レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2019/03/27 14:57
- 更新日時
- 2019/03/27 15:00
- 管理番号
- 千県中児童-2018-01
- 質問
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未解決
もみじの葉が5つや7つに分かれているものがあるが、子どもの葉と大人の葉で分かれる数が違うと聞いた。それについて書かれている本を探している。(質問者は大人だが、本を読むのは子ども)
- 回答
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下記の資料を確認しましたが、児童資料室所蔵の資料の中には、子どもの葉と大人の葉で分かれる数が違うということが載っている資料が見つかりませんでした。
参考までに【資料1】~【資料4】をご案内します。
大人向けの図鑑には、【資料1】のように葉の裂け方と樹齢の関係について書かれたものがありましたが、裂の深さについての記述であり、裂けた数についての記述ではありませんでした。
また、【資料2】にはイロハモミジ、オオモミジの芽生えの図が載っていましたが、本葉が出たところのは7裂の葉が描かれていました。
【資料3】には、葉の説明で「新梢がのびていくにつれて、次々と葉もつくられますが、初めに出る葉の色や形と、あとからでてくる葉のそれとは違うことがあり、品種の特徴となっています。」とあり、形が変わる品種として「七五三」が挙げられています。ただし、裂の数は増えず、減るようです。
【資料1】『木の大百科 解説編』(平井信二著 朝倉書店 1996)(0105139033)
p399 〔32〕カエデ科
「イタヤカエデ(狭義)は葉がオニイタヤに似ているが、やや小形で5~7中裂し、(中略)葉が基部近くまで深裂したものをエンコウカエデ(アサヒカエデ)といい、もし学名をあてるならばAcer mono MAXI…(略)であるが、これは若木の形であるという見解が多い。ただしかなり壮齢木でこの形が見られることがある」という樹齢と裂の深さについての説明がある。p402イロハカエデの項にはこのような説明なし。
【資料2】『芽ばえとたね 植物3態/芽ばえ・種子・成植物 原色図鑑』(浅野貞夫著 全国農村教育協会 2005)(0105875584)
p232イロハモミジ、オオモミジの芽ばえの図があり、双葉は裂のない楕円形、本葉は7裂で描かれている。
【資料3】『モミジ NHK趣味の園芸・作業12か月 3』(妻鹿加年雄著 日本放送出版協会 1976)(9103932060)
p127-129葉について説明がある。
p128以下引用。
「●形が変わる 形の変わってくる極端な例は「七五三」で、最初の葉はふつうのモミジ形をしており、しだいに裂片が細くなり、数も少なくなって初めの葉とあとの葉では同じ枝の葉とは思えないくらいになります。」
インターネットで説明がないか探したところ、
【資料4】「日本植物生理学会 みんなのひろば 植物Q&A」
(https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=434&key=&target=)に
「カエデの葉の数は、なぜ5つに分かれたものと7つに分かれたものがあるのでしょうか。また、1枚の葉がなぜ5つや7つに分かれるのでしょうか?」という質問があり、塚谷裕一氏(東京大学大学院理学研究科)が回答されています。それによれば、葉を作るときの勢いの違いで分かれる数が変わること、その数は木ごとに違うだけでなく、枝ごと、また先端と基部でも違うということです。また、分かれる数や切れ込みの深さが違う理由についてはこの時点(2006年)ではっきりしていないという回答でした。
【確認したが、情報が見つけられなかった資料】
『総合百科事典ポプラディア10 ほ・ま・ま・み・む・め・も 改訂版』(ポプラ社 2011)p275「モミジ」の項
『総合百科事典ポプラディア2 う・え・お・かそ』(ポプラ社 2011)p294「カエデ」の項
『植物のふしぎ ポプラディア情報館』(小林正明監修 ポプラ社 2011)(0600414480)
