レファレンス事例詳細

・大畠の地名の初出について
下記資料1『日本歴史地名大系 36』p103「大畠の瀬戸」の項に記載あり。
大島の鳴門、大畠の鳴門とも呼ばれ、『万葉集』第15に「大島の鳴門」として詠まれている歌あり。
「大畠の鳴門」としての初出は室町時代であり、1389年の足利義満の厳島詣に随行した今川貞世が記した紀行文『鹿苑院殿厳島詣記』に「大畠のなるととて、しまじまあまたある中を（略）」とある。

資料2『角川日本地名大辞典 35』p216「大畠」の項にも、南北朝期から見える地名として、上記の『鹿苑院殿厳島詣記』の記載を紹介している。

・大畠の地名の由来について
資料3『山口県地名考』p19-20に大畠について記載あり。
慶長5年以降に大畠村の名前があり、『玖珂郡志』によると「昔は畠所であったので大畠という」とあるとのこと。
一説に、海峡の流れが速く、また滝のように落ちるから「大波滝」といったのが後にオオバタケになったとあるが、正確性については怪しいとのする記述もある。
資料4『玖珂郡志』p451大畠浦の項に「此処、皆、往昔ハ畠所也。故ニ大畠ト云。」とある。


・大畠長門守昌廣という人物について
大畠長門守昌廣については資料5『埼玉大百科事典 第5巻』p179「陽雲寺（よううんじ）」の項に「明応元年（1492）5月、大畠長門守昌広が当地に南城を築いた」とある。
この南城は享禄元年（1528）に壊され、のちに陽雲寺ができたようである。

資料6『角川日本姓氏歴史人物大辞典』には大畠姓の人物は掲載されていなかった。

なお、同人物は名前に「長門守」とあるが、資料7『日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本』p93-94によると、「○○守」「○○介」という受領名は、鎌倉時代以降は名目だけになっており、その武士と受領名の国名はほとんどの場合、まったくの無縁であったとのこと。

大畠長門守昌廣についてお調べの場合、埼玉県の図書館にお問い合わせいただくことをすすめる。