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レファレンス事例詳細

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事例作成日
2021年01月19日
登録日時
2023/01/20 14:15
更新日時
2024/06/06 13:27
提供館
県立長野図書館 (2110021)
管理番号
県立長野-22-189
質問

解決

長野県松本市安曇(旧安曇村)にある釜トンネルの建設から現在までの歴史について、参考文献などがあれば知りたい。
回答
釜トンネルの歴史に関する記載が確認できた資料は、以下のとおり(最終確認日:2023.2.10)。

・斎藤正彦「梓川発電計画の概要」『電気協会雑誌』第462号 1962 p.15 (14コマ目)
   【国立国会図書館デジタルコレクション/インターネット公開】
 「大正四年大正池が出来てからは、上高地はますます世の知るところとなり、交通不便とはいうもののわずかながらも、登山者が年ごとに増加した。ところが大正十五年になって大正池を貯水池とする霞沢発電所の電源開発工事が始まることとなり、交通不便のこの池に、昭和二年工事用運搬道路が開通し、遂に昭和四年には中ノ湯までバスが通じるようになった。そして昭和三年難工事であった釜トンネルも通じ、上高地までバスが乗り入れられ、現在の上高地の賑いをみるにいたった。」という記載を確認した。

・『カラー上高地』山と渓谷社編・刊 1967【N233/30】p.26 (17コマ目)
【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
 「このトンネルの開通には、莫大な費用と多くの日数を要して、工事犠牲者も出た。そんなことから、釜トンネルは幽霊が出るという噂もあった。バスが初めて乗り入れたのは昭和8年の9月で、その日から、観光地上高地が生れたのである。」という記述を確認した。

・髙見元久「上高地の玄関口「釜トンネル」」
        『Consultant Civil Engineering』建設コンサルタンツ協会 VOL.294 2022 p.8-11
 釜トンネルの変遷や改良工事について、端的にまとめられている。

 
  また、調査済み資料である『釜トンネル 上高地の昭和・平成史』と同様の記述が確認できたので、
合わせて紹介した。

・『安曇村誌 第3巻 歴史 下』安曇村誌編纂委員会 安曇村 1998【215/ア/3】
  p.516-519 明治11(1878)年から平成9(1997)年までの交通年表が記載されている。
  p.531-533 「上高地道」の項目で、釜トンネルの開通について述べている。
  p.631-638 明治10(1877)年から平成8(1996)年までの上高地関係年表

・『上高地の大将 アルプス暮し四十年の記録』木村殖 実業之日本社 1979【786/キ】p.116
 『釜トンネル 上高地の昭和・平成史』の引用元となっている資料であり、「釜トンネルが開かれたのは大正十三年から十四年にかけてである。」という記述を確認した。

・山崎安治「乗鞍岳(3)」『温泉』49巻1号(通巻545号) 1981 p.18 (10コマ目)
           【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
 「霞沢発電所建設工事の資材運搬路として掘削され、大正15年に完成した。」と記載あり。

・『関西からのドライブガイド』創元社編集部 創元社 1962 p.207 (111コマ目)    
           【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
 「釜トンネルは昭和八年からの開通で、内部は狭く、バスが脇腹をこすることもあるという。」という記述を確認した。

・『上高地 (カラーブックス)』布施正直 保育社 1966 p.21 (16コマ目)
           【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
 「釜トンネルの完通は、上高地の発展に決定的な意味を与えた。五百メートルあまりの隧道をバスが通る時、窓ガラスが、荒い岩肌すれすれにふれそうになる。昭和八年に完成し、その年のうちに上高地までバスが入っている。」という記載がある。

・『梓・犀川・姫川』市川健夫 信濃路 1974【N290/285/4】p.24(15コマ目)
           【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
 「昭和八年難工事であった釜トンネルが開通し、九月河童橋までバスが乗り入れた。」とある。

