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レファレンス事例詳細

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事例作成日
登録日時
2025/04/04 13:18
更新日時
2025/05/29 17:16
提供館
北九州市立中央図書館 (2210015)
管理番号
北九2025八幡7一般
質問

解決

地震に関する言い伝えについて調べているので、神話・昔話・民間伝承など、参考になる資料を見たいです。
回答
地震に関する神話・昔話・民間伝承の記述があった以下の図書を提供をしました。
図書と併せて、インターネット上にあった情報も紹介しました。

『日本神名辞典』
『歴史のなかの大地動乱』
『広辞苑』
『図説日本民俗学全集 1』 
『図説日本民俗学全集 4』
『日本の神様と楽しく生きる』
『日本怪異妖怪大事典』
mbs news ホームページ https://www.mbs.jp/news/column/scene/article/2023/07/095813.shtml
箕面市観光協会 「牛頭天王信仰」 https://minohkankou.net/minoh-kankou-mvg/minoh-story/gozu.htm 
国学院大学「古典文化学」事業ホームページ https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/oanamujinokami/
国際日本文化研究センターホームページ 「怪異・妖怪画像データベース」 
https://www.nichibun.ac.jp/cgi-bin/YoukaiGazou/search.cgi?query=%E5%9C%B0%E9%9C%87&Submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&whence2=0&lang2=ja
国際日本文化研究センターホームページ「怪異・妖怪伝承データベース」 https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1232127.html
総務省消防庁 全国災害伝承情報データベース内の全国災害伝承情報「防災に関わる言い伝え]
https://www.fdma.go.jp/publication/database/database009.html
まんが日本昔ばなし 全話あらすじデータベース http://nihon.syoukoukai.com/
回答プロセス
1.Web検索 検索語「地震 神様」で検索し、以下の4つのキーワードが出てきましたのでそれぞれについて載っている資料を集めました。
①タケミカズチ ②牛頭天王 ③なゐの神 ④オオナムヂ

①タケミカズチについて
地震の神様とされている鹿島神宮の武甕槌命(タケミカヅチ)
タケミカヅチの名前について 『日本神名辞典』に記載があり、解説もありました。なお、「タケミカヅチ」は掲載されている文書により、呼び名や漢字が異なることも書かれていました。

②牛頭天王について
「牛頭天王」をWeb検索し、webサイト「mbs news」によると、八坂神社の祇園祭りの始まりに大地震が関係しているということがわかりました。牛頭天王は、インドの神の化身の1つで、密教とともに日本に伝来した神様であり、疫病や災害などの厄難を防ぐとして全国に広まったとわかりました。
また、箕面市観光協会のホームページにも 「牛頭天王信仰」について書かれていました。
さらに、自館端末で「牛頭天王」についての資料を検索し、『歴史のなかの大地動乱』に「貞観の時代、全国で続いていた大地震を治めるために「牛頭天王(ごずてんのう)」と呼ばれる地震の神様を、播磨から八坂神社に移したことが祇園祭の始まりと深い関係があると著者は分析しています。」との記載がありました。

③なゐの神について
『広辞苑』によると、日本神話に登場する地震の神であることがわかりました。
以下本文まま 
「ない なヰ (「な」は土地の意。「ゐ」は場所またはそのものの存在を明らかにする意)地。転じて、地震。武烈紀「―が揺より来ば」。方丈記「おびたたしく大―ふること侍りき」」
また、『大きな活字の新明解国語辞典』では、
「ない なヰ【{地震}】〔雅〕地震。「―ふる=〔地震が起こる〕」ということです。」と書かれていました。
さらに、『例解古語辞典』 には
「なゐ【地震】。「なゐ揺ゅる」「なゐ震ふる」の形で、地震が起こる意を表した」と記載がありました。

④オホナムヂについて
国学院大学「古典文化学」事業ホームページによると、「大穴牟遅神(オホナムヂ)は日本の国を作った神様とされています。はじめはこの名前であり、後に大国主神(おおくにぬしのみこと)と名付けられます。大地を司ることから地震を起こす神様ともいわれています。」と書かれていました。

