①「地黄」「佐保姫草」が出てくる古い文献にはどんなものがあるか。
・『日本国語大辞典 第6巻』小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001.6
p471 じおう 地黄
*十巻本和名抄(934頃) *尺素往来(1439-64) *言継卿記-元亀二年(1571) *俳諧・本朝文選(1706)
などの用例が載っている。
・『日本国語大辞典 第5巻』小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001.5
p1365 さおひめぐさ 佐保姫草
植物「じおう(地黄)」の異名。*延喜式(927)三七・典薬寮 とあり。
・『国史大系 2-10 延喜式』黒板 勝美/編輯 吉川弘文館 1972
p815 延喜式巻第三十七 うしろから4行目中ほどに「生地黄」「サホヒメ」の記述あり。
・『戦国時代の宮廷生活』奥野 高広/著 続群書類従完成会 2004.1
p104 『延喜式』に書いてあることが平易な文章で書かれている。
・『大和本草 第1冊』貝原 益軒/著 春陽堂 1932
p192~193 地黄
効用や、「和地黄の上品ハ大和ヨリ出ツ唐ヨリ来ルニマサレリ 大和ニ地黄村アリ多く産す」…といった記述がある。
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・『古今要覧稿 第5巻 草木部 下』屋代弘賢 著[他] 国書刊行会 明38-40
p259~263 さをひめ 地黄
・『古典草木雑考』 岡不崩 著 大岡山書店 昭和10
p198~210 地黄
CiNii 「地黄」「佐保姫」で検索→
オープンアクセス 小曽戸 洋「『日本薬局方』(15改正)収載漢薬の来源」 生薬學雜誌 61(2), 68-78, 2007-08-20 日本生薬学会
[地黄]『神農本草経』上品に「乾地黄」で収載。(略)古法以来、補剤の要薬として用いられる。日本では飛鳥時代から薬用とされたが、国産せず、舶載品によった。中世に種が伝えられ栽培されるようになり、俗に「さおひめ」と呼ばれた。佐保姫(さおひめ)は春をつかさどる女神で、春に可愛らしい紅色の花をつけることにちなむ。
との記述あり。
②奈良県橿原市地黄町について、地名の由来がわかる文献はあるか。
・『角川日本地名大辞典 29 奈良県』 「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編 角川書店 1990.3
p522 じお 地黄<橿原市>
当地では古くから薬草サオヒメの根茎(地黄)を産したことで地名となった。
[近世]地黄村 江戸期~明治22年の村名。(略)「西国三十三所名所図会」には「当村ハいにしへ地黄をはじめて作り、上品を産せしゆへ名とせしぞ」と見えるが、「今ハさらに地黄をつくることなし」とあって、当時はすでに地黄の生産はとだえていた。
との記述あり。
・『日本歴史地名大系 30 奈良県の地名』平凡社 1981.6
p319 地黄村
「大和志」「大和本草」貝原益軒「扶桑紀勝」、寛政四年(一七九二)の「高取藩薬草調査票」などは当村を薬草ジオウの産地とし、「西国名所図会」には「当村は古地黄をはじめて作り上品を出せしゆへ今はさてに地黄をつくることなし(略)」とある。