レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/07/17
- 登録日時
- 2021/08/21 00:30
- 更新日時
- 2021/08/21 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-210258
- 質問
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解決
北アイルランドの紛争の概要を知りたい。特に「血の日曜日」や「ハンガーストライキ」について知りたい。
- 回答
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北アイルランド紛争について
資料1のpp.414-415に次のような記述がありました。
「北アイルランドのカトリック系住民の独立と地位向上をめぐる紛争。アイルランド共和国は1921年にイギリスから独立したが,この時プロテスタント系住民の多いアルスター(Ulster)と呼ばれる北部6州は,イギリス統治下に残された。同地域でプロテスタント系住民とカトリック系住民の間に政治・経済的な格差が大きく,後者の権利は抑圧されていた。このためカトリック系住民による独立運動が展開されたが,事態の行き詰まりを背景に69年以来カトリック系過激派組織アイルランド共和軍(IRA Irish Republican Army)のテロ活動と,これに敵対し,イギリス残留を主張するプロテスタント系過激派の報復テロによる流血事件が相次いできた。しかし,ようやく98年4月10日,北アイルランド紛争の当時者間に和平合意(Belfast Agreement あるいは Good Friday Agreement)が成立した。(中略)その後も,IRAの武装解除をめぐって事態は膠着(こうちゃく)したが,2005年7月に発生したロンドン同時爆破テロ事件を経て,同月28日,ついにIRAは武装解除を終結し,武力の放棄を命令したとの声明を発表した。(後略)」
資料2のp.303「北アイルランド和平」の項に次のような記述がありました。
「北アイルランドでは,イギリスからの分離とアイルランドへの帰属を求めるカトリック系住民と,人口の3分の2を占めこれに反対するプロテスタント系の住民が対立。1969年以以来,カトリック過激派IRA(アイルランド共和軍)と対抗するプロテスタント系過激派組織のテロ活動で治安が悪化した。98年(中略)全当事者が,北アイルランド議会の設置など自治拡大による包括和平に合意,ベルファスト合意,ストーモント合意とも呼ばれる。99年に自治政府が発足し2000年代にはIRAが武装闘争終結を宣言,プロテスタント系過激派組織も武装解除した。(後略)」
血の日曜日事件について
資料3のp156「1972年の血の日曜日事件」の項に次のような記述がありました。
1972年1月30日,デリー(ロンドンデリー)のボグサイド地区で,NICRA主催の予防拘禁抗議デモに参加していた丸腰の一般市民に,ブリテン島からの派遣軍(第一大隊パラシュート連隊)が発砲して13名を射殺,14名に重傷を負わせる(うち1人は傷がもとで4ヵ月後に死亡)するという新たな「血の日曜日事件」が発生した。しかも,直後にこの事件を裁くべく設置された特別法廷で裁判長は,デモ参加者側から先に発砲があったという軍側の主張をうのみにして,パラシュート連隊兵士の責任を問わなかったのでナショナリストの政治家やカトリック住民の憤激はますます高まっていった。(後略)」
ハンガー・ストライキについて
資料3のpp.158-159「リパブリカン囚人の獄中ハンガー・ストライキ」の項に次のような記述がありました。
「紛争の激化した1972年7月に,英政府は,リパブリカン,ロイヤリスト双方の私的軍事組織のメンバーでその闘争上の(暴力)行為により有罪判決を受け収監された者への特別待遇措置を導入した。(中略)該当者は,囚人服の着用や懲役の免除,同じ私的軍事組織のメンバーと一緒の収監など,戦争捕虜と同等の待遇,すなわち政治犯としての特別待遇を与えられた。ところが,1976年に英政府はこの措置を撤回する。これに対してリパブリカンのPIRAは政治犯待遇の復活を主張して,通常の囚人服を拒否して毛布一枚だけを羽織る,あるいは獄房内の壁に自らの排せつ物を塗りたくるなどという抗議活動を展開した。この抗議活動の延長上に,1980年から1981年にかけて行われたのが,PIRAならびにINLAの囚人によるハンガー・ストライキである。なかでも世界の耳目を集めたのは,1981年3月1日にハンガー・ストライキを開始し,初の落命者となったPIRAのボビー・サンズである。彼は81年4月に,現役議員の急死により実施されることになった英議会のファーマナ・南ティローン選挙区補選に獄中から立候補した。(中略)英下院議員の地位を得たのちも,サンズはそのままハンガー・ストライキを継続し,開始から66日後の5月5日に27歳の生涯を閉じている。(中略)81年にはサンズのあとを追ったPIRAの6名とINLAの3名がやはり絶食を貫いて落命している。(後略)」
資料1 『イミダス 2007』集英社,2007.1【813.7/イ1/07ABR】
資料2 自由国民社編集『現代用語の基礎知識 2019』自由国民社,2019.1【813.7/シ1/19R】
資料3 山本正著『図説アイルランドの歴史』河出書房新社, 2017.4【233.9/2017.4】
- 回答プロセス
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北アイルランド史や現代語辞典の所蔵資料を,現物確認した。
- 事前調査事項
- NDC
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- イギリス.英国 (233 9版)
- 参考資料
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- . イミダス 2007. 集英社, 2007.1【813.7/イ1/07ABR】:pp.414-415
- 自由国民社?編集. 現代用語の基礎知識 2019. 自由国民社, 2019.1【813.7/シ1/19R】:p.303
- 山本/正?著. 図説アイルランドの歴史. 河出書房新社, 2017.4【233.9/2017.4】:p.156,pp.158-159
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- その他
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000303456