レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年12月28日
- 登録日時
- 2024/03/27 15:47
- 更新日時
- 2024/05/01 13:19
- 管理番号
- 6000040101
- 質問
-
解決
第二次世界大戦下の、杉並区の町内会の取り組みについての資料。
遠方に住んでいるので、アクセスしやすい資料がよい。
- 回答
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※以下、インターネット情報の最終アクセス日は2022年12月26日です。
<オンライン資料>
【杉並区公式サイト】(https://www.city.suginami.tokyo.jp)
トップページ>区政情報>文化・交流・コミュニティ>平和事業(https://www.city.suginami.tokyo.jp/kusei/bunka/heiwa/index.html)に、下記の資料が掲載されています。
※当館では紙媒体の資料も所蔵しています。
・『平和を願って 区民の戦争・戦災体験集』(東京都杉並区総務部総務課/編集、東京都杉並区総務部総務課、1993年、S11.21ソ)
→杉並区民の戦争体験を綴っています。この中に、町内会の活動が書かれた体験談がいくつかありました。以下はその一例です。
「逃げないで。自分たちの町は自分で守ろう。火を消せ!!」(pp.79-81):馬橋在住だった方の体験談です。父親が町会長だったため、警戒警報が発令されると町内の見回りを行い、出火しているところがあれば消火活動をしたということが書かれています。火災を最小限に食い止めたことで、当時の馬橋4丁目南町会は表彰状をもらったそうです。
「私の空襲体験」(pp.106-107):荻窪在住だった方の体験談です。父親の知人が町会の事務長をしていたことから、町会の仕事を手伝うようになったということが書かれています。回覧配り、転出入、配給、防火用水槽、鳶口、火はたき、防毒マスクの斡旋などを行ったことや、罹災証明書を発行するよう頼まれたことなどに触れています。
・『区民の戦争戦災証言記録集』(杉並区区民生活部管理課/編、杉並区区民生活部管理課、2016年、S11.21ク)
→戦時中の杉並区内の出来事年表、空襲リスト、当時の生活の様子、区民の証言などをまとめた記録です。住民組織として町内会やその下の組織となる隣組が区政運営を担う重要な機関であったこと、協力体制をとる一方で思想などを互いに監視する関係でもあったことが書かれています(p.9、p.18)。また証言や手記の中には、町会について触れているものも見られます。
【国立国会図書館デジタルコレクション】(https://dl.ndl.go.jp/)
・『新修杉並区史 下』(東京都杉並区役所/編集、東京都杉並区役所、1982年、S11.21ス、https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9642728)
→「第九編」の「第三章 戦時体制下の杉並」(359-401コマ目)で、区内の町会が戦時下でどのような役割を果たしていたかが紹介されています。戦争の進展にともない町内会の編成は強化の一途をたどり、配給制度の業務(配給方法の決定)、出征兵士の歓送迎、防空演習、物資統制などが行われたとあります。
・『杉並区史』(東京都杉並区役所/編集、東京都杉並区役所、1955年、S11.21ス、https://dl.ndl.go.jp/pid/3021849)
→杉並区史の旧版です。上記『新修杉並区史』と内容は重複しますが、独自の記述も多いため、合わせてご紹介いたします。「第八章第三篇」の「第二節 経済行政機構の変遷」(723-733コマ目)に、戦時中の経済統制と町会の機能について書かれており、当時の町会一覧(隣組数、会員数、会長名などの項目あり)が掲載されています。
・『自治振興座談会 : 町会長の「体験を聴く会」』(東京市/編、東京市、1939年、https://dl.ndl.go.jp/pid/1685472)
→39-42コマ目に、当時の松ノ木町会長だった尾崎淸氏が、町会の活動内容や町会相互の連絡上必要になる事項、町会設備などについて報告している様子が記されています。
・『町会自治会等実態調査報告書 昭和31年3月』(東京都総務局行政部区政課、1956年、https://dl.ndl.go.jp/pid/3031928)
→昭和30年当時、東京都を中心に行われた、特別区内の町会や自治会に関する調査の結果について記されています。各町会の設立の年月、動機、役員、運営などについて、また、東京市の町会の発祥に関しても触れられています。
