レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年04月21日
- 登録日時
- 2022/09/22 00:30
- 更新日時
- 2023/11/16 00:30
- 管理番号
- 3A22008095
- 質問
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解決
千早赤阪村の郷土料理として紹介されている「粉豆腐」の由来と、現在および過去の千早赤阪村の高野豆腐の生産者を知りたい。
- 回答
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■「粉豆腐」の由来について
(1) 千早赤阪村ホームページ:組織から探す:健康福祉部:健康課:健康関連情報:健康づくり:毎月19日は食育の日:村の郷土食材「粉豆腐」を知っていますか?
https://www.vill.chihayaakasaka.osaka.jp/kakuka/kenkofukushi/kenko/4/4/sixyokuiku/4740.html (2023.10.21確認)
「粉豆腐」の由来について、「粉豆腐は、凍豆腐を作る時に出てくる豆腐の粉を食べたことに始まる、郷土の食べ物です。」とあります。
(2) 『ふるさと千早』 (房 巌/編著 房巌 1994)
千早地区出身で、凍豆腐を生業としていた家に生まれた元教員がまとめた資料です。
「粉豆腐」という表記ではなく、同じ食材を示すものなのか不明です。
「千早天然凍豆腐」の章のp.300-302「豆腐製造の副産物 豆腐粉」の節、p.302に「豆腐粉」の項があり、「豆腐製造のとき、水箱に面するところに、木綿布が当ててあるので布目が豆腐についている。その歪みをなくして形を整えるためにカンナで削る。」とあります。
■高野豆腐の生産について
「高野豆腐」は「凍り豆腐」や「しみ豆腐」とも言います(『日本国語大辞典』(小学館)「高野豆腐」の項より)。それらの表記についてもあわせて調査しました。
上記資料(2)『ふるさと千早』 (房 巌/編著 房巌 1994)
現在の製造状況については、「千早天然凍豆腐」の章、p.312-313「千早の人口冷凍豆腐」の節、p.313に「昭和四十五年、松本晴次氏の「八重桜」製造工場を最後に千早の冷凍工場はすべて姿を消してしまった。」と記述があります。
過去については、「千早天然凍豆腐」の章全編にわたって、江戸時代から昭和期までの状況が記載されています。
p.291-293「千早の凍豆腐工場数」の節に明治32年、大正5年、大正9年度、昭和5年度、昭和24年度の製造者数や工場数の記載があります。
p.297-299「商標・銘柄」の節のp.299「千早豆腐の銘柄」の項に銘柄と製造主が掲載されています。
また、巻頭口絵の5ページ目に、凍豆腐のレッテルや包装紙のカラー写真が掲載されています。
なお、巻頭「序」の「はじめに」にて、この資料の刊行に経緯についての記述があり、「千早赤阪村誌の資料などを使用」したとあります。
(3) 国立国会図書館デジタルコレクション『千早赤阪村誌 本文編』 (千早赤阪村史編さん委員会/編集 千早赤阪村役場 1980) (図書館・個人送信限定) <当館書誌ID: 0000574573>
https://dl.ndl.go.jp/pid/9574954/1/302 (2023.10.21確認)
資料(2)で参照している資料です。
「第二編 千早赤阪村の歴史 第四章 近代 第三節 金融・産業・経済」のp.545-576(コマ番号302-318)に凍豆腐に関する記述があります。p.556-557(コマ番号308)「大正九年度工場主とその持ち工場数」、p.565-566(コマ番号312-313)「千早凍豆腐の製造業者名と銘柄」などが掲載されています。
(4) 国立国会図書館デジタルコレクション『千早村実態調査報告書』 (大阪府総務部地方課 編 大阪府地方自治制度研究会 1949) (図書館・個人送信限定)
https://dl.ndl.go.jp/pid/2994385/1/28 (2023.10.21確認)
「第五章 千早村の経済」のp.45-56(コマ番号28-29)「第三節 凍豆腐製造業」に発行当時の凍豆腐製造業についての記述があります。「凍豆腐製造業は明治初年に開始せられたものの如く、その沿革は詳かではない。現在製造工場は五十七工場であり経営者は四十三人である。」とあります。具体的な工場名や生産者名の記載はありません。
(5) 国立国会図書館デジタルコレクション『凍豆腐の歴史』 (宮下章 著 全国凍豆腐工業協同組合連合会 1962) (図書館・個人送信限定)
https://dl.ndl.go.jp/pid/2496705 (2023.10.21確認)
凍豆腐の歴史について、非常に詳細に記述された資料です。以下の項のほか、千早の凍豆腐産業についての関連記述は多ページにわたります。
「第二章 江戸時代の凍豆腐製造 四 高野山周辺産地の発生」のp.74-78(コマ番号54-56)「5 千早(大阪府南河内郡千早赤坂村)」の項に、江戸期の千早赤阪村の凍豆腐製造の歴史について記述があります。
「第九章 太平洋戦争後の凍豆腐 三 関西天然高野豆腐産地没落後の状況 大阪府」のp.426-427(コマ番号246)「(2)千早」の項にて、「天然製法による高野豆腐の大阪市場向け出荷が不可能となり、昭和三十年から全面的に天然工場は休止し始めたのである。前年度までは二十九工場が稼働して、一万五千箱を造っていたが(中略)三十年は前年の半数以下、十二工場が稼働したにしぎなかった。(中略)この頃、資力のある豆腐小屋の持ち主の中で十数名が冷凍法に転換し、十二、三の冷凍工場が現われ、いくぶん勢を盛り返したとはいえ、七十工場が千早谷に立ち並んでいた昭和初期からみれば、衰退の後は歴然としていた」とあります。
