レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年04月03日
- 登録日時
- 2024/04/16 15:45
- 更新日時
- 2024/04/26 22:27
- 管理番号
- 県立長野-24-011
- 質問
-
未解決
昭和初期に秋山郷を訪れた測量隊が「源氏はまだ栄えているか」と尋ねられたという逸話について記載のある資料はあるか。
- 回答
-
長野県に関する資料で「源氏はまだ栄えているのか」と聞かれたという記述が確認できる資料は確認できなかった。
以下、関連があると思われる資料を紹介した。
1. 「源氏はまだ栄えているのか」と尋ねられたという記述が確認できた資料について
「国立国会図書館デジタルコレクション」で「源氏はまだ栄え」のキーワードで検索したところ、次の資料が確認できた[最終確認日 2024.04.16]。
・『秘湯の旅 : 野趣とスリルのはだか天国 (サラリーマン・ブックス)』伊能孝著 読売新聞社 1963【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】[最終確認日 2024.04.16]
p.45に平家の落人部落に関する余談があり、この中に昭和の初期に「源氏はまだ栄えているのか」と質問された役人もいたといい(新潟)
とあるが、これ以上の詳しい情報はない。
・『新・北越雪譜 (角川選書 153)』辺見じゅん著 角川書店 1985【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】[最終確認日 2024.04.16]
p.168に村上で語られている話として明治の初め、三面川の上流から椀が一つ流れてきた。上流にも人家があるらしいということで、断崖絶壁を川に沿って奥へ奥へとたどり、ようやく見つけたのが奥三面であった。このとき、奥三面の人々は、源氏はまだ栄えているかと尋ねたそうだ。
とある。
なお、三面川は山形県を水源とし、新潟県北部の村上市の瀬波で日本海に至る川で、長野県からは距離が離れている。2. 秋山郷の測量について
話を聞いたのが測量隊とのことだったので、秋山郷で測量が行われた年を確認する。
秋山郷の範囲を含む五万分の一地形図「苗場山」「岩菅山」の測量年は国土地理院のウェブページで確認でき、昭和30年代までに行われた測量は明治45年(1912年)、昭和6年(1931年)、昭和27年(1952年)(岩菅山)、昭和28年(1953年)(苗場山)、 昭和34年(1959年)であることが確認できる。
国土地理院「地形図・地勢図図歴 苗場山」[最終確認日 2024.04.16]
国土地理院「地形図・地勢図図歴 岩菅山」[最終確認日 2024.04.16]
明治45年から大正元年(1912年)
『陸地測量部沿革誌 第1至5編』陸地測量部編・刊 1922
昭和6年(1931年)
『陸地測量部沿革誌 終末篇』高木菊三郎著・刊 1948
昭和27年(1952年)(岩菅山)
『地理調査所時報 (14)』地理調査所総務課編・刊 1952
『地理調査所時報 (15)』地理調査所総務課編・刊 1952
昭和28年(1953年)(苗場山)
『地理調査所時報 (16)』地理調査所総務課編・刊 1953
昭和34年(1959年)
『地理調査所時報 (23)』地理調査所総務課編 建設省地理調査所 1959
上記資料はいずれも国立国会図書館デジタルコレクション 図書館・個人送信限定で最終確認日は2024年4月16日。
このうち、明治45年(1912年)、昭和6年(1931年)については、国土地理院の前身である陸地測量部の変遷と活動内容が書かれた沿革誌で該当年の記述が確認できるが、各地の調査の詳細までは掲載がなく、秋山郷の測量を行った際の様子等は確認できなかった。3. 秋山郷に関する調査や文献について
落人伝説に関わる記述は確認できなかったが。秋山郷を訪れた人が書いた文献や秋山郷をフィールドとした調査に関する資料を紹介した。
・関戸明子著「秋山郷における秘境イメージの形成と流通」2016『群馬大学教育学部紀要』人文・社会科学編 第65巻 p.37-54所収[最終確認日 2024.04.16]
江戸時代から昭和初期における秋山郷に関する書籍や新聞等の資料にみられる秘境としての秋山郷の受け止められ方について考察をしている論文。群馬大学の機関リポジトリで公開されており、リンク先から閲覧可能。
秋山郷を訪れた人が書いた文章を多数引用して紹介しているが、「源氏はまだ栄えているのか」と聞かれたという逸話の掲載はない。
