レファレンス事例詳細

中世ヨーロッパの警察機構について、阿部 謹也∥著『中世の窓から』に、次のように記されている。

p32　"（略）―中世には殺人や傷害などの犯罪が行われたとき、現在のような専業職としての警察機構がありませんでしたから、被害者やその縁者が犯人を追跡し、捕らえなければなりません。―（略）―現行犯をその場で殺してしまうこともできたのです。犯人を特定できないときには、犯人が属する氏族の一人に対して報復するばあいもあり、―（略）―過失で人を殺傷したばあいには、被害者の一族につけ狙われることになり、裁判までの間、無事に過ごすことも困難になります。"

また、以下の資料に次のような記述がある。

・『中世英国人の仕事と生活』テリー　ジョーンズ∥著 アラン　エレイラ∥著 原書房 2017.3
p101　"（略）―当時の法制度は明らかに、犯罪の被害者やその身内が犯人を名指しすることに頼っていた。"

・『新書ヨーロッパ史 中世篇』堀越 孝一∥編 講談社 2003.5
p176～177　"（略）―警察機能が十分に確立されていなかった中世都市においては、とりわけ夜の治安維持は極めて困難であった。"

・『21世紀イギリス文化を知る事典』出口 保夫∥編 小林 章夫∥編 齊藤 貴子∥編 東京書籍 2009.4
p295～296　治安を守る人々
イギリスの警察官の起源について記述あり

参考として、中世の騎士の役割について以下の資料を紹介。

・『中世の騎士文化』ヨアヒム　ブムケ∥著 白水社 1995.5
・『図説騎士の世界』池上 俊一∥著 河出書房新社 2023.9
・『ヨーロッパ中世社会史事典』A.ジェラール∥[著] 藤原書店 2000.6
　p78～79　騎士身分
・『中世ヨーロッパ生活誌』ロベール　ドロール∥著論創社 2014.11
　p222～264　戦う人々――騎士たち
・『西洋騎士道大全』アンドレア　ホプキンズ∥著 東洋書林 2005.11
・『中世フランスの騎士』ジャン　フロリ∥著 白水社 1998.8