巻末のp.584-587(コマ番号340-341)「全国凍豆腐工業協同組合連合会々員名簿」のp.586(コマ番号341)に「大阪府凍豆腐事業協同組合員」の項があり、所在地を「千早」とする工場が9件掲載されています。
(6) 『地域食材大百科 第9巻豆乳,豆腐,湯葉,乾物,乾燥野菜・果実,ふりかけ』 (農山漁村文化協会/編 農山漁村文化協会 2013.2)
「乾物 歴史と文化 伝統的製法の特色」のp.145-147「高野豆腐」の節、p.146に「千早の凍り豆腐の歴史」、p.147に「冷凍機による人工凍り豆腐の登場」の項にて、江戸時代以降の凍り豆腐製造の歴史について概要が記載されています。p.147「冷凍機による人工凍り豆腐の登場」の項に「大阪の千早、石見川の天然凍り豆腐生産も一時は50もの小屋があったが、1945(昭和20)年のピークを境に徐々に減少した。(中略)1970年には最後の1工場も閉められた。」と記述があります。
(7) 『大阪食文化大全』 (笹井 良隆/編著 西日本出版社 2010.11)
「第五章 練り物と乾物」のp.197-200「高野豆腐と千早豆腐」の項に、千早赤阪村の凍豆腐の製造についての記述があります。p.198に「千早豆腐の製造風景(昭和元<一九二六>年ごろ)」と題された写真が掲載されています。生産者についての具体的な記述はありませんが参考までご紹介します。
- 回答プロセス
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1.商用データベース「ルーラル電子図書館」を“粉豆腐”で検索、有用情報なし。
2.当館蔵書検索システムにてフリーワード“粉豆腐”で検索、有用情報なし。
3.大阪府立中之島図書館「おおさかポータル」( http://www.library.pref.osaka.jp/site/osakaportal/ )を“粉豆腐”で検索、ヒットなし。
4.商用データベース「JapanKnowledge」を“粉豆腐”で全文検索、有用情報なし。
5.「千早赤阪村ホームぺージ」( https://www.vill.chihayaakasaka.osaka.jp/index.html )にて、キーワード“粉豆腐”でサイト内検索したところ、資料(1)が見つかる。
6.大阪の郷土食についての参考資料『大阪食文化大全』(資料(7))を確認。その記述より資料(2)が見つかる。
7.『千早赤阪村誌』(資料(3))を確認。
8.当館データベース「大阪関係資料目次検索」(外部非公開)を“凍豆腐”で検索、有用情報なし。
9.当館蔵書検索システムにて、検索対象を調査研究コーナーの資料に限定し、フリーワード“豆腐”で検索、資料(6)が見つかる。
10.資料(3)の参考文献を確認、資料(5)が見つかる。
11.「国立国会図書館デジタルコレクション」をタイトルを“千早”、キーワード“豆腐”で検索、資料(4)が見つかる。
12.「国立国会図書館デジタルコレクション」をタイトルを“豆腐”、キーワード“千早”で検索。新たな有用情報見つからず。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 衛生学.公衆衛生.予防医学 (498 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000489802> ふるさと千早 房 巌/編著 房巌 1994 資料(2)
- 当館書誌ID <0000574573> 千早赤阪村誌 本文編 千早赤阪村史編さん委員会/編集 千早赤阪村役場 1980 資料(3)
- 当館書誌ID <0012682236> 地域食材大百科 第9巻 豆乳,豆腐,湯葉,乾物,乾燥野菜・果実,ふりかけ 農山漁村文化協会 2013.2 978-4-540-11210-2 資料(6)
- 当館書誌ID <0012185627> 大阪食文化大全 笹井 良隆/編著 西日本出版社 2010.11 978-4-901908-54-2 資料(7)
- 千早赤阪村ホームページ:組織から探す:健康福祉部:健康課:健康関連情報:健康づくり:毎月19日は食育の日:村の郷土食材「粉豆腐」を知っていますか? https://www.vill.chihayaakasaka.osaka.jp/kakuka/kenkofukushi/kenko/4/4/sixyokuiku/4740.html (2023.10.21確認) 資料(1)
- 国立国会図書館デジタルコレクション『千早村実態調査報告書』 大阪府総務部地方課 編 大阪府地方自治制度研究会 1949 https://dl.ndl.go.jp/pid/2994385/1/28 (2023.10.21確認) 資料(4)
- 国立国会図書館デジタルコレクション『凍豆腐の歴史』 宮下章 著 全国凍豆腐工業協同組合連合会 1962 https://dl.ndl.go.jp/pid/2496705 (2023.10.21確認) 資料(5)
- キーワード
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- 粉豆腐
- 高野豆腐
- 凍り豆腐
- しみ豆腐
- 千早赤阪村
- 千早村
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000321613