『身近な木の実・植物の種図鑑&採集ガイド』(多田多恵子著 実業之日本社 2012)(0600445092)
『花と実の図鑑 1 花芽から花・実・たねまで 春に花が咲く木』(三原道弘文 偕成社 1990)(9600128707)
『学校のまわりでさがせる植物図鑑 樹木 ハンディ版』(近田文弘監修 金の星社 2009)(0600377831)
『植物の生態図鑑 大自然のふしぎ』(学研教育出版 2010)(0600389547)
『わたしのもみじ』(岩間史朗 ポプラ社 2001)(0600382205)
『木のなまえノート 知ってそうなの?会えてなるほど』(いわさゆうこ作 文化学園文化出版局 2010)(0600389672)
『紅葉のふしぎ』(佐藤有恒著 あかね書房 2005)(0600318554)
『葉実木のかたちで調べる樹木の名前大事典』(近田文弘著 くもん出版 2014)(0600502475)
『植物 学研の図鑑』(学研 1994)(0600237410)
『植物のふしぎ 科学のおはなし』(萩原信介監修 PHP研究所 2010)(0600428921)
『植物 ニューワイド学研の図鑑 2』(学研教育出版 2006)(0600427620)
『なぜ?の図鑑 植物』(海老原淳監修 学研プラス 2016)(0600548840)
『植物 学習図鑑』(岩瀬徹著 成美堂出版 1996)(9600108867)
『植物 ニューワイド学研の図鑑』(学研 2000)(0600237895)
『名前といわれ木の写真図鑑 1 早春から初夏まで』(杉村昇写真と文 偕成社 1998)(0600189401)
『植物 講談社の動く図鑑MOVE』(天野誠監修 講談社 2014)(0600528159)
『20本の木のノート であってうれしい木はともだち』(いわさゆうこ作 文化出版局 1997)(0600160978)
『モミジとカエデ』(大井次三郎ほか共編 誠文堂新光社 1968)(9103612080)※一般書、大人向け
『庭の樹木 自然観察シリーズ 24』(阿武恒夫著 小学館 1985)(9600417441)
『原色樹木大圖鑑』(林弥栄旧版監修 北隆館 2004)(0105814130)※一般書、大人向け
『原色日本植物図鑑 木本編1 保育社の原色図鑑 49』(北村四郎共著 保育社 1985)(9102914854)※一般書、大人向け
『APG原色牧野植物大図鑑 2 グミ科〜セリ科』(牧野富太郎著 北隆館 2013)(0106402482)※一般書、大人向け
『芽ばえとたね 植物3態/芽ばえ・種子・成植物 原色図鑑』(浅野貞夫著 全国農村教育協会 2005)(0105875584)
※一般書、大人向け(インターネット最終アクセス:2018年5月26日)
- 回答プロセス
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(1)百科事典で「もみじ」を確認
【総合百科事典ポプラディア「モミジ」の項】
「落葉樹のカエデの別のよび方。本来、秋に樹木が高揚することを全般に「もみじ」といったが、なかでもカエデ類の紅葉がとくに美しいので、カエデのことをモミジとよぶようになった。カエデ類を代表するものに、イロハカエデ(別称がイロハモミジ)大椛、ヤマモミジなどがある。(後略)」
【総合百科事典ポプラディア「カエデ」の項】
カエデ科カエデ属の木の総称。(中略)カエデは「蛙の手」の意味で、葉に切れこみがあり、形がカエルの前足に似ていることによる。だ円形で切れこみのない葉をもつ種もある。モミジともいうが、これはもともとは紅葉した状態をさすことば。花は小さく雄花と両性花が集まって咲くものが多いが、雌雄異株の種もある。(後略)」
百科事典には分かれた葉の数のことは載っていない。
とりあえず、イロハモミジ(イロハカエデ)を中心に資料を探すことにする。
(2)蔵書検索 件名「かえで」&書誌種別「図書児童」
検索された資料を確認。
『植物のふしぎ ポプラディア情報館』(小林正明監修 ポプラ社 2011)
p166-169 イロハモミジの項
「(前略)葉は手のひら状に5~7つにさけています。指のような部分を「いろはにほへと」と順に数えたことから名前をつけられたといわれています。(後略)」