2.Web検索 検索語 「地震 妖怪」を検索して出てきた、国際日本文化研究センターホームページ「怪異・妖怪伝承データベース」内を「地震」で検索したところ、「大ナマズ」について記載がありました。 
以下本文まま
「地下にいる大ナマズが動くと地震になる。昔は鹿島様が金の剣で大ナマズを押さえていたが、その剣が朽ちてきたために昔は地震が多かった。今は石の剣に変えたので地震は少ないという。この地方では地震が来ると「マジャラクマジャラク」と唱えるが、どういう意味かはわからない。」
同じく、国際日本文化研究センターホームページの「怪異・妖怪画像データベースで「地震」を検索したところ、
「ナマズ」についての画像がいくつかヒットしました。
以下本文まま
「鯰;ナマズ,鹿島大明神;カシマダイミョウジン,要石;カナメイシ
鹿島大明神が大鯰の上に乗り、剣で押さえつけている。その周りに、大工道具と小判が散らばっている。画面上方には名所絵風に鹿島神宮の要石が描かれている。」

3.Web検索 検索語 「防災 言い伝え」で検索し、総務省消防庁 全国災害伝承情報データベース内、全国災害伝承情報の「防災に関わる言い伝え」を確認した所、地震に関する言い伝えがいくつか確認できました。
・なまずが動き出すと地震が起こる (『平塚市民俗調査報告書 4』p.272)
・なまずがひげを動かすと地震が起きる。地震への警戒を促す前兆現象を示唆 (『増穂町誌』p.1076)
・ナマズが騒ぐと地震が起きる。地震予兆。(「言い伝え」として の口伝情報のみ)

4.Web検索 検索語 「地震 昔話」で検索した所、1975年~1994年、TBS系列で放送されたTVアニメ「まんが日本昔ばなし」のページがヒットしました。その中の「全話あらすじデータベース」で、「地震」というキーワードを検索すると、関連する昔話が「ナマズの使い」を含め10件検出されましたので、こちらも案内しました。

5.自館所蔵の民俗学に関する本を確認した所、いくつかの本に記載がありましたので案内しました。 
(1)『図説日本民俗学全集1』
以下本文まま
「要石(かなめいし)…鹿島神宮の境内にある要石は、タケミカズチノカミの象徴として、国家の鎮護の石剣として祭られている。この要石は、国を鎮める意想で…日本をとりまくリュウの地図がしめしているように、このリュウが転化してナマズになった。地震は、地下にもぐったナマズの寝がえりだとされて、この要石は、地震ナマズを永遠におさえているという信仰をうんだのである。」

(2)『図説日本民俗学全集 4』 
「諏訪の手形石」の項目に地震鯰について書かれており、
「諏訪の手形石 諏訪の七不思議の第一は、諏訪郡中洲村の手形石である。これは、神話時代のむかし、タケミナカタノミコト(建御名方命)が、フツヌシノミコト(経津主命)と、タケミカズチノミコト(武甕槌命)に争い負けた結果、諏訪の地に鎮まって、外へは出ないという誓言を立てることになった。このとき、その誓いしるしとして、タケミナカタノミコトは、自分の手形を、かたわらの岩に捺しつけた。すると、まるで、つもった深雪の上にでもおしつけたように、堅い巖がめりめりとへこんで、掌の跡をつけた。これが諏訪の手形石だという。
さて、このふしぎな、タケミナカタの力に奮激したタケミカズチノミコトは、常陸の鹿島に、地鎮めの力だめしにと、その石剣をおしこんだ。これが鹿島の要石であり、その石は地軸に達して、大地をふるいうごかす地震鯰をおさえているのだと、その怪奇を伝承している。」
とありました。

(3)『日本の神様と楽しく生きる』
以下本文より一部抜粋
タケミカズチノカミという戦い・剣の神様がナマズを要石で押さえている。 
大地震が起きた1855年(安政2年)10月は神無月であり、出雲大社に日本各地から集まられた八百万の神全国の神様が集まる神在祭に『神謀り(かむはかり)』という名のご縁をつなぐ会議をされます。その間、要石を押さえる神様がいない時期であったことから大きな地震が起きた、もしくは恵比寿に留守番を頼んでいたが、酒を飲んで酔っ払っていたと結論づけた江戸の人々。大らかな日本人の心が垣間見えます。