・『東京市の町会 市政革新パンフレット 第2輯』(東京市政革新同盟、1938年、https://dl.ndl.go.jp/pid/1266574)
→杉並区内の町会について特記されてはいませんが、当時の東京市内の町会の活動や沿革、町村整備に関する意見などが記されています。
【朝日新聞クロスサーチ】
・「回覧板 表彰された隣組(下)/節米に貯蓄に 銃後を守るスクラム」(1941(昭和16)年4月9日、東京、夕刊、p.3)
→高円寺の隣組が盗犯の予防に取り組んだこと、共同耕作を行ったこと、食料品を共同購入したことが報じられています。
・「夏を明るくトンカラリ 子供は振鈴で就寝 前線を偲ぶ雪洞祭/目白4丁目町会 杉並久我山町会」(1943(昭和18)年7月25日、東京、朝刊、p.3)
→久我山町会を中心に行われた、久我山稲荷神社の夏祭りについて記されています。
・「情実抜きの“配達制”を 都の綜合配給・1週間の報告書」(1944(昭和19)年8月23日、東京、朝刊、p.3)
→各自治体の一部として、杉並の隣組・町会が、都の配給に対してどのような役割を担ったかが書かれています。
・「納豆の作り方 配給大豆を生かして」(1945(昭和20)年7月5日、東京、朝刊、p.2)
→荻窪3丁目東荻町会で、配給の大豆を使って納豆を作る方法を会員に広める活動を行っていることが書かれています。
・「私たちの消費組合 婦人参政の「高円寺六東町会」 民主の魁け、生活の設計/組合の作り方 杉山元治郎氏談」(1945年(昭和20年)12月3日、東京、朝刊、p.2)
→食糧難解決のために町会自身で消費組合を結成した例として、「高円寺六東町会」が紹介されています。
【ヨミダス歴史館】
・「[町会評判記]野天に酒肴を並べ 杉並高円寺「幸町会」▽淀橋清和会町」(1936(昭和11)年2月25日、東京、夕刊、p.4)
→「昭和の地域版」に収録されている「城西読売」内の記事です。当時の高円寺3、7丁目の一部を区域とした町会であった「幸町会」について紹介されています。年中行事の中でも他の町会では見られないような、新年の名刺交換会があったと記されています。
・「[町会評判記]相寄る70軒 一地主を中心 高円寺53会/杉並区」(1936(昭和11)年6月30日、東京、夕刊、p.4)
→「昭和の地域版」に収録されている「城西読売」内の記事です。「高円寺53会」の発足経緯や、当時の町会長である瀬川章友氏の紹介が掲載されています。
・「鳶口剱法 防空も武道精神 ここに隣組の必勝訓練」(1943(昭和18)年4月2日、朝刊、p.4)
→上荻窪本村町会第17群で行われていた、鳶口を用いた戦闘訓練法について紹介されています。
・「創りましょう「隣組新聞」 国債割当や、うわさ話も盛って」(1944(昭和19)年6月23日、朝刊、p.4)
→東田町1丁目町会1班1組の活動事例として、「隣組新聞」の制作について紹介されています。うわさ話などの身近な話題や、緊急時の組員の連絡先などを載せたことで、組内や周辺の人たちとの関係が良好になったということが記されています。
【その他】
その他、以下のサイトも調査しましたが、ご希望の年代の情報は見受けられませんでした。ご参考まで紹介いたします。
・「すぎなみ地域コム」(https://www.sugi-chiiki.com/)
→「トップ>町内・自治会>宮前地区町会連合会」に進むと、宮前地区で現在活動している町会や自治会の情報が確認できます。
・「町会・自治会ってどんな団体」(https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/chiiki/chokai/1005188.html)
→杉並区公式サイトに掲載されているページです。現在活動している町会・自治会を地域別に探すことができます。
・「久我山東自治会」(http://www7b.biglobe.ne.jp/~kugayamahigashi/index.html)
→「トップ>記録保存館>自治会の沿革」で、自治会のあゆみを確認することができます。ただし、発足は昭和34年です。
・「方南二丁目町会」(https://www.hounan2.tokyo/)
→「トップ>方南二丁目とは?」において、「方南二丁目町会設立までの沿革」が軽く説明されています。ただし、発足は昭和24年です。
<非オンライン(紙媒体)資料>
・『杉並区今川上井草町会規約』(今川上井草町会/編・発行、1943年)
→今川上井草町会の当時の規約です。配給に関することや軍事援護に関することなどが規定されています(類似資料として、前述の『新修杉並区史 下巻』にも和泉町会の規約が掲載されていますので、そちらでも代替になるかもしれません)。
・『杉並区の歴史 東京ふる里文庫 12』(杉並郷土史会/文、名著出版、1978年、S11.21ス)