『身近な木の実・植物の種図鑑&採集ガイド』(多田多恵子著 実業之日本社 2012)
「葉は5つか7つに裂け、昔の人はそれを「いろはにほへと」と数えて遊びました。」とあり。
『花と実の図鑑 1 花芽から花・実・たねまで 春に花が咲く木』(三原道弘文 偕成社 1990)
モミジ(イロハモミジ)p28-29「モミジの代表選手は、イロハモミジ。7つにわかれた葉の先をいろはにほへとと7文字にあてて、この名がつけられた。」1~7の絵で冬芽から紅葉まで描いているが、4月中ごろの若葉と、6の青葉、7の紅葉とも葉の数は5~7枚で描かれている。
『学校のまわりでさがせる植物図鑑 樹木 ハンディ版』(近田文弘監修 金の星社 2009)
p100イロハモミジ「葉は手のような形に五つから七つにさけ、ふちに二重のぎざぎざがあります。」
『植物の生態図鑑 大自然のふしぎ』(学研教育出版 2010)
p94にモミジの葉はなぜ赤くなるのだろうという項目あり。葉の割れた数に関しての記述なし。
『わたしのもみじ』(岩間史朗 ポプラ社)
写真絵本。葉の割れた数に関する記述なし。
『木のなまえノート 知ってそうなの?会えてなるほど』(いわさゆうこ作 文化学園文化出版局 2010)
p8にモミジとカエデの紹介あり。「イロハモミジ 葉が七つにさけるのをイロハニホヘトと数えたのでいろは紅葉」
(3)分類470、479、627、653周辺の書架で確認したもの
『紅葉のふしぎ』(佐藤有恒著 あかね書房 2005)
紅葉(こうよう)の仕組みについての本。モミジ(カエデ)の説明は少ない。
『葉実木のかたちで調べる樹木の名前大事典』(近田文弘著 くもん出版 2014)
p119「イロハカエデ」葉の裂けた数に関する記述なし。
『植物 学研の図鑑』(学研 1994)
イロハモミジp15に花のついた絵あり、裂けた葉の数は7つで描かれている。p89イロハモミジ紅葉の絵、裂けた葉の数は5~7つ
『植物のふしぎ 科学のおはなし』(萩原信介監修 PHP研究所 2010)
p10モミジやイチョウの葉は、なぜ秋になると色づくの?という項あり。葉の割れる数について記述なし。
『植物 ニューワイド学研の図鑑 2』(学研教育出版 2006)
葉の割れた数についての記述なし。
『なぜ?の図鑑 植物』(海老原淳監修 学研プラス 2016)
紅葉の仕組みの説明あり、葉の割れた数についての記述なし。
『植物 学習図鑑』(岩瀬徹著 成美堂出版 1996)
p86イロハカエデ「葉は手のひらのように5~7つに分かれる」
『植物 ニューワイド学研の図鑑』(学研 東京 2000)
p65イロハモミジの花と葉の絵、葉は7つに分かれている。
『名前といわれ木の写真図鑑 1 早春から初夏まで』(杉村昇写真と文 偕成社 1998)
p126イロハモミジ 葉は掌状に深く5~7裂し、葉先はとがる、とある。
『植物 講談社の動く図鑑MOVE』(天野誠監修 講談社 2014)
p161 イロハモミジの新芽の写真あり、葉の分岐は5~7
『20本の木のノート であってうれしい木はともだち』(いわさゆうこ作 文化出版局 1997)
p15イロハモミジ 葉の裂けた数について記述なし。青葉の写真では5~7枚に分岐
『モミジとカエデ』大井次三郎ほか共編 誠文堂新光社 1968)※一般書
p58~59葉の形、p84イロハカエデ「手形状に5~7深裂または中裂し」とある。
『庭の樹木 自然観察シリーズ 24』(阿武恒夫著 小学館 1985)(9600417441)
p90~93「モミジとカエデ」イロハモミジについて、「イロハモミジはイロハニホヘトと葉が7つに裂けているので付けられたという説もあるが、実際には7つに裂けていないものが多い」とある。
(4)インターネット検索
googleで「モミジの葉 分かれ方」をキーワードに検索
【資料4】日本植物生理学会 みんなのひろば 植物Q&A
(https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=434&key=&target=)に
「カエデの葉の数は、なぜ5つに分かれたものと7つに分かれたものがあるのでしょうか。
また、1枚の葉がなぜ5つや7つに分かれるのでしょうか?
