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レファレンス事例詳細

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事例作成日
2015年10月08日
登録日時
2015/10/16 12:41
更新日時
2016/03/30 18:17
提供館
宇都宮市立図書館 (2310280)
管理番号
宇南15-00214
質問

解決

徳川家康の「東照宮御遺訓:人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し 急ぐべからず」が漢文で書かれているものを見たい。また,この御遺訓について,説明している資料を見たい。
この御遺訓が書かれた立て札が,日光東照宮に立てられているのを見た。
(以下,この東照宮御遺訓のことを「人の一生は…」と記す)
回答
1 漢文で書かれた「人の一生は…」が載っている資料は見つけられなかった。
 ※なお,漢文ではないが,「人の一生は…」を中国語に訳した文章が載っているWebページがあった。(事後調査:2016年3月29日)⇒ ① 【YAHOO!智恵袋】 より  http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13135012163  ② ブログ【日漢翻譯博客堂・・・「天声人語」】 より  http://fanyi.exblog.jp/1119681/

2 「人の一生は…」についての説明や解説が載っている資料には以下のものがあった。
 ①『国史大辞典 第10巻』p.114「東照宮御遺訓(とうしょうぐうごゆいくん)」の項(執筆/徳川義宣)
 この項では「人の一生は…」とは別の「東照宮御遺訓」について説明がされており,最後に「人の一生は…」についての,次のような記述がある。  ――なお「人の一生は(中略)過ぎたるよりまされり」の一文が徳川家康遺訓として世に知られているが,これは徳川光圀作として伝えられていた『人のいましめ』の教訓文を,幕末期に一部改め,『東照宮遺訓』と改題して民間に流布せしめ,今日に至ったものである。

 ②『江戸時代の古文書を読む 家康・秀忠・家光』p.18-46「第一章 徳川家康の遺訓」
 ここには,「東照宮御遺訓(人の一生は…)」,「人のいましめ」,「東照宮御遺訓(「人の一生は…」とは別のもの)の冒頭部分」等の古文書の原文,解読文,読み下し文が載っている。原文はいずれも漢字仮名混じり文章である。また,《解説》(執筆/竹内誠)において,「人の一生は…」の由来や「東照宮御遺訓」について詳しく説明されており,「人の一生は…」に関する徳川義宣氏の研究内容についても触れられている。ここに掲載されている「人の一生は…」の古文書については,「テキストとして掲げたのは,明治一二年(一八七九)五月に出版された『習字 東照宮御消息』という書籍の一部である。」との記述がある。
 【事後調査:2016年2月】国立国会図書館デジタル化資料送信サービスで〔東照宮御消息〕をキーワードに検索したところ,『東照宮御消息』大宮覚宝/書 富岡新三郎 1879 国立国会図書館書誌ID:000000489166 がヒットし,この「人の一生は…」の古文書が見られることが分かった。(11~12コマ)

 ③「一連の徳川家康の偽筆と日課念仏―偽作者を周る人々―」徳川義宣/著(『金鯱叢書 史学美術史論文集 第8輯』p.627-797)
 この論文中の『一 東照宮御遺訓「人の一生は」』p.631-640 で,徳川家康の自筆とされる五点の「人の一生は…」の遺墨について,その真偽を検証している。また,教訓文『人のいましめ』が,「人の一生は…」の元となっていることについて言及している。

 ④「徳川家康遺訓『人の一生は』について」徳川義宣/著(『金鯱叢書 史学美術史論文集 第9輯』p.397-411)
 ③の論文の内容を踏まえ,東照宮御遺訓「人の一生は…」の生成・変遷について検討している。  

 ⑤『徳川家康 戦国乱世から三百年の泰平へ』守屋毅 平凡社 1978.7 
  日光東照宮にある「人の一生は…」の古文書の写真が載っているが,漢文ではない。また,「・・・これがほんとうに家康自筆のものかどうかもうひとつはっきりしない。」と記載されている。(栃木県立図書館に照会し,回答をいただいた)