→pp.113-115で、戦局の悪化に伴い、昭和15年に杉並区役所に経済課ができて経済統制が始まったこと、生活必需品の配給などの下部組織として町内会・隣組の結成が盛んになったこと、隣組では国債の消化、勤労奉仕、防空訓練などを行ったことなどが簡単に記されています。
・『東京都町会連合会二十年史』(東京都町会連合会、2004年)
→東京都で町会がいつ頃誕生しどのような歴史をたどってきたか、戦時中に町会がどんな役割を果たしたかといったことが書かれています。杉並区に関しては、p.223以降に「杉並区町会連合会のおいたち」という記事がありますが、発足は戦後の昭和34年になるようです。
・『吉沢久子、27歳の空襲日記』(吉沢久子/著、文藝春秋、2015年、S11.91ヨ)
→戦時中、阿佐ヶ谷に在住していた評論家・エッセイストの吉沢久子氏の、当時の日記です。町会や隣組に関する記述が散見されます。
- 回答プロセス
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・キーワード「町会(町内会)」、「自治会」、「隣組」で蔵書検索
・キーワード「町会(町内会)」、「自治会」、「隣組」でインターネット検索
・キーワード「町会(町内会)」×「杉並」、「自治会」×「杉並」、「隣組」×「杉並」で各データベースを検索
・S11.21、S11.30-39をブラウジング
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (21)
- 日本文学 (91)
- 参考資料
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東京都杉並区総務部総務課 編. 平和を願って : 区民の戦争・戦災体験集. 杉並区, 1993.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002251258 -
杉並区区民生活部管理課 編. 区民の戦争戦災証言記録集 : 杉並区戦後70年事業. 杉並区区民生活部管理課, 2016.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I027469947 -
新修杉並区史 下. 東京都杉並区, 1982.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I9642728 -
杉並区史. 東京都杉並区, 1955.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000939001 -
東京市 編. 自治振興座談会 : 町会長の「体験を聴く会」. 東京市, 1939.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000716227 -
町会自治会等実態調査報告書 昭和31年3月. 東京都総務局行政部区政課, 1956.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000950605 -
東京市の町会. 東京市政革新同盟, 1938. (市政革新パンフレット ; 第2輯)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000716110 -
杉並郷土史会文 ; 東京にふる里をつくる会編. 杉並区の歴史. 名著出版, 1978.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1130000798092385664 -
東京都町会連合会二十年史. 東京都町会連合会, 2004.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007559244 -
吉沢久子 著. 吉沢久子、27歳の空襲日記. 文藝春秋, 2015. (文春文庫 ; よ38-1)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I026399776 , ISBN 978-4-16-790394-7
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東京都杉並区総務部総務課 編. 平和を願って : 区民の戦争・戦災体験集. 杉並区, 1993.
- キーワード
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- 町会
- 町内会
- 自治会
- 隣組
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000348115