・『秋山郷の民家』長野県教育委員会編・刊 1962【N521/7】【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】[最終確認日 2024.04.16]
昭和34年(1959年)に行われた民家の調査の報告書。
民家の間取りや構造等が主で伝承等の記述は確認できない。
・『長野県栄村誌 歴史編』栄村誌編纂委員会事務局・村誌編纂室編 長野県下水内郡栄村2022【N211/91/1】
秋山郷の長野県側の部分を含む村の歴史をまとめた資料。
p.299-301「近代以降の激変と秋山の現在」に明治以降の秋山郷に関する記述があるが、ご質問の内容の逸話は確認できない。
- 回答プロセス
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1 秋山郷を含む地元の歴史について書かれた資料を参照する
・『長野県栄村誌 歴史編』(回答記載)
・『津南町史 通史編 下巻』津南町史編さん委員会編 津南町役場 1985【N250/59/2】
秋山郷の新潟県側の部分を含む町の歴史をまとめた資料。
・『長野県史 民俗編 第4巻(3)北信地方』長野県編 長野県史刊行会 1986【N209/11-3/4-3】
栄村を含む北信地域の口頭伝承などを確認できた「平家谷」の項目を参照したが、関連する内容は確認できなかった。2 民話に関する資料から記載を探す
・『日本昔話通観 第29巻』稲田浩二編 同朋舎出版 1990【388.1/イコ/29】
同シリーズの索引巻。索引の項目「平家」を確認したが、長野県が含まれる12巻についての該当ページは確認できなかった。
・『日本昔話通観 第10巻』稲田浩二編 同朋舎出版 1984【388.1/イコ/10】
上記索引巻で確認できた「平家」の語を含むページを参照したが、落人の集落に関する昔話ではなかった。
・『日本昔話通観 第28巻』稲田浩二編 同朋舎出版 1988【388.1/イコ/28】
昔話をタイプ別にまとめ、概略が記載されている巻。目次及び索引を確認しましたが「平家」や「平家谷」「源氏」に関わる項目は確認できなかった。
・『秋山物語』浅川欽一編 スタジオ・ゆにーく 1977【N388/74】
・『信濃の民話 第13巻 奥信濃の民話』信州児童文学会編 信濃教育会出版部 1984【N388/66/13】
・『信州の民話伝説集成 北信編』高橋忠治編著 一草舎出版 2005【N388/250/1】3 秋山郷の測量に関する資料を探す
測量とのことだったため、全国を収録範囲としている国土地理院の「地形図」の図歴を確認し、関連資料を参照したが、有力な情報は得られなかった。4 国立国会図書館デジタルコレクションで秋山郷の測量に関する資料を探す
「国立国会図書館デジタルコレクション」で特徴的な「源氏はまだ栄え」をキーワード検索し、本文にこの逸話が登場する資料を探す。<その他調査資料>
・『日本歴史地名大系 15 新潟県の地名』平凡社 1986【291.03/ニホ/15】
- 事前調査事項
- NDC
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- 伝説.民話[昔話] (388)
- 中部地方 (215)
- 参考資料
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伊能孝 著. 秘湯の旅 : 野趣とスリルのはだか天国. 読売新聞社, 1963. (サラリーマン・ブックス)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001047154 -
辺見じゅん 著. 新・北越雪譜. 角川書店, 1985. (角川選書 ; 153)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001727107 , ISBN 4-04-703153-4
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伊能孝 著. 秘湯の旅 : 野趣とスリルのはだか天国. 読売新聞社, 1963. (サラリーマン・ブックス)
- キーワード
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- 秋山郷
- 落人伝説
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000349130