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レファレンス事例詳細

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事例作成日
2022年09月30日
登録日時
2022/10/30 22:07
更新日時
2022/11/11 23:10
提供館
県立長野図書館 (2110021)
管理番号
県立長野-22-127
質問

解決

岡谷市出身の画家武井武雄が小学生の時に書いた絵に「田中氏諏訪湖上ニテ氷滑ヲナス」がある。1906年頃の諏訪湖におけるスケート大会に、田中稲実・克積兄弟が参加していたか知りたい。また、小学生もスケートをしていたか知りたい。
回答
『信濃毎日新聞』のデータベース収録紙面、および『長野新聞』のマイクロフィルムで、明治39年(1906年)、40年(1907年)、41年(1908年)の諏訪湖氷滑大会の記事を調べたが、参加者の名前は、競技の表彰者の他は来賓の名前があったのみだった。これらの大会参加者に、田中兄弟の名前は確認できなかった。

 『下諏訪町誌 下巻』 増訂版 下諏訪町誌増補版編纂審議会編 甲陽書房 1999【N241/36a/3】p.787-790に、スケートの項目があり、
    明治三十五年の冬札幌中学校から諏訪中学校へ転校してきた田中稲美が、カスガイスケート(仙台
   式スケート)で田圃で滑り、翌三十六年二月諏訪湖が結氷したので、始めて諏訪湖で滑った(第198
   図)。
と、田中兄弟のことに触れている。また、第198図は写真で、明治40年1月にインド留学生が諏訪湖へスケートに来た時の記念写真となっており、田中稲美が指導者として一緒に写っている。
 『諏訪史 第5巻』 諏訪教育会編・刊 1986【N241/6/5】p.323-324にもスケートの記述があるが、上記同様、三十五年に転校してきた田中稲実克積兄弟が翌年二月、仙台式スケートで滑ったことが記されているのみ。
 『諏訪市史 下巻 近現代』 諏訪市史編纂委員会編 諏訪市 1976【N241/69/3】p.699-702にスケートの項目がある。ここでは、
    札幌中学校から諏訪中学校へ転校してきた田中稲実・克己兄弟が、明治三十六年(1903)三月、
   カスガイスケートでトレースを描いたのが、諏訪湖のスケートの始めだといわれている。
とあり、いわゆるスピードスケートではなく、フィギュアスケートを行ったと考えられる。

 諏訪中学校を前身に持つ諏訪清陵高等学校の学校史『清陵八十年史』 諏訪清陵高等学校同窓会編・刊 1981【N376.4/88】p.343-344では、同校のスケート部についての項目があった。部の発足は明治39年とあり、同40年の諏訪湖氷上運動会には招待選手20名を送り出したことが書かれている。田中兄弟については、札幌から諏訪へ移り住み、スケート普及のもととなった旨が書かれているのみ。兄・稲実が7回(明治39年)の卒業生で、弟・克積が9回(明治41年)の卒業生とわかる。

 『小井川小学校百年史』百年史編纂委員会編 小井川小学校百周年記念事業実行委員会 1973 【N376.2/51】の卒業生が寄せた文のうち、p.52-53に武井武雄と同級生だった方の「小井川校のいやさかを祈る」があり、その中で、
    スケートも四年生の頃流行って来ました。校舎の裏に小さな池を作り先の丸いスケートでした。先
   生のスケートはねぢで靴に取付ける様な良いのでした。
とあった。

・臼田明著 「近代スケートの稲垣移入説の考察-その移入・発祥をめぐって-」
      『信濃第3次』 第38巻12号 p.38-50
・臼田明著 「長野県に於ける下駄スケートの歴史」『信濃第3次』 第49巻7号 p.59-69

 上記二つの論文は、諏訪にスケートがもたらされた経緯と、その際の道具となるスケートの種類について言及している。諏訪地方の誌史類に記された田中兄弟が持ち込んだスケートの種類については、カスガイスケートではなく、靴スケートだったのではないかと論じている。「長野県に於ける下駄スケートの歴史の歴史」には、各種スケートの図が掲載されている。

 『諏訪市スケート協会のあゆみ 2012』 植松美恵子編 諏訪市スケート協会 2012 【N784/74】 p.18に明治30年代の年表がある。競技会の記載もあるが、田中兄弟については、明治36年1月の諏訪湖上で初めてスケートをしたことが書かれているのみ。
回答プロセス
1 利用者調査済みの資料『日本のスキー・スケート 明治・大正期の長野県』で、田中稲実・克積兄弟と武井武雄の関係を確認する。田中兄弟が札幌から諏訪中学へ転校してきて、諏訪湖でフィギュアスケートをしたことがわかった。

2 当館契約の「信濃毎日新聞データベース」で明治期の出来事を「スケート」で検索する。諏訪湖で初めてスケート大会が開かれたという記事が明治39年(1906年)2月19日だった。一連の記事を見ていくが、田中兄弟の名前は確認できない。

