レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/06/17
- 登録日時
- 2024/05/02 00:30
- 更新日時
- 2024/05/02 09:56
- 管理番号
- 所沢柳瀬-2024-001
- 質問
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解決
マヤ神話のポポル・ヴフにでてくるシバルバーについて知りたい。載っている本はあるか。
- 回答
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下記の資料に記載があります。
〇『マヤ神話ポポル・ヴフ』 A.レシーノス/原訳 中央公論新社 2016年
〇『アステカ・マヤの神話』 カール・タウベ/著 丸善 1996年
〇『マヤ文明』 実松克義/著 現代書館 2016年
〇『マヤ文明新たなる真実』 実松克義/著 講談社 2003年
- 回答プロセス
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1.定義の確認
「ポポル・ヴフ」とはキチェー族秘蔵の、その歴史を記した文書である。ほかに「諮問の書」「聖なる書」「キチェー民族の書」などと呼ばれている。(『マヤ神話ポポル・ヴフ』 A.レシーノス/原訳 中央公論新社 2016年 p.13-15「入門」より)
2.所蔵資料内容確認
〇『マヤ神話ポポル・ヴフ』 A.レシーノス/原訳 中央公論新社 2016年
p.50「入門」に記載されている。
「(前略)ブラシュール・ドゥ・ブールブールがいうヒメーネス神父の「偏見」については、彼が指摘しているシバルバー王国について言うなら、たしかにヒメーネスはシバルバーXiballbaを「地獄」と訳している。しかしこの問題はきわめて議論の分かれるところで、後述するとおり、この物語に現われるシバルバーは、人間を苦しめる悪霊の住む地下の国をさしていることは否めないところである。(後略)」と記載あり。
p125「ポポル・ヴフ 第二部」「第一章」にマヤ神話におけるシバルバー攻略に関する記載あり。
「そこへ、カクルハー・フラカンとチピ・カクルハーとラサ・カクルハーの使者である一羽の鷹が様子を眺めにやって来た。だが鷹は、地上のほど遠からぬところに舞い降りるかと思えば、シバルバー(6)から遠く離れることもなく、(後略)」と記載あり。
p.307「訳注」「第二部」「第一章」「(6)」に記載あり。
「キチェー族は人間の敵が住んでいるシバルバーXiballbaという地下の国があるものと信じていた。コートCoto神父はXiballbaは「悪魔」または「死者」を意味するとしている。メキシコのユカタン地方でも「悪魔」をXiballbaとよんでおり、xibilが「まぼろし」の意に使われている。マヤ族の踊りであるXiballba Ocotは「悪魔の踊り」の意である。」と記載あり。
〇『アステカ・マヤの神話』 カール・タウベ/著 丸善 1996年
p.100-111「マヤの神話」「双子の英雄とシバルバ攻略」にイラストや写真とともに内容について記載あり。
p.100「(前略)だが彼らにとっての最大の勝利は、恐るべき地下界、シバルバで死神や魔神を退治したことであろう。(中略)石造りの球戯場でボール遊びをすることを何よりの楽しみにしていた。ところがこの球戯場は、地上にあるとはいえ、実は冥界シバルバへ通じる道でもあった。(中略)シバルバ中から死神や疫病神を呼びあつめ、双子の息の根をとめてやろうと話あった。(中略)シバルバへの道はながく険しく、早瀬やいばらや血の川などさまざまな障害が二人を待ち受けていた。それを次々と乗り越えていくと、やがて彼らは四色の道が交差している十字路に出た。彼らは黒い道を選ぶが、実はこれが破滅への第一歩となるのである。(後略)」と記載あり。
p115「マヤの神話」「古典期マヤの宗教にみる『ポポル・ヴフ』創世神話」に記載あり。
「(前略)最も多いのは、フン・フンアフプが淀みのなかに立っているパターンだが、古代マヤでは地下界は水の多い場所と考えられていたことから、おそらくシバルバを表わしたものではないかと思われる。(後略)」と記載あり。
3.後日調査の追加事項
〇『マヤ文明』 実松克義/著 現代書館 2016年
p.123「第六章 マヤ・カレンダー」「冥界歴(シバルバー歴)」に記載あり。
「マヤの冥界のことをシバルバーと言う。シバルバーには九人の大王が存在する。(後略)」と記載あり。
p.299-304「第一六章 マヤ文明の精神史(一)」「第二の歴史時代」に写真やイラストとともに記載あり。
p.299「(前略)シバルバー(Xiballba)は、マヤ・キチェー語で「冥界」「地獄」という意味である。」
p.300「シバルバーとは何を意味しているのか。マヤにおける死者の世界、冥界、あるいは地獄を意味している。同時にまた古代マヤ人の洞窟信仰を表すものである。マヤ人は世界が二二の層になっていると考えた。このうち一三層が地上、または天空にあり、また九層が地下にあった。マヤ人は冥界が地底、あるいは洞窟の暗黒世界にあると信じた。(後略)」
p.302-303「シバルバーの世界観を最もよく表しているものはそこに存在する六つの拷問の館である。すなわち(1)暗黒の館、(2)刃物の館、(3)寒さの館、(4)ジャガーの館、(5)火の館、(6)蝙蝠の館)(16-8参照)である。これらは次のような意味を持つと考えられる。
