レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年08月28日
- 登録日時
- 2011/02/15 09:52
- 更新日時
- 2021/09/08 12:42
- 管理番号
- 9000006752
- 質問
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解決
精進湖が増水したときにだけ出現する幻の湖で、「富士六湖」と言われている赤池の名前の由来を知りたい。
- 回答
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『富士八海をめぐる(富士山叢書)』(富士吉田市歴史民俗博物館編 富士吉田市教育委員会 2003年)には「閼加(あか)(富士山に供える水)を取った場所だと考えられる」とある。また『富士山の謎:ニッポン不思議発見3(ワニ文庫)』(上村信太郎著 ベストセラーズ 1994年)には「池が浅く、湖底を埋めた赤い溶岩から名づけられたと思われる」とある。
- 回答プロセス
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1.『山梨百科事典』(山梨日日新聞社編・発行 1989年)には「富士六湖」「赤池」の項目はなし。また「富士五湖」「精進湖」の項にも赤池に関する記述はない。
2.『角川日本地名大辞典』第19巻 山梨県(角川日本地名大辞典編纂委員会編 角川書店 1984年)、『日本歴史地名大系』第19巻 山梨県の地名(平凡社 1995年)には「赤池」の掲載はない。
3.『上九一色村誌』(山梨日日新聞社編 上九一色村 1985年)には、p745の「村内各区位置図」に「赤池」の表記がある。
4.富士山関係資料調査すると、次の資料に赤池に関する記述があった。
・『富士八海をめぐる(富士山叢書)』(富士吉田市歴史民俗博物館編 富士吉田市教育委員会 2003年)p73「精進湖に赤池という場所がある。ここは精進湖の痕跡で閼加(あか)(富士山に供える水)を取った場所だと考えられる」とある。
・『富士山の謎:ニッポン不思議発見3(ワニ文庫)』(上村信太郎著 ベストセラーズ 1994年)p108「赤池はなぜ消えたか」の項に、「赤池という名は、池が浅く、湖底を埋めた赤い溶岩から名づけられたと思われる」とある。
・『富士山検定公式テキスト』(富士山検定協会編・著 スキージャーナル 2006年)p42「精進湖」の解説部分に「また、東側には、普段は枯渇しているが、精進湖が増水した時にだけ出現する「赤池」があり、「富士六湖」などともいわれる」とあるが、名前の由来については記述なし。
5.山梨日日新聞縮刷版検索データベースで「富士六湖」を検索すると、増水により赤池が出現した内容の記事がヒットしたが、名称の由来に関する記述はなかった。
・「気象とくらし:富士六湖が出現」(平成3(1991)年10月11日付け)→「赤池に限らず、富士山周辺には突然姿を現す池が静岡県にもあり、遠州七不思議の一つともいわれる」、幻の湖の出現は昭和57(1982)年、昭和58(1983)年とこの年であったなどの記述がある。
・「「富士六湖」が出現!?:上九一色に7年ぶり「赤池」:台風の大雨でゆう出」(平成10(1998)年10月3日付け)
・「「富士六湖」現れた!!:上九に「赤池」:雨が続き久しぶり」(平成16(2004)年10月15日付け)
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 海洋学 (452 9版)
- 参考資料
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- 『富士八海をめぐる(富士山叢書)』(富士吉田市歴史民俗博物館編 富士吉田市教育委員会 2003年) (p73)
- 『富士山の謎:ニッポン不思議発見3(ワニ文庫)』(上村信太郎著 ベストセラーズ 1994年) (p108)
- キーワード
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- 赤池
- 富士六湖
- 富士五湖
- 精進湖
- 湖
- 富士山
- 山梨県
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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赤池は、近くにある精進湖や本栖湖の湖水が増水すると出現することから、増水した湖水が地底の溶岩地帯を通ってわき出していると考えられている。
【2021.9.8追記】
2021年9月7日、山梨県富士山科学研究所、山梨大大学院総合研究部、立正大地球環境科学部が共同で、「赤池」は直近の降雨でできているという研究結果を公表した。2020年7月に出現した赤池の水、精進湖の水を採取・分析したところ、赤池の水の「安定同位体比」は降雨後に大きく変化しており、また、赤池の水と精進湖の水は明らかに異なるものだった。この結果から、「雨水が地下の表層を通り、数日間かけて赤池に流れ込んでいる可能性が高い」とした。※参考資料「山梨日日新聞」2021.9.8付け24面
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土(地理・地名)
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000078036