・『北安曇誌 第5巻 近代・現代 下』北安曇誌編纂委員会編・刊 1984【N231/13/5】p.984 (513コマ目)
                  【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
 「上高地や槍・穂高岳方面でも、昭和4年には中ノ湯までバスが通るようになり、8年には釜トンネルが
完成して上高地までバスが入るようになって、登山の大衆化は一段と進んだ。」と記述されている。

・『長野県の地誌』小林寛義 信濃教育会出版部 1985【N290/221】p.203-204 (119-120コマ目)  
                  【国立国会図書館デジタルコレクション/図書館・個人送信限定】
 「上高地の開発に関する年表」で「1933(昭和8年) 釜トンネル開通し、9月河童橋まで初めてバス入る。徳本峠越えの道はすたれる。」の記載を確認した。
回答プロセス
1 事前調査資料の『釜トンネル 上高地の昭和・平成史』で概略を掴む。
同資料の引用文献を調査する。
『上高地の大将 アルプス暮し四十年の記録』などで類似の記載を確認する。

2 市町村誌を確認する。
旧市町村にあたる安曇村付近の市町村誌を含む郷土分類N232(南安曇郡・安曇野市の歴史)の資料を調べる。
『安曇村誌』などで類似の記述を確認する。

3 当館所蔵の資料を調べる。
当館の逐次刊行物と郷土資料を全項目で「釜トンネル」をキーワードに蔵書検索を行い、ヒットした資料を調査する。『Consultant Civil Engineering』で釜トンネルに関する記事を確認する。
 
4 「国立国会図書館デジタルコレクション」を調査する。
「国立国会図書館デジタルコレクション」を「釜トンネル」などをキーワードに全文検索する。
『電気協会雑誌』等で釜トンネルに関する記載を確認する。

5 長野県に関するデータベースを調べる。
「長野県市町村史誌目次情報データベース」、「信州地域史料アーカイブ」、「信州デジタルコモンズ」を「釜トンネル」をキーワードに検索するが、ヒットなし。

<その他の調査資料>
・『釜トンネル 上高地の昭和史』菊地俊朗 信濃毎日新聞社 2001【N232/75】
・『上高地開発史 道の変遷』横山篤美著・刊 安曇村 1969【N232/12/4】
・『上高地物語 その歴史と自然』横山篤美 信州の旅社 1981【N232/30】
事前調査事項
・『釜トンネル 上高地の昭和・平成史』 菊地俊朗 信濃毎日新聞社2017 【215.2/キト】
・「山さ行かねが 隧道レポート 釜トンネル <序>」
・「信濃毎日新聞データベース」
NDC
  • 中部地方 (215 10版)
  • 交通史.事情 (682 10版)
  • 道路工学 (514 10版)
参考資料
  • 山と渓谷社. カラー上高地. 山と渓谷社, 1967. (山渓カラーガイド)
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001097801-00
  • 安曇村誌編纂委員会/編 , 安曇村誌編纂委員会 , 安曇村誌編纂委員会. 安曇村誌 第3巻. 安曇村, 1998-03.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I058940672-00
  • 木村殖 著 , 木村, 殖, 1905-. 上高地の大将 : アルプス暮し四十年の記録. 実業之日本社, 1969.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001209252-00
  • 市川 健夫/文 , 梨子田 真/写真 , 堀 勝彦/写真 , 市川 健夫 , 梨子田 真 , 堀 勝彦 , 市川 健夫 , 梨子田 真 , 堀 勝彦. 梓・犀川・姫川. 信濃路, 1974-00. (信濃の川旅 : 4)
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I059088383-00
  • 北安曇誌編纂委員会/編 , 北安曇誌編纂委員会. 北安曇誌 : 近代・現代 下 第5巻. 北安曇志編纂委員会, 1984-00.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I058971624-00
  • 小林寛義 著 , 小林, 寛義, 1921-. 長野県の地誌. 信濃教育会出版部, 1985.
    https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001825130-00
キーワード
  • 釜トンネル
  • 長野県道24号上高地公園線
  • 隧道
照会先
寄与者
備考
調査種別
文献紹介
内容種別
郷土
質問者区分
社会人
登録番号
1000327664
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000327664 コピーしました。
アクセス数 5808
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