レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年01月25日
- 登録日時
- 2022/01/25 10:42
- 更新日時
- 2022/01/31 13:50
- 管理番号
- 21-J2-8
- 質問
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解決
織部司以外の者に対して1048年頃に出された、私的生産を禁じた法律がどのようなものか知りたい。
- 回答
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後冷泉天皇が永承三年八月七日(1048年)に出した宣旨「一制止私織綾錦事」
・資料5『新抄格勅符抄;法曹類林;類聚符宣抄;続左丞抄;別聚符宣抄』新訂増補, 新装版. 吉川弘文館, 1999. (國史大系 ; 27) (請求記号:210K/3991-2/v.27)
『続左丞抄』p.197-198「後冷泉天皇宣旨」
・資料7『平安遺文』竹内理三編;古文書編 第3巻. 訂正版. 東京堂出版, 1963.(請求記号:210/176/v.3)
p.786-787「665後冷泉天皇宣旨」
上記2点で宣旨の閲覧ができる。
また宣旨が出された背景・経緯については、以下回答プロセス内に概略を記載した。
- 回答プロセス
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1.辞事典類を調べる。
NDC第7版:210(日本-歴史)下記資料 ※383(衣食住の習俗)、593(衣服.裁縫)は該当なし
資料1『日本史大事典』平凡社, 1992.(請求記号:R/210/5501/ v.1)
・p.1279「織部司 おりべのつかさ」の項
大宝令で設けられた大蔵省被官の官司。朝廷用の錦・綾・紬・羅など高級絹織物の織成・染色をつかさどる。「おりべし」ともいう。
・p.1279-1280「織物」の項「平安時代」の段
「1048年(永承三)8月に、織部司以外の官衙や貴族たちが内密に織物を生産することを禁じた宣旨が出されている。その意味するものは、第一に高級織物を生産してきた織部司の独占的地位が失われたこと(官営事業としての意義が希薄になってきたこと)である。第二には私織の発生によって生産の多様化と利潤の追求、第三に、その結果として織部司の仕事はおろそかにされ、官営生産が低下した。生産体制の変貌や国風文化の勃興は、織物の内容にも変化をもたらした。(要約)」とある。
〈資料1に掲載されていた参考文献〉
永原慶二他編『紡織』講座・日本技街の社会史3、日本評論社、1983年 ➔資料4
資料2『平安』村井康彦編. 筑摩書房, 1980.(年表日本歴史;2) (請求記号:R/210/4263/v.2)
・p.136 永承三年(1048)に「織部の司の訴えにより、諸官衙・院宮・諸臣の雑色人らが私に綾錦を織ることを禁じる。(続左丞抄)」とあり。
〈資料2に掲載されていた参考文献〉
『続左丞抄』➔資料5
資料3『平安時代史事典』古代学協会・古代学研究所編 ; 本編上. 角川書店, [1994.4](請求記号:R/210/5765/v.1)
・p.422「織部司」「織物」の項
「永承三年(1048)八月七日付の後冷泉天皇宣旨(『平遺』六六五)には、私に綾錦を織ることを制する中で「諸司諸衛諸宮諸臣召使出納雑色人等。恣構其機。任意織用。只好私利不叶公役」と述べている。」とある。
〈資料3に掲載されていた参考文献〉
浅香年木『日本古代手工業史の研究』(東京、昭和46) ➔資料6
『平安遺文』665 ➔資料7
2.資料1~3で参考文献として掲載されていた資料について、当館で所蔵しているか確認する。
資料4『紡織』永原慶二[ほか]執筆. 日本評論社, 1983.(講座日本技術の社会史 ; 3)(請求記号:502K/134/v.3)
・佐々木銀弥”中世衣料の生産と流通”内p.39-40に、「織部司は天皇の御服製造という公約をつとめる代償として、一般の人々の需要にもこたえる生産を許されている。しかし、織部司以外の官衙や貴族に仕える織手たちが、公役を務めることなく私的営利活動をすることに、織部司が異議をとなえた。この訴えを朝廷が受け入れて宣旨が出された。(要約)」と記載あり。
資料5『新抄格勅符抄;法曹類林;類聚符宣抄;続左丞抄;別聚符宣抄』新訂増補, 新装版. 吉川弘文館, 1999. (國史大系 ; 27) (請求記号:210K/3991-2/v.27)
・p.197-198『続左丞抄』に、後冷泉天皇宣旨として「一制止私織綾錦事」の記載あり。
資料6『日本古代手工業史の研究』浅香年木著. オンデマンド版. 法政大学出版局, 1971.(請求記号:502K/342)
・「第3章 平安期の都市における手工業生産」内p.188に、永承三年八月七日付の後冷泉天皇宣旨の抜粋と、平安時代の手工業生産について解説されている。またp.101,181-183,185,192-194に「織部司」について各種記載あり。
資料7 『平安遺文』竹内理三編;古文書編 第3巻. 訂正版. 東京堂出版, 1963.(請求記号:210/176/v.3)
・p.786-787 後冷泉天皇宣旨として「一制止私織綾錦事」の記載あり。
- 事前調査事項
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データベース「ジャパンナレッジLib NK」を検索したが、語句の説明のみで法律に関する記述は見つからなかった。
- NDC
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- 日本史 (210 7版)
- 衣食住の習俗 (383 7版)
- 衣服.裁縫 (593 7版)
- 参考資料
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- ①『日本史大事典』 第1巻. 平凡社, 1992. , ISBN 4582131018 (請求記号:R/210/5501/v.1)
- ②『平安』村井康彦編. 筑摩書房, 1980.(年表日本歴史;2) (請求記号:R/210/4263/v.2)
- ③『平安時代史事典』古代学協会・古代学研究所編 ; 本編上. 角川書店, [1994.4] , ISBN 4040317009 (請求記号:R/210/5765/v.1)
- ④『紡織』永原慶二[ほか]執筆. 日本評論社, 1983.(講座日本技術の社会史 ; 3) , ISBN 4535048037 (請求記号:502K/134/v.3)
- ⑤『新抄格勅符抄;法曹類林;類聚符宣抄;続左丞抄;別聚符宣抄』新訂増補, 新装版. 吉川弘文館, 1999. (國史大系 ; 27) , ISBN 4642003290 (請求記号:210K/3991-2/v.27)
- ⑥『日本古代手工業史の研究』浅香年木著. オンデマンド版. 法政大学出版局, 1971. , ISBN 4588920111 (請求記号:502K/342)
- ⑦『平安遺文』竹内理三編;古文書編 第3巻. 訂正版. 東京堂出版, 1963. (請求記号:210/176/v.3)
- キーワード
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- 1048年(永承3年)平安時代
- 後冷泉天皇
- 織部司
- 織物
- 日本-服飾-歴史
- 日本-歴史
- 日本-手工芸-歴史
- 平安遺文
- 続左丞抄
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 歴史
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000311138