レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年06月01日
- 登録日時
- 2021/08/20 18:15
- 更新日時
- 2021/08/20 18:32
- 管理番号
- 千県東-2021-0006
- 質問
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解決
動物のブタはなぜ悪口として使われるのか。
- 回答
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豚の持つ負のイメージについては、回答プロセスにあるとおり、いろいろな資料に記載があった。
特に悪口(蔑称)と結び付けているものとしては以下の資料があった。
【資料1】『トン考 ヒトとブタをめぐる愛憎の文化史』p251-254「不道徳、恥についての一考察」では、蔑称としてのブタについての記載があり、理由として排泄行為や性行為を人目につくところで行うことをあげている。
【資料2】『ブタ礼讃』p103-111「5 シンボル」では、豚を使った呪いやののしりの言葉を紹介し、「結局、多くの人が豚に対して不快感を感じる理由は、猪に由来する理解できない行動、つまり、泥浴びや土を掘り返すのが好きであることや、栄養上欠くことのできないミネラルを取るために土や糞を食うこと(食異性)のためだろう。」としている。
- 回答プロセス
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当館契約のデータベース「JapanKnowledge lib」で、各種事典の「豚」を確認する。
『世界大百科事典』「象徴」として「ブタは西洋では不潔な動物の代表であり,怠惰な人間を揶揄(やゆ)するときにも,しばしば引合いに出される。(中略)一方で多産の部分が強調され,〈貪欲〉や〈性欲〉のあからさまな象徴ともなった。(中略)古代ローマからブタと性欲との強いむすびつきは成立していたらしい。(中略)他方,ブタは古い家畜であることから,従順,愚鈍,家庭的温和さの象徴ともされてきた。」
『日本国語大辞典』「太っている人、醜い女などをあざけっていう語。*雑俳・たから船〔1703〕「あの人は後(うしろ)で美人前でぶた」」
当館蔵書検索で「件名:ぶた(豚)」で検索し、一覧のうち文化的側面からの書籍を確認する。
『ブタの文化誌 ユダヤ人とキリスト教徒』(クローディア・ファーブル=ヴァサス著 柏書房 2000)豚肉のタブーについての記載が多い。蔑称としての記載は見当たらない。
【資料1】『トン考 ヒトとブタをめぐる愛憎の文化史』p139-186第2章「ブタのタブー」では、主にブタ肉についてのタブーの歴史について記載されている。蔑称としてのブタについての記載あり。
【資料2】『ブタ礼讃』p103-111「5 シンボル」では、豚を使った呪いやののしりの言葉を紹介している。
『図説世界シンボル事典』(ハンス・ビーダーマン著 八坂書房 2000)p367「豚」の項。「西洋では主として不潔をあらわすシンボルとして捉えられている」とある。宗教上の忌避についての記載があるが、蔑称としての記載はない。
『世界シンボル大事典』(ジャン・シュヴァリエ共著 大修館書店 1996)p841「ブタ」の項。「世界中ほとんどいたるところで、ブタは、貪欲、貪食を象徴する。」とある。主に宗教上のシンボルとしての記載があるが、蔑称としての記載はない。
『罵詈雑言辞典』(奥山益朗編 東京堂出版 1996)に「ぶた」の項なし。
(インターネット最終アクセス:2021年6月1日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 家畜.畜産動物.愛玩動物 (645 9版)
- 民族学.文化人類学 (389 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『トン考 ヒトとブタをめぐる愛憎の文化史』(とんじ共著 アートダイジェスト 2001)(2101343097)
- 【資料2】『ブタ礼讃』(H.D.ダネンベルク著 博品社 1995)(9105009895)
- キーワード
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- 豚(ブタ)
- 悪口(ワルクチ)
- 象徴(ショウチョウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000303417