レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年05月05日
- 登録日時
- 2014/07/16 11:34
- 更新日時
- 2014/07/30 12:45
- 管理番号
- 岩手-188
- 質問
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解決
宮沢賢治作品『なめとこ山の熊』に出てくる言葉の読みについて。
作品の冒頭五段落目「木がいっぱい生えているから谷を遡っていると……」の部分の「から谷を」は、「~だから、谷を」なのか、「カラタニ(ダニ)」という場所なのか、それによって読みも違ってくる。「から谷」の読みについて、宮沢賢治の研究書などに記載はないだろうか。
- 回答
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『宮沢賢治学会イーハトーブセンター会報 第27号』に〈『なめとこ山の熊』両義的読み〉と題する天沢退次郎氏の論文が掲載されている。(掲載頁p22~23)
(一部抜粋)
「なめとこ山の熊」は生前未発表。ただ一種の草稿が残っていて……読点も改行もきわめて少ない、長大なセンテンスが、……物語の切迫感、作者のテンションの高さ等に対応している……。
十字屋版(全集本)は漢字を使って《木がいっぱいはえている空谷(からだに)を遡っていると》 31年版以後は草稿通り《木がいっぱい生えているから谷を溯っていると》となって、「いるから」でちょっと切って「谷(たに)を」と読み継ぐのが自然と考えられているらしいことが……推測される。しかし、「空谷」を「からだに」でなく「からたに」と、濁らず読むことも不可能ではない。とすれば、両義性を保ったままの朗読も、工夫次第で可能となる。
- 回答プロセス
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・当館宮沢賢治関連資料書架をブラウジング。
・直筆原稿を所蔵し、賢治関連調査研究をされている宮沢賢治記念館に問い合わせる。
- 事前調査事項
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朗読CD、テープで作品を聞いたところ『草思社CDブック 長岡輝子宮沢賢治を読む なめとこ山の熊』では「理由としての~だから」という読み。『新潮社カセットブック 宮沢賢治 ―カイロ団長 なめとこ山の熊―』では「カラサワ」という場所としての読み方だった。
- NDC
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- 逐次刊行物.一般年鑑 (05)
- 参考資料
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- 『宮沢賢治学会イーハトーブセンター会報 第27号』宮沢賢治学会イーハトーブセンター∥出版 2003年 (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000098998-00)
- キーワード
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- 宮沢賢治
- なめとこ山の熊
- からたに(から谷・空谷)
- センテンス
- 照会先
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- 宮沢賢治記念館
〒025-0011 岩手県花巻市矢沢1-1-36
電話 0198-31-2319
- 宮沢賢治記念館
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000156218