(1)暗黒の館:夜の象徴である。また不安、恐怖の象徴でもある。
(2)刃物の館:生贄、血の象徴である。また鉱物、乾期の象徴でもある。
(3)寒さの館:冬(寒冷期)の象徴である。また冬至の象徴でもある。
(4)ジャガーの館:力、権力の象徴である。また生命エネルギーの象徴でもある。
(5)火の館:太陽、光、昼の象徴である。また夏至の象徴でもある。
(6)蝙蝠の館:死、冥界、不吉なものの象徴である。」
p.304「双子の兄弟は震える峡谷、うめく峡谷、さらにサソリの川、血の川、膿の川を越え、ようやくシバルバーの入り口に到達する。だがはじめて見るシバルバーは理解を超えた、二人の経験と知恵がまったく及ばない世界であった。(後略)」と記載あり。
p.354「第一九章 マヤ調和の思想カバウィル」「フン・カメーとヴクヴ・カメー」に冥界シバルバーを治めた大王について記載あり。
「フン・カメー(Jun kamé)、ヴクブ・カメー(Wukub kamé)は地下帝国シバルバーを支配する二人の大王である。彼らはアッハカメー一族(Aj kamé、死の人々)の最高指導者として恐怖政治を実行し、シバルバーに君臨した。したがって悪のカバウィルである。だが英雄フナプ、イシュバランケ兄妹との戦いに負け、最後には冥界から抹殺される。」と記載あり。
p.354「同章」「シバルバーの一〇人の軍事指揮者」に冥界シバルバーの軍事指揮者について記載あり。
「シバルバーにはこの他にも大小さまざまの王、軍高官が存在したようである。神話に述べられている一〇人の指揮官はその代表であろう。興味深いのは、これらの存在が二人一組となって行動し、残虐行為を行うことである。(後略)」と記載あり。
〇『マヤ文明新たなる真実』 実松克義/著 講談社 2003年
p.99「第五章 地底帝国シバルバー ――第二の歴史的段階」「シバルバーとアッハカメー族」に記載あり。
「地下世界シバルバーは、キチェー語で「モグラが恐怖を与える場所」という意味だ。ここで、モグラがシバルバーの住民を意味するのは言うまでもない。シバルバーの住人の正式な名称をアッハカメーと言う。アッハカメーとは「死の人々」という意味だ。シバルバーはマヤの世界における死の世界、冥界である。(後略)」
p.102-103「同章」「地底帝国シバルバー」に記載あり。
「シバルバーは地底の世界である。そこに到達するためには地下深く下りてゆかねばならないが、途中には多くの難所が存在する。シバルバーの洞窟の前には、道が交差する十字路があった。東が赤、西が黒、北が白、南が黄色に塗られた、マヤの十字架である。洞窟の中に一歩足を踏み入れると、そこはおそろしい拷問センターであった。拷問センターには、目的が異なる六つの拷問の館がある。
(一)暗黒の館 ここは光がまったく差し込まない暗黒の世界である。
(二)黒曜石の刃物の館 ここでは石英、黒曜石の刃物が犠牲者を待っている。
(三)寒さの館 すべてが凍りつく氷の世界である。
(四)虎の館 ここに住むのは空腹に飢えた虎である。
(五)火の館 火が燃え盛る焦熱地獄である。
(六)蝙蝠の館 ここには冥界の象徴である不気味な蝙蝠が住む。
これらの館は、アッハカメー族の世界観を知るうえできわめて象徴的な存在である。暗黒の館が表すものは、絶対的な支配者としての暗黒の世界である。黒曜石の刃物の館は冬至の時に大地が乾いて鉱物化することを表す。寒さの館は生命の統治者としての冬と冬至を表す。虎の館は物質的、本能的存在としての人間を表す。火の館は夏至の象徴で、その時、地球は太陽からの熱をもっとも多く受ける。蝙蝠の館は生命の終わりとしての死を意味する。」と記載あり。
p.105「同章」「暴政社会」に記載あり。
「(前略)地下世界シバルバーは一般に死者の世界、冥界というふうに理解されている。死の人々、アッハカメー族はその住人であるというわけだ。たしかに現代マヤに残る伝統でも、シバルバーは地下にある死の世界とされる。それは死の限りない闇と、深さと迷妄を意味する。まさに「モグラが恐怖を与える場所」である。」と記載あり。
4.記載のなかった資料
×『マヤ文明』 青山和夫/著 岩波書店 2012年
×『古代マヤ』 ナサニエル・ハリス/著 BL出版 2014年
×『 古代アメリカ文明』 増田義郎/著 山川出版社 2010年
- 事前調査事項
- NDC
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- 神話.神話学 (164 9版)
- メキシコ (256 9版)
- 参考資料
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- マヤ神話ポポル・ヴフ A.レシーノス/原訳 中央公論新社 2016.4 164.571 978-4-12-206251-1
- アステカ・マヤの神話 カール・タウベ/著 丸善 1996.3 164.56 4-621-06044-9
- マヤ文明 実松克義/著 現代書館 2016.9 256.03 978-4-7684-5772-6
- マヤ文明新たなる真実 実松克義/著 講談社 2003.1 256.03 4-06-211632-4
- キーワード
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- マヤ神話
- マヤ文明
- シバルバー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000349672