 ⑥以下の資料には,詳細な解説ではないが「人の一生は…」を取り上げた文章や写真が載っている。
  ・『名言の内側』日本経済新聞社 1990.8 p.70-71(外山滋比古): 「人の人生は…」の全文が載っており,「徳川義宣氏の研究によると・・・定本は伝水戸光圀作「人のいましめ」(「天保会記」一八三〇年に見える)であったようである。」との記述がある。

  ・『名将名言録 一日一言』角川学芸出版 2009.11 p.67(火坂雅志): 「人の一生は,重き荷を負うて遠き路を行くが如し,急ぐべからず」の文を掲げて,「伝徳川家康遺訓,冒頭の一節。」として紹介している。

  ・『江戸の遺伝子』PHP研究所 2007.3 p.75-76(徳川恒孝): 家康の遺訓として伝わるもののなかで最も有名なものとして,全文を記載し,紹介している。

  ・『この国のことば』平凡社 2002.4 p.140(半藤一利): 全文を掲載し,御遺訓に付いている歌として「人はただ身のほどを知れ草の葉の露も重きは落つるものかは」を紹介している。(なお,『この国のことば』を改題して,『名言で楽しむ日本史』という書名で2010年6月に平凡社ライブラリーから発行された本では p.144 にこの部分が掲載されている。)

  ・『日光パーフェクトガイド 改訂新版』下野新聞社 2012.3 p.48 : 「東照公御遺訓」として,古文書の写真と読み下し文が載っている。なお,この古文書は,『江戸時代の古文書を読む 家康・秀忠・家光』に掲載されている古文書とは別のもの。
  (【追加事項:2015年11月】 『日光東照宮』(歴史と人物 増刊)中央公論社 1981.12 p.91 に,『日光パーフェクトガイド』に載っている古文書の写真が,日光東照宮の文化財の一つとして,大きな写真で載っている。解説文はなし。また,『日本架空伝承人名事典』平凡社 2000.8 p.352「徳川家康」の項に,同じ古文書の写真と解読文が載っている。)

  ・『徳川家と日光東照宮』宝島社 2015.3 p.2 : 「東照公御遺訓」として,全文と現代語訳が載っている。
  
  ・「東照公御遺訓の英訳」南石福二郎/著(『大日光 第36号』p.2-7,日光東照宮,1971) : 筆者が,「人の一生は…」を英訳した経過が記されている。(4種類の英訳文が載っている) 国立国会図書館デジタル化資料送信サービスでも閲覧可能。
回答プロセス
1 『国史大辞典 第10巻』の「東照宮御遺訓」の項を確認した。

2 所蔵している,徳川家康や日光東照宮関係の資料を見て,質問内容に関連する記載がないかを確認した。

3 レファレンス協同データベースを検索し,関連するレファレンス事例,10例あまりを参考にさせていただいた。   

4 インターネットで検索したところ,[愛知県立図書館 貴重和本デジタルライブラリー]で「東照宮御遺訓」が公開されていたが,内容説明文の冒頭に『元和初年に井上正就が、家康より秀忠に伝えよとて受けた教訓とされ、一般に家康の遺言として知られる「人の一生は…」で始まるものとは、内容を異にする。』と記されていた。  https://websv.aichi-pref-library.jp/wahon/detail/140.html (2016.2.14 最終確認)
また,このページで参考文献としてあげられていた次の資料を検索したところ,本市図書館にはないが,栃木県内の他館より借り受け可能だったので取り寄せた。(後日,当館でも購入し,受入した)   
  ・竹内誠著「徳川家康の遺訓」『江戸時代の古文書を読む -家康・秀忠・家光』(東京堂出版,2012) : 芳賀町図書館より借り受け。 

5 上記『江戸時代の古文書を読む -家康・秀忠・家光』に,参考文献として『金鯱叢書 : 史学美術史論文集 第8輯』,『金鯱叢書 : 史学美術史論文集 第9輯』があげられており,栃木県立図書館に所蔵されていたので取り寄せた。

