レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年03月03日
- 登録日時
- 2024/09/26 16:52
- 更新日時
- 2024/09/26 16:56
- 管理番号
- 9000041994
- 質問
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解決
『日本カバ物語』(宮嶋康彦/著 情報センター出版局 1991年)pp.104-120「のん子の恋物語」に、甲府市遊亀公園附属動物園のカバ「のん子」が想像妊娠をして母乳を出したのではないか、ということが書かれている。
カバの「のん子」について書かれている資料はないか。
- 回答
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「GRAPH KOFU」7号(1979年10月発行)p.38に「この道に生きる 私が動物語を話せる秘訣は」という飼育員のインタビュー記事が掲載されている。
カバの「のん子」に関する記事は、「山梨日日新聞」「朝日新聞 山梨版」「読売新聞 山梨版」に掲載されている。
甲府市遊亀公園附属動物園(甲府市立動物園)発行の新聞「ゆうき」にも、記事が掲載されている。
詳しくは参考資料をご覧ください。
- 回答プロセス
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1.出典の『日本カバ物語』(宮嶋康彦/著 情報センター出版局 1991年)pp.104-120「のん子の恋物語」を確認する。
・1972(昭和47)年2月22日に、甲府市動物園にカバと飼育員(青木二男)が到着した。
・1979(昭和54)年7月に、カバ舎の床に白い液体があり、カバの母乳と思われることから「想像妊娠」の可能性がある、と「朝日新聞 山梨版」(1979(昭和54)年8月12日)が報じた。
・白い液体の分析は、雑菌などの影響から失敗した。
・同じ時期に白い液体を出す状況が、何年にもわたって続いた。
2.甲府市遊亀公園について書かれた資料を調査する。
『甲府市史』通史編3(甲府市市史編さん委員会/編 甲府市役所 1990年)、「どうぶつのくに」vol.43(百瀬製作所 2012年)、『甲府市遊亀公園整備構想報告書』(甲府市都市整備部 1994年)を確認したが、カバに関する記述はなかった。
3.『日本カバ物語』の記述より、関連する時期の新聞記事や甲府市の広報を調査する。
(1)のん子来県関係
・「山形へ帰る飼育係」(「山梨日日新聞」1972(昭和47)年3月3日16面)
・「カバ君、よろこべ……お前といっしょだ」(「山梨日日新聞」1972(昭和47)年3月4日12面)
・「名前は“のん子”」(「山梨日日新聞」1972(昭和47)年3月24日13面)
(2)想像妊娠関係
・「カバ娘が想像妊娠」(「朝日新聞 山梨版」1979(昭和54)年8月12日20面)
・「妊娠騒ぎもどこ吹く風 いたってのんきカバ娘」(「朝日新聞 山梨版」1979(昭和54)年12月29日13面)
・「この道に生きる 私が動物語を話せる秘訣は」という飼育員のインタビュー記事「GRAPH KOFU」7号(1979年10月発行)p.38
4.「山梨日日新聞縮刷版データベース」で、「カバ」×「動物園」でキーワード検索をする。
・「人気者のカバ天寿全う」(「山梨日日新聞」1994(平成6)年2月22日17面)
5.死亡日付近の新聞(山梨版)をマイクロフィルムで調査する。
・「『のん子』さようなら 32歳のカバが大往生」(「朝日新聞 山梨版」1994(平成6)年2月22日23面)
・「さよなら『のん子』安らかに」(「読売新聞 山梨版」1994(平成6)年2月22日28面)
6.国立国会図書館サーチで、『日本カバ物語』の著者「宮嶋康彦」を検索したところ、「朝日ジャーナル」(朝日新聞社出版局)に「檻の方舟 カバの池からヒトが見える」という連載記事あり。1986(昭和61)年4月4日号、11日号、18日号にのん子の記事が掲載されていたが、『日本カバ物語』とほぼ同内容の記述だった。
「朝日ジャーナル」の連載は、『河馬の方舟』(宮嶋 康彦/著 朝日新聞社 1987年)としてまとめられている。pp.67~88「ドリームランドに聞いた銃声」に「のん子」の記述あり。
7.他の職員から、甲府市立動物園(甲府市遊亀公園附属動物園の別称)発行の新聞「ゆうき」(1982年9月創刊)の情報があり、調査する。
・9号(1985年6月発行)p.4:妊娠していないのに母乳が出たことが話題になり、5月8日の「山梨日日新聞」、5月10日のYBSラジオの番組で取り上げられた。
・17号(1987年7月発行)p.4:2年振りに母乳が出た。5月27日より乳頭から毎日大量に出ている。
・20号(1988年3月発行)p.1:2月3日から18日間、大量の母乳が出た。
・34号(1994年3月発行)p.6:2月19日早朝、老衰のため死亡。32歳。
8.「山梨日日新聞」1985(昭和60)年5月8日前後の記事を調査する。
「かばののんこ想像妊娠?」(「山梨日日新聞」1985年5月9日13面)の記事あり。「のんこは54年以来、昨年を除いて毎年1回、5月から7月にかけて乳を出している」ことや「今年も4月28日に乳を出し始め」た等との記述あり。
