レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年04月01日
- 登録日時
- 2023/08/15 00:30
- 更新日時
- 2023/10/30 00:30
- 管理番号
- 3A23009080
- 質問
-
解決
大阪倉庫の爆發について国立映画アーカイブ歴史映像ポータルで、「大阪倉庫の爆発」というフィルムを見。43名が亡くなったとのことで、その爆発の原因が何なのかに興味を持った。爆発の原因について言及されている資料はあるか。
- 回答
-
以下(1)の「フィルムは記録する ―国立映画アーカイブ歴史映像ポータル―」にて「大阪倉庫の爆發」の概要を確認したところ、「1917年5月、大阪・安治川河口近くの東京倉庫株式会社蘆分倉庫で発生し、死者43名に達した爆発事故の映像」と記載がありましたので、該当の事故について調査しました。
(1) フィルムは記録する ―国立映画アーカイブ歴史映像ポータル―:大阪倉庫の爆發
https://filmisadocument.jp/films/view/55 (2023.9.1確認)
この事故の原因について、以下の資料に記載が見つかりました。
(2) 『新修大阪市史 第6巻 近代 2』(新修大阪市史編纂委員会/編集 大阪市 1994.12)
p.824-826「第四章 社会生活と文化の諸相 第三節 市民生活の諸相 2 大災害の発生 重なる爆発事故」のp.825に、「大正六年(一九一七)五月五日には、大阪市北区安井町(現福島区)にあった東京倉庫会社の倉庫が突然すさまじい音響とともに爆発炎上した。(中略)『大阪朝日新聞』『大阪毎日新聞』二紙はその日のうちに号外を数回発行し、惨状を伝えた。両紙の一連の報道によれば事故の原因は、AからIまである倉庫のうち、G・H・I倉庫に運搬中の塩酸カリを誤って落とし、G倉庫内に充満していた塩素酸ソーダが発火爆発したものとみられた。」とあります。
(3) 『野田 -創立100周年記念誌-』(創立100周年記念誌編集委員一同/編集 大阪市立野田小学校創立100周年記念事業委員会 2003.3)
p.127-128「わたしたちの“野田の郷” 第一部 郷土の歴史 近代から現代へ 東京倉庫の爆発」に、「大正6年5月5日午後4時55分ごろ、東京倉庫大阪支店(明治25年開設、大正7年三菱倉庫に社名変更)芦分事務所構内の倉庫、北区安井町(現野田6丁目5-2付近)で爆発事故が発生した。入庫荷役中の木樽に入った塩素酸ソーダが擦過により発火、急いで庫外へ運び出す途中、火災を発して庫内の貨物に燃え移った。倉庫には、特別危険物が充満していたので、庫内はたちまち火の海と化し、やがて大音響と共に、屋根と壁を空中高く吹き飛ばし、その瞬間、猛火は隣接の倉庫に次々に燃え移り、ここでもアルコール・ベンゾールなどの化学薬品に引火、より強烈な爆発を引き起こした。」とあります。
(4) 『三菱倉庫百年史』(三菱倉庫株式会社/編纂 三菱倉庫 1988)
p.120-125「第3章 港湾倉庫業への進出 第5節 芦分倉庫の爆発事故」のp.120-121「事故の経緯」に「大正6年(1917)5月5日午後4時50分ごろ、木樽入りの塩素酸ソーダを芦分事務所構内G号倉庫へ庫入れ荷役作業中、作業員の一人が、肩にかついだ樽を2段目の拼に置いたところ、その樽から白煙が出始めるのを認め、急いで庫外へ運び出す途中、火焔を発して庫内の貨物に燃え移った、というのが事件の発端である。このG号倉庫には、塩素酸ソーダのほか、塩酸カリ等の特別危険品が充満していたので、同庫内は、たちまち火の海と化し、やがて大音響とともに、屋根と壁体を空中高く吹き飛ばした。その瞬間、猛火は隣接のH号倉庫に燃え移り、ここでも、アルコール、ベンゾールなどの特別危険品を収蔵していたので、火勢はさらに強まり、やがて2度目の、より強烈な爆発を生じ、さらに火の手は塩素酸ソーダ、塩酸カリ、過酸化ソーダを収蔵していた隣接のI号倉庫を襲い、ここで3度目の最強烈の大爆発を引き起こした。」とあります。
(5) 国立国会図書館デジタルコレクション『三菱倉庫七十五年史』(三菱倉庫 1962)(図書館・個人送信限定) <当館書誌ID:0080233355>
https://dl.ndl.go.jp/pid/1587732/1/7 (2023.4.3確認)
