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レファレンス事例詳細

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事例作成日
2025/09/07
登録日時
2025/11/09 10:03
更新日時
2025/11/26 21:32
提供館
県立長野図書館 (2110021)
管理番号
県立長野-25-135
質問

解決

千曲川は古くから船運で栄えたと様々な資料で読むが、通船の概要と、何を運搬していたのかについて知りたい。
回答

次の資料を紹介した。


・『長野県史 通史編 第6巻』長野県編 長野県史刊行会 1989【N209/11-4/6】

 p.322-325に千曲川の通船の概要があり、千曲川で運航していた「太左衛門船(だざえもんせん)」「松代藩営川船」「厚連船(こうれんせん)」について記されている。
 p.322に、

千曲川の通船計画は早くから出願されていたが、そのつど北国街道宿駅などの反対にあい、公認されたのは寛政二年(一七九〇)のことであった。

とある。

 同年に、水内郡西大滝村(現・飯山市)太左衛門が通船の許可を出願、通船五艘の許可を得たが流通商品が少なかったため、文化10年(1813)までは1~2艘の運航にとどまったとあり、化政期になると流通量は著しく増加、高井郡栗林村(現・中野市)の与五作との間に通船争いが起こるようになったが、後に与五作は太衛門船の一艘として運航することになった旨が記されている。
 松代藩営川船は、文政4年(1821)に、宿駅と太左衛門船の反対を国益をかざして押し切り運航を開始した。後に、太左衛門とは、区間によってそれぞれの差配に従う事等をとりきめ、和談規定所をかわしたことが記されている。
 また、厚連は後町(ごちょう:現・長野市)の商人で船運をさまたげる西王滝付近の難所の岩石を砕き、越後まで通じる通船をもくろんでいたが、結局西大滝丹波島間を往復した。

・『図説・奥信濃の歴史 上巻』青木廣安(ほか)著 郷土出版社 1995【N210/22/1】p.140-141

・『歴史の道調査報告書 31』長野県教育委員会編 長野県教育委員会 1991【N682/53/31】
 p.96-97にかけて千曲川の通船に、太左衛門船、厚連船の解説があり、わかりやすく記されている。

・『信濃の巨流千曲川』建設省北陸地方建設局千曲川工事事務所編著 1993【N517/106】
 p.271-274にかけて、千曲川の通船事業は飯山鉄道の開通(1921年)と国道117号線の開通によって廃れ、大正末期には千曲川の通船も使命を終えたことが記されている。

・『千曲川大紀行』田中欣一責編 一草舎出版 2007【N517/222】p.156-157

・江口善次著 「千曲川の通船」『信濃 第三次』第5巻第8号 信濃史学会 1953 p.525-529

 上記資料から、千曲川の通船が運搬したのは塩が四分の一の割合を占めており、その他木材や米などの食料品・嗜好品・木製品・地方産物等様々なものが千曲川の通船によって運ばれてきたことがわかる。船により運んでいるものに若干の違いがあるため、太左衛門船・松代藩営川船・厚連船に分けて記載する。


<太左衛門船が運んだもの>
・『長野県史 通史編 第6巻』(前掲)
 p.322に

(-前略-)材木・大豆・麦・稗などが運ばれ、ときには飯山藩が年貢米を大笹街道経由で倉賀野河岸(高崎市)へ送るのに、この舟運を利用している。

とある。また、p.323では、太左衛門船で、塩・茶・雑穀の輸送を出願している。これは、前述の与五作が、運送予定だったものを太左衛門船で運送することを改めて出願し、加わったものである。

・『図説・奥信濃の歴史 上巻』(前掲) p.140

越後今町湊(上越市直江津)や新潟湊から信州へ移入された塩もあった。

・『信濃の巨流千曲川』(前掲)p.271

通船によって運ばれた物資は、米・ヌカ・大豆・大麦・小麦・薪炭・木材・塩・菜種・油・油粕などで、時には人も乗った。

・古川貞雄, 竹内誠 対談「水は文化を運ぶ」『地域文化』77号 八十二文化財団 2006 p.25-30
 p.29に千曲川通船の一番の積荷は塩であり、松永塩・千浜塩・富浜塩・吉和塩・三原塩・三田尻塩等瀬戸内海の塩も運ばれてきたことが記されている。この塩は、新潟県直江津で陸揚げされたようだ。

・『千曲川の風土と小布施』市川健夫 小布施町 1999【N517/161】p.109-110

太左衛門船(大滝船)がはじまったころの上り荷物は、材木・大豆・麦・稗などで、やがて塩・茶・鉄・海産物魚類などの商い荷物が増えている。(-中略-)文化・文政年間になると通船の積み荷は品目・量がふえ、文政元年の太左衛門船は塩・茶・雑穀も取り扱っている。

・『飯山市誌 歴史編 上』飯山市誌編纂専門委員会編 飯山市 1993【N211/48/2-1】
 p.729には、購入した塩の銘柄と数量の表、p.731に「千曲川通船による輸送品目」の表が確認できる。

・『飯山市誌 歴史編 下』飯山市誌編纂専門委員会編 飯山市誌編纂委員会 1995【N211/48/2-2】p.107

 戌八月(明治七年)の十日町権右衛門から西大滝太左衛門、川田宿五右衛門、松代安二郎あての積送状(「斉藤家文書」)には、瀬戸物、備後表、干鰯八俵など、海産物から肥料雑貨にいたるまで多様な荷物が載っている。同年九月の積送状には、塩七六俵がある。