若い木と年取った木で分かれる葉と分かれない葉があると書かれていたのですが、それだけでは、無いようなので、葉が分かれる訳があれば小学生に説明できるようにしていただけると幸いです。」という質問があり、塚谷裕一氏(東京大学大学院理学研究科)が回答している。
「イロハモミジ」をキーワードに画像検索したところ、イロハモミジの木や葉の写真の他に、双葉がついた写真も見つかる。(http://koke8.jp/1324/m1604/)
イタヤカエデの双葉の画像
「カエデ科の双葉は細長い線型のものが多い」とある。
(http://www.jugemusha.com/jumoku-zz-itayakaede.htm)
(5)レファレンス協同データベースを確認
レファレンス協同データベースに類似の質問はないか検索したが、なかった。
(6)一般書で確認する
『木の大百科 解説編』(平井信二著 朝倉書店 1996)(0105139033)
p399 〔32〕カエデ科
「イタヤカエデ(狭義)は葉がオニイタヤに似ているが、やや小形で5~7中裂し、(中略)葉が基部近くまで深裂したものをエンコウカエデ(アサヒカエデ)といい、もし学名をあてるならばAcer mono MAXI…(略)であるが、これは若木の形であるという見解が多い。ただしかなり壮齢木でこの形が見られることがある」という樹齢と裂の深さについての説明がある。p402イロハカエデの項にはこのような説明なし。
『原色樹木大圖鑑』(林弥栄旧版監修 北隆館 2004)(0105814130)
p421 イロハモミジ~p440サンゴカクまでざっと確認したが、葉の裂け方と樹齢に関する記述なし。
『原色日本植物図鑑 木本編1 保育社の原色図鑑 49』(北村四郎共著 保育社 1985)(9102914854)
p285-300カエデ属の記述をざっと確認。
『APG原色牧野植物大図鑑 2 グミ科〜セリ科』(牧野富太郎著 北隆館 2013)(0106402482)
p174~185カエデ属をざっと確認
『芽ばえとたね 植物3態/芽ばえ・種子・成植物 原色図鑑』(浅野貞夫著 全国農村教育協会 2005)(0105875584)
p232イロハモミジ、オオモミジの芽ばえの図があり、双葉は裂のない楕円形、本葉は7裂で描かれている。
(7)西部・東部図書館から一般書を取り寄せて確認
『モミジ NHK趣味の園芸・作業12か月 3』(妻鹿加年雄著 日本放送出版協会 1976)(9103932060)
『樹木図鑑 NHK趣味の園芸』(巽英明写真・解説 日本放送出版協会 2001)(2101307466)
- 事前調査事項
- NDC
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- 被子植物 (479 9版)
- 花卉園芸[草花] (627 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『木の大百科 解説編』(平井信二著 朝倉書店 1996)(0105139033)
- 【資料2】『芽ばえとたね 植物3態/芽ばえ・種子・成植物 原色図鑑』(浅野貞夫著 全国農村教育協会 2005)(0105875584)
- 【資料3】『モミジ NHK趣味の園芸・作業12か月 3』(妻鹿加年雄著 日本放送出版協会 1976)(9103932060)
- 【資料4】「日本植物生理学会 みんなのひろば 植物Q&A」『カエデの葉の数』の質問のページ(https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=434&key=&target=)
- キーワード
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- かえで(カエデ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 児童書
- 質問者区分
- 小中学生
- 登録番号
- 1000254049