レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/03/19
- 登録日時
- 2022/03/26 00:30
- 更新日時
- 2022/03/26 00:30
- 管理番号
- 6001055412
- 質問
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解決
江戸から明治期の刀工・月山貞一について知りたい
- 回答
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次の資料に月山貞一(初代)に関する記載がありました。
■『月山貞一とその一門:特別展なにわ人物誌』(大阪歴史博物館/編集 月山日本刀鍛錬道場 2008.1)
「第三章 月山貞一(初代) ―廃刀令を乗り越えた帝室技芸員」に記載があります。
「貞一という刀工名を最初に用いたのが天保七年(一八三六)生まれの月山貞一(弥五郎)である(以下初代貞一とする)。大阪に拠点を定めた貞吉の養子として、その跡を見事に継承・発展させ、大阪の月山派を刀工の一代流派として定着させた。(中略)明治三十九年には刀工として初の帝室技芸員に任命される。(中略)大阪移住後の月山一門の実質的な祖は貞一であったと言っても過言ではないだろう。」(p.18)なお、「大阪市中央区鎗屋町の月山貞一旧跡跡」に石碑が立てられているとあります。(p.18)
また、「月山貞一肖像 冨永讃」という肖像についても掲載されています。(p.19)
■『大阪史蹟辞典』(三善貞司/編 清文堂 1986.7)
「月山貞一旧跡跡 東区鎗屋町一丁目」の項(p.125)があります。碑に記された文章が記載されています。また、月山貞一について「天保七年(一八三六)生まれ、『作刀のために生れてきた人』の評があるほどの大坂ナンバーワンの刀工、大正七年(一九一九)歿するまで八十数年に渡って腕を振るった。明治天皇の佩刀や伊勢神宮の宝刀も貞一の作」(p.125)等の記載があります。
■『日本刀鑑定法 下』(本阿弥光博/著 雄山閣 1974)
「摂津国(大阪府)」の中に「月山貞一」の項(p.201-202)があります。
「生国近江国犬上郡須越村、天保七年二月出生、七歳のとき月山貞吉の養子になったという。通称弥五郎、雅号を雲竜子・光顕斎・水勇子などといい、明治三十九年四月四日には帝室技芸員に任命される栄誉にかがやき、大正七年七月十一日没、享年八十三歳であったと伝える。」等の記載があります。
■『大阪人物誌 続編』(石田誠太郎/著 臨川書店 1974)
「(二一九)月山貞一」の項(p.177-178)があります。
「明治維新以来刀匠の第一人者を以て称せらるに至る、同[図書館注:明治]三十九年七十一歳刀匠を以て帝室技芸員を拝命す」等の記載があります。
■『図解日本刀事典 刀・拵から刀工・名刀まで刀剣用語徹底網羅!!』(歴史群像編集部/編 学研 2006.12)【756.6/83N/】
「貞一」の項(p.211)があります。
■『近代大阪職人(アルチザン)図鑑:ものづくりのものがたり』(大阪歴史博物館/編著 青幻舎 2016.5)
「人物図鑑 其の三 刀工初の帝室技芸員 月山貞一」(p.40-41)があります。
「奥州出羽の綾杉伝に刀身彫刻という新しい伝統を付け加えた功績は大きく、現在に続く大阪月山派の礎を築いた。(中略)明治39年には刀工として初の帝室技芸員に任ぜられた。」といった記載があります。このほか、「楠公550年大祭に200口あまりの刀剣製作を委嘱」されたことや、各種の博覧会に出品したこと、後継者である貞勝氏と共に製作した刀について等も記載があります。(p.40)また、個人蔵の月山貞一氏の肖像も載っています。(p.40)
「明治28年(1895)に京都で開催された第四回内国勧業博覧会に出品されて有功二等賞を得、宮内庁御買上となった作。」として「刀 銘 大阪住月山貞一精鍛之/明治二十七年十二月日彫物同作」の写真が掲載されています。(p.41)
■『人物画伝』(画伝子/編輯 有楽社 1907)
「七十三 刀剣鍛冶名人月山彌五郎貞一君」(p.145-146)があり、「明治二年には天朝の御命で、御太刀一振と御短刀一振を奉鍛するに至つた」とあり、楠公五百五十年祭の際の試斬の切れ味がよかったことから、「爾来益ゝ名声を博し、諸方の博覧会で表彰された事は勿論、先年帝室技芸委員を命ぜらるゝに至つた」等の記載があります。
■『刀剣の精美 乱世の名刀と大坂新刀』(高槻市立しろあと歴史館/編集 高槻市立しろあと歴史館 2016.10)
千田康治「大坂新刀について 1 大坂新刀の歴史 衰退期、そして新々刀による復興」(p.78)に次の記載があります。
「寛政年間(一七八九~一八〇一)以降に製作された刀剣を、新々刀と呼ぶ。この時代の大坂では、(中略)出羽国出身の月山貞吉が活躍している。(中略)月山貞吉の一門は、後継者の貞一(初代)の時に明治維新を迎えるが、明治九年(一八七六)の廃刀令などの苦難を乗り越え、現在まで連綿と続いている。」(p.78)
■『大坂新刀図譜』(中宮敬堂/共著 雄山閣出版 1967)
「浪華住月山雲龍子源貞一(明治)」(p.58-61)
「貞一は通称弥五郎、雲龍子、光顕斎、水勇子などの号あり、天保七年二月江州犬上郡須越村に誕生、(中略)明治三十九年四月帝室技芸員の栄職を拝し、明治大帝の御佩刀を奉鍛し、また伊勢神宮の宝刀を謹鍛した。大正七年七月十一日八十四歳にて没す。」(p.58)
また、「月山貞吉系」の系図(p.82-83)にも「貞吉子。」であり「帝室技芸員」等の記載があります。「浪華住月山雲龍子貞一(明治)」の「作刀年譜」(p.625-638)もあります。
〔事例作成日:2022年3月19日〕
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 10版)
- 金工芸 (756 10版)
- 参考資料
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- 月山貞一とその一門 大阪歴史博物館∥編集 月山日本刀鍛錬道場 2008.1 (18-19)
- 大阪史蹟辞典 三善/貞司∥編 清文堂 1986.7 (125)
- 日本刀鑑定法 下 本阿弥/光博∥著 雄山閣 1974 (201-202)
- 大阪人物誌 続編 石田/誠太郎∥著 臨川書店 1974 (177-178)
- 図解日本刀事典 歴史群像編集部∥編 学研 2006.12 (211)
- 近代大阪職人(アルチザン)図鑑 大阪歴史博物館‖編著 青幻舎 2016.5 (40-41)
- 人物画伝 画伝子∥編輯 有楽社 1907 (145-146)
- 刀剣の精美 高槻市立しろあと歴史館‖編集 高槻市立しろあと歴史館 2016.10 (78)
- 大坂新刀図譜 中宮/敬堂∥共著 雄山閣出版 1967 (58-61、82-83、625-638)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪,人物・団体
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000314083