9.『日本カバ物語』に、飼育者技術研修において、のん子の想像妊娠について発表したと書かれていたため、国立国会図書館サーチで「飼育者技術研修」をキーワード検索するが、ヒットしない。
「ゆうき」2号(1982年発行)、3号(1983年発行)では、動物園技術者研究会への参加報告があったため、国立国会図書館サーチで「動物園技術者研究会」をキーワード検索したところ、『日本動物園水族館協会75年史』(日本動物園水族館協会 2016年)がヒット。所蔵資料で内容を確認したが、研究会のテーマや索引からはのん子に関する発表は確認できなかった。
- 事前調査事項
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『日本カバ物語』(宮嶋康彦著、情報センター出版局、1991)
- NDC
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- 哺乳類 (489 10版)
- 中部地方 (215 10版)
- 参考資料
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宮嶋康彦 著. 日本カバ物語 : 檻の池に映った人間社会の明日. 情報センター出版局, 1991.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002199767 , ISBN 4-7958-1192-X (pp.104-120,請求記号480.7/ミヤ/,資料番号0102412350) - この道に生きる 私が動物語を話せる秘訣は. 1979.10.1. GRAPH KOFU No.7 p. 38
- 檻の方舟 カバの池からヒトが見える.朝日ジャーナル 1986年4月4日号
- 檻の方舟 カバの池からヒトが見える.朝日ジャーナル 1986年4月11日号
- 檻の方舟 カバの池からヒトが見える.朝日ジャーナル 1986年4月18日号
- 1985.6.25. 山梨日日新聞縮刷版 昭和60年5月号 p. 157
- 山梨日日新聞.1972(昭和47)年3月3日16面
- 山梨日日新聞.1972(昭和47)年3月4日12面
- 山梨日日新聞.1972(昭和47)年3月24日13面
- 朝日新聞 山梨版.1979(昭和54)年8月12日20面
- 朝日新聞 山梨版.1979(昭和54)年12月29日13面
- 山梨日日新聞.1985(昭和60)年5月9日13面
- 山梨日日新聞.1994(平成6)年2月22日17面
- 朝日新聞 山梨版.1994(平成6)年2月22日23面
- 読売新聞 山梨版.1994(平成6)年2月22日28面
- ゆうき(地域新聞扱い).甲府市立動物園.9号.p.4
- ゆうき(地域新聞扱い).甲府市立動物園.17号.p.4
- ゆうき(地域新聞扱い).甲府市立動物園.20号.p.1
- ゆうき(地域新聞扱い).甲府市立動物園.34号.p.6
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宮嶋康彦 著. 河馬の方舟 : 動物園の光と影. 朝日新聞社, 1987. (朝日ノンフィクション)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001863947 , ISBN 4-02-255713-3 (pp.67~88,請求記号480.7/ミヤ/,資料番号0101602191)
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宮嶋康彦 著. 日本カバ物語 : 檻の池に映った人間社会の明日. 情報センター出版局, 1991.
- キーワード
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- 遊亀公園附属動物園
- カバ
- のん子
- 甲府市立動物園
- 甲府市遊亀公園附属動物園
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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カバの「のん子」は、山形県のハワイ・ドリームランド動物部門閉鎖にともない、1972(昭和47)年2月22日に甲府市遊亀公園附属動物園にやってきた雌のカバ。当初は名前がなかったが、公募により「のん子(のんこ)」となった。
1979(昭和54)年7月に、カバ舎の床に白い液体が大量に残っていたことから、母乳ではないかとみられ「想像妊娠」ではないかと話題になった。液体には雑菌等が混じったため、分析はできなかった。1979年~1988(昭和63)年までは、1984(昭和59)年と1986(昭和61)年を除き毎年白い液体を出していた。
1994(平成6)年2月19日、老衰のため31歳5か月で死亡。
※甲府市遊亀公園の読みは、「コウフシユウキコウエン」
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000355902