・『千曲川大紀行』(前掲)p.156

・江口善次著 「千曲川の通船」『信濃 第三次』第5巻第8号 信濃史学会 1953

・滝沢公男著 「川の道・千曲川」『地域文化』77号 八十二文化財団 2006 p.3-9


<松代藩営川船が運んだもの>
 松代藩営川船は、食料品、し好品、手工業製品、衣類、小間物なども運んでいたとある。また、塩荷に関しては荷物の四分の一の割合を占めていたという記述が確認できた。
・古川貞雄, 竹内誠 対談「水は文化を運ぶ」『地域文化』77号 八十二文化財団 2006 (前掲)p.25-30

・『長野県史 通史編 第6巻』(前掲)p.324

・『図説・奥信濃の歴史 上巻』(前掲)p.141

・『千曲川大紀行』(前掲)p.157

・『千曲川の風土と小布施』(前掲)p.110


<厚連船が運んでいたもの>
・『歴史の道調査報告書 31』(前掲)p.96-97

西大滝からの上荷物は日本海ルートによる塩や日本海産の干魚荷物、越後産の米などが多くみられる。


 また、上記と合わせて千曲川通船に関連のある文書類の目録を紹介する。
・『長野県立歴史館収蔵文書目録 4』長野県立歴史館編 長野県立歴史館 2000【N208/05/21】p.5

千曲川通船関係の史料には、八田家文書(松代町商人・国文学資料館史料館所蔵)、西澤家文書(川田宿問屋・西澤健吉氏蔵)、柳島家文書(丹波島宿問屋・長野市立博物館蔵)、一般文書(県立長野図書館移管文書・長野県立歴史館所蔵)などがある。

 p.81-121に、前述の「斎藤家文書」のリストあり。
  [リンク先 最終確認2025.11.9 国立国会図書館デジタルコレクションによるものは送信サービスで閲覧可]

回答プロセス

1 事前調査済の長野市の史料や文化遺産を閲覧できる長野市デジタルミュージアムで、キーワード「千曲川・通船」と入れて千曲川の通船について概要をつかむ。
2 長野県内の主な史誌類の目次を収集する「長野県市町村史誌等目次情報データベース」に、キーワード「千曲川・通船」で検索し、関係地域の史誌を調べる。
3 『長野県史 通史編 第6巻』で、千曲川の通船について確認ができた。
4 当館の蔵書を「千曲川」「通船」「千曲川通船」とキーワードを変えて検索する。『図説・奥信濃の歴史 上巻』『歴史の道調査報告書 31』『信濃の巨流千曲川』などの資料がヒットした。
5 4でヒットした資料を確認し、千曲川の通船は「太左衛門船」「松代藩営川船」「厚連船」が荷物の運搬を行っていたことを確認。
6 千曲川の通船で調べた資料をもとに、運搬された積荷について、太左衛門船・松代藩営川船・厚連船ごとの特徴を調べる。
7 2で調べた『飯山市誌 歴史編 下』にある「斉藤家文書」の目録『長野県立歴史館収蔵文書目録 4』もあわせて紹介した。
 [リンク先 最終確認2025.11.9]

事前調査事項

千曲川と犀川通船(長野デジタルミュージアム)
『日本の食生活全集 聞き書 長野の食事』日本の食生活全集長野編 農山漁村文化協会1986【N596/37】
『信州のおばあちゃんたちに聞いた100年後にも残したいふるさとレシピ100』大和書房編集部 大和書房 2022【596.21/ダイ】
『ながののおかず』服部 一景編著 開港舎 2024【596.21/ハイ】

NDC
  • 日本 (291 10版)
  • 内陸水運.運河交通 (684 10版)
  • 海洋工学.船舶工学 (550 10版)
参考資料
  • 長野県 編集. 長野県史 通史編 第6巻. 長野県史刊行会, 1989.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I10111101391998
  • 図説・奥信濃の歴史 上巻. 郷土出版社, 1995. (長野県の歴史シリーズ)
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002430277
    ,  ISBN 4-87663-275-8
  • 長野県教育委員会/調査編集. 歴史の道調査報告書 31. 長野県教育委員会, 1991-03.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I33111009810135698
  • 建設省北陸地方建設局千曲川工事事務所/編. 信濃の巨流千曲川 : 千曲川第1期改修工事竣工50年記念. 建設省北陸地方建設局千曲川工事事務所, 1993-02.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I20111009310011257
  • 田中欣一 責任編集. 千曲川大紀行 : 日本一の大河・千曲川のすべて. 一草舎出版, 2007. (「信州の大紀行」シリーズ ; 3)
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008593480
    ,  ISBN 978-4-902842-30-2
  • 江口善次著 「千曲川の通船」『信濃 第三次』第5巻第8号 信濃史学会 1953
  • 地域文化 第77号(2006/07) 第77号(2006/07). 八十二文化財団, 2006-07-01.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I20112990000029653
      (・滝沢公男著 「川の道・千曲川」
    ・古川貞雄, 竹内誠 対談「水は文化を運ぶ」
    )
  • 市川 健夫/監修. 千曲川の風土と小布施. 小布施町(長野県), 1999-12. (小布施学叢書)
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I20111009810068425
  • 飯山市誌編纂専門委員会 編. 飯山市誌 歴史編 上. 飯山市, 1993.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002272099
  • 長野県立歴史館 編. 長野県立歴史館収蔵文書目録 4. 長野県立歴史館, 2000.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003022610
キーワード
  • 千曲川
  • 通船
  • 千曲川通船
  • 太左衛門船
  • 松代藩営船
  • 厚連船
照会先
寄与者
備考
調査種別
文献紹介
内容種別
郷土
質問者区分
社会人
登録番号
1000376399
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000376399 コピーしました。
アクセス数 1115
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