禅師と其周囲:伝記・釈宗演(伝記叢書)』(長尾宗軾著 大空社 1993年)
2.NDC188の書架を通覧し、僧侶の伝記・評伝類を調査すると、次のものが該当した。
・『伝弘(でんぐ)の生涯:大僧正岩井智海伝』(松浦行真著 大東出版社 1991年)→岩井智海(いわい ちかい)文久3(1863)年-昭和17(1942)年。11歳頃出家。 知恩院門跡、浄土宗管長職などを務める。p4「養子となって僧籍を得た」、p17「利発で本を読むのが好きであるとか、先祖供養のために、あるいは口べらしにといった現実的な理由で子弟を出家させることは、江戸時代からよく繰り返されていたことだから、彼の出家も、あるいはそのひとつであったかもしれない」
・『福田尭頴老師の生涯:仏道に生きた人(2)』(武田新吉編 文一出版 1973年)→福田尭頴(ふくだ ぎょうえい)慶応3(1867)年-昭和29(1954)年。12歳で天王寺第14世多聞堯存師にしたがい、15歳で剃髪。比叡山金勝院、天王寺の住職など務める。p20-21に出家の動機についての記述。「…明治の始め没落士族の家計は相当苦しかったであろうし、向学心に燃え、利発な子どもであり、まして祖母の感化で仏教を子供心に信仰していた少年が、寺の給仕に入り、やがて得度するに至ったのは、自然のなりゆきであったかも知れぬ」、p22「十五歳出家せられ、中学林入学までの四年間は、専ら役僧として仕え、傍ら宗学、漢学の勉強に励まれたことと思う」とし、尭頴師談の当時のエピソードがある。
・『明治の禅匠』(禅文化研究所編集部編・発行 2009年)→(1)譚海玄昌(たんかい げんしょう)文化8(1811)年-明治31(1989)年。8歳で出家。妙心寺住職、大教院院長などを務める。出家の理由や少年僧のころの様子などの記述なし。(2)禾山玄皷(かさん げんく)天保8(1837)年-大正6(1917)年。12歳で出家。大宝寺住持などを務める。出家の理由や少年僧のころの様子などの記述なし。
3.2の調査で、時代は異なるが、少年僧のころの生活について書かれているものとして、次のものがあった。
・『まほろばの僧高田好胤』(太田信隆著 草思社 2005年)→p22-25
・『父 高田好胤』(高田都耶子著 講談社 1999年)→p17-21
*高田 好胤(たかだ こういん)1924年(大正13)年-1998(平成10)年。12歳で薬師寺の小僧、13歳で出家。薬師寺第124世管主、法相宗管長。
4.国立情報学研究所の「Webcat Plus」( http://webcatplus.nii.ac.jp/ )で「少年僧 修行」で検索すると、時代は異なるが、少年僧の生活について書かれているものとして、次のものがあった。
・『ぼくは母さんの涙を見た:十五歳の修行僧(ポプラ社いきいきノンフィクション)』(根本順善著 ポプラ社 1995年)→平成4年12歳で出家した少年の日常の記録。
- 事前調査事項
- NDC
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- 各宗 (188 9版)
- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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- 『伝弘(でんぐ)の生涯:大僧正岩井智海伝』(松浦行真著 大東出版社 1991年)
- 『福田尭頴老師の生涯:仏道に生きた人(2)』(武田新吉編 文一出版 1973年)
- キーワード
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- 僧侶
- 少年僧
- 出家
- 修行
- 仏教
- 明治時代
- 幕末
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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※時代は異なるが、少年僧の生活がわかる資料として、次のものも併せて紹介。
・『まほろばの僧高田好胤』(太田信隆著 草思社 2005年)[資料番号0105004469]
・『父 高田好胤』(高田都耶子著 講談社 1999年)[資料番号0103752812]
・『ぼくは母さんの涙を見た:十五歳の修行僧(ポプラ社いきいきノンフィクション)』(根本順善著 ポプラ社 1995年)[資料番号0103014767]
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 仏教
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000106760