レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年10月12日
- 登録日時
- 2021/10/12 10:08
- 更新日時
- 2023/06/16 10:04
- 管理番号
- 塩尻688
- 質問
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解決
砥の粉について、次のことが知りたい。
①何のために使われているものか
②岩絵具、水干絵具と関係があるか。同一のものではないか。
- 回答
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【資料1】~【資料8】を確認し、次のように回答した。
①漆塗りの下地などに使用されるもの。
②その成分等から、岩絵具とは別のものではないかと思われる。
- 回答プロセス
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①の質問については、当館の蔵書検索システムから「砥の粉(or 砥粉)」のキーワードで検索したところヒットなし。
広辞苑で「砥の粉」を引いたところ「砥石が削られる製造の過程で出る粒粉。主に漆塗りの下地や木造製品の目止めを滑らかにする」と説明あり。
このことから漆工に関する資料を確認したところ次の資料に記述が見つかった。
【資料1】p295「砥の粉」の項目あり。「漆塗に使用する材料の一つ。仕上げ砥石を山から切り出す際に出る砥石の粉末」「岩山の性質の違いで赤・黄・白の三種の色味がある。」とあり、錆(錆漆)や切粉地として漆下地に使われるほか、木地の目留めや銅擦に使われる旨の記述あり。
【資料2】索引から「砥粉」をひくと、下地についての記述部分に材料として説明が見つかる。
(いずれの資料にも絵具として使われるとの記述はなし)
【資料3】p149 砥石の組成について説明あり。石英、絹雲母、粘土成分などからなり、珪素、アルミニウムなど含まれる成分が表になっている。
【資料4】p37 4.砥石の分類について 天然砥石について、砂岩、粘板岩から取り出すとの記述あり。
②の質問については、「岩絵具」で蔵書を検索したところ【資料5】がヒット。このことから日本画やその画材に関する資料を確認した。
【資料5】p20に水干絵具の説明あり。成分についての説明はなし。p48に岩絵具の説明あり。天然の鉱物からつくられるとの説明と、元となる鉱物の写真と名称あり。(白色の元として石英があるが、砥石はなし。)
【資料6】p10 天然岩絵の具の説明あり。元となるいくつかの鉱物の説明あり。
【資料7】p24 「天然絵具」の中に岩絵具の説明あり。p25に天然絵具の原料(主成分)表あり。この中に砥石はなし。
【資料8】p116 岩絵具について詳細な説明あり。「岩絵具の原料は、粉砕しても発色を保つことができる色の濃度と適当な硬度を持った鉱物でなければならない」との記述あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 漆工芸 (752)
- 絵画材料.技法 (724)
- 参考資料
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【資料1】漆工史学会 編 , 漆工史学会. 漆工辞典 = Encyclopedia of JAPAN. 角川学芸出版, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024085697-00 , ISBN 9784046532633 -
【資料2】沢口 悟一 著 , 沢口‖悟一. 日本漆工の研究. 美術出版社, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I113016353-00 -
【資料3】大工道具研究会 編 , 大工道具研究会. 大工道具・砥石と研ぎの技法 : 天然砥石 人造砥石 砥石選び 砥石の養生 鉋の研ぎ 鑿の研ぎ : この1冊を読めば、砥石と研ぎの技法のすべてがわかる. 誠文堂新光社, 2011.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023207194-00 , ISBN 9784416811733 -
【資料4】渡辺一生 著 , 渡辺, 一生. 研ぎの技法 : 木彫入門者のための 新装版. 日貿出版社, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I066485534-00 , ISBN 9784817050601 -
【資料5】菅田友子 著 , 菅田, とも子. 日本画花を描く : 花それぞれの特徴の捉え方・構図から、各種の技法を徹底解説 : 写生/下図づくり 地塗り/転写/骨描き 隈取り/彩色. 誠文堂新光社, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026343650-00 , ISBN 9784416615553 -
【資料6】安原成美 編著 , 安原, 成美, 1984-. 12色で描けるはじめての日本画教室. グラフィック社, 2019.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029400720-00 , ISBN 9784766131185 -
【資料7】東京芸術大学大学院文化財保存学日本画研究室 編 , 東京芸術大学大学院. 図解日本画の伝統と継承 : 素材・模写・修復. 東京美術, 2002.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003070269-00 , ISBN 4808707233
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【資料1】漆工史学会 編 , 漆工史学会. 漆工辞典 = Encyclopedia of JAPAN. 角川学芸出版, 2012.
- キーワード
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- 砥粉
- 砥の粉
- 漆器
- 岩絵の具
- 水干絵の具
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000305955