(4)『日本怪異妖怪大事典』
「大鯰について」 以下本文まま
なまず【鯰、鮧】
古くは雨や洪水を呼ぶ力があると考えられ、湖沼の主とされていた。また洪水を呼ぶともいう。繁殖力が強く、鯰の大発生は洪水や天変地異の前触れとして考えられた。江戸期には地震の原因は地下の巨大な鯰とされ、安政江戸地震後には鹿島の神が地震の原因である鯰を「要石」で抑えつける構図の「鯰絵」が流行した。鯰が地震を予知するという俗信を基にして、動物による地震予知の研究がなされているが、未だ実証には至っていない。→おとぼうなまず、さかなのかいい、たていし

6.その他、自館端末で「災害予知」についての資料を検索し、他館に所蔵のあった『災害予知ことわざ辞典』を確認しました。地震についての災害予知のことわざは複数件記載されていましたが、言い伝えについては掲載されていませんでした。
事前調査事項
NDC
  • 風俗習慣.民俗学.民族学 (380)
  • 民間信仰.迷信[俗信] (387)
  • 伝説.民話[昔話] (388)
参考資料
  • 『日本神名辞典』  神社新報社 1994年  p.244 (当館請求記号R175.2/ニ,当館資料番号0311633036) ,  ISBN 4-915265-66-8
  • 『図説日本民俗学全集 1』藤沢 衛彦/著 あかね書房 1959年 p.208 (当館請求記号 380.8/ツ/1,当館資料番号 0310955430)
  • 『図説日本民俗学全集 4』藤沢 衛彦/著 あかね書房 1960年 p.70、71 (当館請求記号 380.8/ツ/4,当館資料番号 0310955463)
  • 『日本の神様と楽しく生きる』 平藤 喜久子/著 東邦出版 2016年 p.172 (当館請求記号 387/ヒ,当館資料番号 0312844350) ,  ISBN 978-4-8094-1428-2
  • 『広辞苑 第7版』 新村 出/編 岩波書店 2018年 p.2146 (当館請求記号R813.1 /シ,当館資料番号 0312893217) ,  ISBN 978-4-00-080131-7
  • 『歴史のなかの大地動乱』 保立 道久/著 岩波書店 2012年 (請求記号G210.3 /ホ,資料番号0017411877) ,  ISBN 978-4-00-431381-6
  • 『日本怪異妖怪大事典』 小松 和彦/監修,小松 和彦/編集委員,常光 徹/編集委員,山田 奨治/編集委員,飯倉 義之/編集委員 東京堂出版 2025年 p.412 (当館請求記号R388.1 /ニ,当館資料番号0313153033) ,  ISBN 978-4-490-10956-6
  • 『大きな活字の新明解国語辞典 第8版』 山田 忠雄ほか/編 三省堂 2021年 p.1146(当館請求記号 R813.1/オ,当館資料番号0313009466) ,  ISBN 978-4-385-13087-3
  • 『例解古語辞典』 佐伯 梅友/[ほか]編著 三省堂 1985年 p.648 (当館請求記号R813.6/コ,当館資料番号0311631048)
  • 国学院大学「古典文化学」事業ホームページ
    https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/oanamujinokami/
      (2025/5/27最終確認)
  • 国際日本文化研究センターホームページ 怪異・妖怪画像データベースhttps://www.nichibun.ac.jp/cgi-bin/YoukaiGazou/search.cgi?query=%E5%9C%B0%E9%9C%87&Submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&whence2=0&lang2=ja   (2025/5/27最終確認)
  • 国際日本文化研究センターホームページ 怪異・妖怪伝承データベース
    https://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/1232127.html
      (2025/5/27最終確認)
  • mbs news ホームページ
    https://www.mbs.jp/news/column/scene/article/2023/07/095813.shtml
      (2025/5/27最終確認)
  • 箕面市観光協会 「牛頭天王信仰」
    https://minohkankou.net/minoh-kankou-mvg/minoh-story/gozu.htm
      (2025/5/27最終確認)
  • 総務省消防庁 全国災害伝承情報データベース内の全国災害伝承情報「防災に関わる言い伝え] https://www.fdma.go.jp/publication/database/database009.html   (2025/5/27最終確認)
  • まんが日本昔ばなし 全話あらすじデータベース http://nihon.syoukoukai.com/   (2025/5/27最終確認)
キーワード
  • 妖怪
  • 神様
  • 災害
  • 伝説
  • 地震
照会先
寄与者
備考
調査種別
文献紹介
内容種別
質問者区分
社会人
登録番号
1000368010
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アクセス数 432
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