p.379-388(コマ番号209-214)「第五章 芦分倉庫の爆発事件」のp.379「事件の経過」に「事件は、G(四七坪七八)、H(三六坪七〇)、I(二七坪八六)と三つに区画された一棟の鉄筋コンクリート造倉庫から発生したものであって、この日、午後四時五十分頃、G号倉庫へ当社の専属仲間達が、木樽入りの塩素酸曹達を庫入荷役をしている際、一人の仲間が肩にかついでいた樽を二段目の拼へ置いた衝撃でその樽から白煙を吹き出したので、急いで庫外へ運び出す途中、火焔を発して庫内の貨物に燃え移った、というのが最初の経過である。ところが、このG号は、塩素酸曹達、塩酸加里等の特別危険品で充満していたので、たちまち同庫内は火の海と化し、程もなく、耳を聾する大音響とともに、同倉庫の屋根と壁体を空中高く爆散させた。その瞬間、猛火は隣接H号に燃え移り、ここでもアルコール、ベンゾール等特別危険品を収蔵していたこととて、火勢は一向に衰えを見せず、やがて、二度目のより強烈な爆発を生じ、さらに、火の手は隣接して塩素酸曹達、塩酸加里、過酸化曹達の収蔵されていたI号を襲い、ここで三度目の強烈極まる大爆発を惹起した。」とあります。
(6) 国立国会図書館デジタルコレクション『工業界 8(6)』(工業界社 1917-06)(図書館・個人送信限定)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1587732/1/7 (2023.9.3確認)
p.1-3(コマ番号7-8)「東京倉庫の爆発に就て」に「爆発するに至りし大要を述べんに、最初同倉庫の人夫が堂島の長瀬商会より塩素酸曹達四箱を荷車に積みて、倉庫に運搬しつつありしが、人夫は倉庫の入口にて過つて其一箱をコンクリートの床に取り落したる為、其衝動にて発火したるものの如く、当時同倉庫内には爆発、若しくは燃焼し易き性質の塩酸加里、硝石、カーバイト等多額に格納しありたるに依り、火は忽ち之等の薬品工業品に移ると共に、三回に亘りて爆発したるものなり。」とあります。
- 回答プロセス
-
1.「Google」にて、キーワード“国立映画アーカイブ歴史映像ポータル 大阪倉庫の爆発”を検索、該当の映像を確認し、その参考文献を確認する。参考文献として「『キネマ・レコード』第四十八號(キネマ・レコード社、1917年)「フイルム界の新事」277頁、「五月の日本寫眞より」298-299頁」とあり。
2.当館データベース「大阪関係資料目次検索」(外部非公開)にて、キーワード“東京倉庫”で検索、資料(2)が見つかる。
4.大阪府立中之島図書館「おおさかポータル」( http://www.library.pref.osaka.jp/site/osakaportal/ )にて、キーワード“東京倉庫”で検索。「文献」に掲載されていた「福島区歴史研究会会報 12」を確認し、その参考文献より、資料(3)が見つかる。
5.『福島区史』を確認するが、有用情報なし。
6.「国立国会図書館デジタルコレクション」にて、キーワード“東京倉庫 爆発”で検索。資料(5)(6)が見つかる。
7.当館所蔵の三菱倉庫の社史を確認、資料(4)が見つかる。
8.「国立国会図書館サーチ」にてキーワード“東京倉庫 爆発”で検索するが、新たな有用資料見つからず。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 近畿地方 (216 9版)
- 企業.経営 (335 9版)
- 参考資料
-
- 当館書誌ID <0000427809> 新修大阪市史 第6巻 近代 2 新修大阪市史編纂委員会/編集 大阪市 1994.12 資料(2)
- 当館書誌ID <0010528955> 野田 -創立100周年記念誌- 創立100周年記念誌編集委員一同/編集 大阪市立野田小学校創立100周年記念事業委員会 2003.3 資料(3)
- 当館書誌ID <0000560310> 三菱倉庫百年史 三菱倉庫株式会社/編纂 三菱倉庫 1988 資料(4)
- 当館書誌ID <0080233355> 三菱倉庫七十五年史 三菱倉庫株式会社/編 三菱倉庫 1962.5 資料(5)
- フィルムは記録する -国立映画アーカイブ歴史映像ポータル –:大阪倉庫の爆發 https://filmisadocument.jp/films/view/55 資料(1)
- 国立国会図書館デジタルコレクション『工業界 8(6)』工業界社 1917-06 (図書館・個人送信限定) https://dl.ndl.go.jp/pid/1587732/1/7 資料(6)
- キーワード
-
- 大阪府大阪市北区
- 大阪倉庫の爆発
- 大阪倉庫
- 東京倉庫大阪支店
- 三菱倉庫
- 東京倉庫株式会社蘆分倉庫
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000337257