3 同時期の「長野新聞」をマイクロフィルムで見ていく。

3 諏訪湖周辺の市町村史誌を調べる。『下諏訪町誌 下巻』『諏訪史 第5巻』『諏訪市史 下巻 近現代』に記述を見つける。

4 田中兄弟は諏訪中学へ転校してきていることから、諏訪中学校を前身に持つ諏訪清陵高等学校の学校史『清陵八十年史』を調べる。

5 武井武雄が在籍していた『小井川小学校百年史』を調べると、武井と同級生だった方の文章を見つける。小学生の間でも、スケートが流行っていたことがわかった。

6 所蔵する長野県関係のスケートの本を調べる。

7 郷土史雑誌の論文を「スケート」で検索する。

<調査資料>
・『信濃毎日新聞』
  明治39年2月19日 第2面「諏訪湖の氷滑会」
  明治39年2月20日 第2面「諏訪湖氷滑大会」
    大会の様子が書かれているが、選手の名前の記載はない。
  明治40年2月10日 第1面「新辷場発見の記」
    諏訪湖の結氷が緩んだため、大会会場となるスケート場を別の池に求めた記事。代替地となった中
   山池は、小井川、岡谷の両小学校の生徒がスケート練習をしている池で、無事開会の運びとなったこ
   とが書かれている。
  明治40年2月11日 第2面「氷辷大会彙報」
    大会の様子が書かれているが、選手の名前はない。優勝者が所属する学校名、諏訪中学、松本中
   学と書かれているのみ。
  明治40年2月12日 第5面「十日氷辷大会」
    大会の様子が詳しく書かれており、距離競技の入賞選手の所属と名前がある。その他の競技は演目
   名のみ。
  明治40年2月13日 第3面「十一日氷辷大会」
    大会の様子が詳しく書かれており、距離競技の入賞選手の所属と名前がある。その他の競技は演目
   名のみ。
  明治41年2月3日 第2面「第三年氷滑大会/氷滑大会続報」
    大会の開催について書かれており、距離競技の優勝選手の所属と名前がある。
  明治41年2月4日 第3面「諏訪湖氷辷会大会」
    大会の来賓について書かれており、距離競技の優勝選手の所属と名前がある。
・『長野新聞』
  明治39年2月18日 第2面「諏訪の氷滑会」
  明治39年2月19日 第2面「諏訪湖の氷滑会」
  明治40年2月13日 第3面「諏訪氷滑大会」
    大会の様子が書かれており、距離競技の入賞選手の所属と名前がある。
  明治41年2月3日 第2面「諏訪の氷滑会」
    距離競技の優勝選手の名前がある。
  明治41年2月4日 第3面「諏訪湖水氷滑大会」
    大会の様子が書かれており、前日報道の距離競技の入賞選手の所属と名前がある。
・『下諏訪町誌 民俗編』 下諏訪町誌民俗編編纂委員会編 下諏訪町 2000 【N241/36-1】
・『諏訪の今昔』 武田安弘監修 郷土出版社 2002 【N241/164】
・『小井川区誌』小井川区誌編纂委員会編・刊 2007 【N241/179】
・『下諏訪の歴史』 今井廣亀著 下諏訪町立博物館 1977 【N241/76】
・『下諏訪歴史散歩』 両角俊一著 下諏訪歴史散歩刊行会 1984 【N241/107】
・『日本スケート史』 堀忠雄[ほか]編 日本スケート史刊行会 1975 【N784/4】
・『南信日日新聞』 明治39年は欠号
事前調査事項
『日本のスキー・スケート 明治・大正期の長野県』 臼田明著 信毎書籍出版センター 2013【N784/73】
NDC
  • 冬季競技 (784 10版)
  • 中部地方 (215 10版)
参考資料
  • 下諏訪町誌増補版編纂審議会 編纂 , 下諏訪町 (長野県). 下諏訪町誌 下巻 増訂版. 甲陽書房, 1990.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002072966-00
      (【N241/36a/3】p.787-790)
  • 諏訪教育会/著 , 諏訪教育会 , 諏訪教育会. 諏訪史 第5巻. 諏訪教育会, 1986-00.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059269409-00
      (【N241/6/5】p.323-324)
  • 諏訪市史編纂委員会/編 , 諏訪市史編纂委員会. 諏訪市史 : 近現代 下巻 . 諏訪市, 1976-00.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059396884-00
      (【N241/69/3】p.699-702)
  • 諏訪清陵高等学校同窓会/編 , 諏訪清陵高等学校同窓会. 清陵八十年史. 諏訪清陵高等学校同窓会, 1981-00.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059162212-00
      (【N376.4/88】p.343-344)
  • 百年史編纂委員会/編 , 百年史編纂委員会 , 百年史編纂委員会. 小井川小学校百年史. 小井川小学校百周年記念事業実行委員会, 1973-00.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059196906-00
      (【N376.2/51】)
  • 信濃史学会 編 , 信濃史学会. 信濃 [第3次] 38(12)(444). 信濃史学会, 1986-12., ISSN 02886987
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I002439462-00
  • 信濃史学会 編 , 信濃史学会. 信濃 [第3次] 49(7)(570). 信濃史学会, 1997-07., ISSN 02886987
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I002470635-00
  • 植松 美恵子/編 , 植松 美恵子. 諏訪市スケート協会のあゆみ : 創立64周年 2012. 諏訪市スケート協会, 2012-11.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059343293-00
      (【N784/74】 p.18)
キーワード
  • 武井武雄
  • 田中稲実
  • 田中克積
  • スケート
  • 諏訪湖
  • 氷滑大会
  • 諏訪市
  • 諏訪郡下諏訪町
照会先
寄与者
備考
調査種別
文献紹介 事実調査
内容種別
郷土 人物
質問者区分
社会人
登録番号
1000323231
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000323231 コピーしました。
アクセス数 2899
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