6 当館契約のデータベース「ジャパンナレッジ」で〔東照宮御遺訓〕をキーワードにして検索したところ,『子育ての書1』東洋文庫285 山住正己・中江和恵/編 平凡社 1976.2 がヒットしたが,「人の一生は…」についての記述はなかった。   

7 栃木県立図書館に,所蔵する資料の調査を依頼した。 

8 日光東照宮にある「人の一生は…」の立て札については,インターネットで〔人の一生は 立て札〕をキーワードにして,Googleの画像検索をしたところ,個人のブログ等に掲載されている写真を見ることができ,東照宮の奥宮(奥社)に登っていく石段の途中に立っている,という趣旨の説明があった。

【事後調査:2016年1月】
 ① 国立国会図書館デジタル化資料を検索したところ,「人の一生は…」について書かれている資料には次のようなものがあった。
  『東照公御遺訓』東照宮社務所 編 東照宮社務所 1938 国立国会図書館書誌ID:000000726827
  『二宮尊徳夜話』石川謙 日本放送出版協会 1941  p.151-162 :000000664085
  『日本語録』保田与重郎 著 新潮社 1942  p.174-177 :000000664316
  『鉄舟随想録』[山岡鉄舟] [著][他] 宋栄堂 1943 p.47-48 :000000977227 (別名資料『鉄舟随想』,『鉄舟言行録』もヒットした)
   なお,『日本教育文庫 家訓篇』同文館 1910 および『松永道斎聞書』久能山東照宮社務所 1965 には,「人の一生は…」についての解説等は書かれていなかった。

 ② 「ジャパンナレッジ」で〔人の一生は重〕をキーワードにして全文検索したところ以下の資料がヒットした。
  辞典類:『日本国語大辞典』,『デジタル大辞泉』,『日本架空伝承人名事典』
  日記:『慊堂日暦4』東洋文庫337 松崎慊堂 山田琢訳/注 平凡社 1978.8 p.317-318 ⇒「人の一生は…」の全文が載っているが,詳しい説明はない。 

 ③ [愛知県立図書館 貴重和本デジタルライブラリー]の「東照宮御遺訓」のページの参考文献:平野寿則「『東照宮御遺訓』と『井上主計頭覚書』について」(『徳川イデオロギー』ぺりかん社,1996)を栃木県立図書館より借り受けて内容を確認したところ,この本で取り上げられている『東照宮御遺訓』は,「人の一生は…」ではないことが分かった。

 ④ 当館所蔵の『日光東照宮 日光東照宮400年式年大祭記念』須田慎太郎/撮影・文 集英社インターナショナル 2015.3 には,「人の一生は…」については記載されていなかった。
事前調査事項
NDC
  • 人生訓.教訓 (159 8版)
  • 日本史 (210 8版)
  • 個人伝記 (289 8版)
参考資料
  • 国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 10. 吉川弘文館, 1989-09.
    http://iss.ndl.go.jp/books/R100000074-I000046407-00
    ,  ISBN 4642005102
  • 徳川黎明会徳川林政史研究所 監修 , 竹内誠, 深井雅海, 太田尚宏, 白根孝胤 著 , 竹内, 誠, 1933- , 深井, 雅海, 1948- , 太田, 尚宏, 1963- , 徳川林政史研究所. 江戸時代の古文書を読む 家康・秀忠・家光. 東京堂出版, 2012.
    http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023671322-00
    ,  ISBN 9784490207866
  • 金鯱叢書 : 史学美術史論文集 第8輯. 徳川黎明会, 1981.
    http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001527823-00
  • 金鯱叢書 : 史学美術史論文集 第9輯. 徳川黎明会, 1982.
    http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001572013-00
    ,  ISBN 4886040012
  • 守屋毅/著. 徳川家康 : 戦国乱世から三百年の泰平へ. 平凡社, 1978. (日本を創った人びと ; 16)
    http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I016640404-00
キーワード
  • 徳川家康
  • 東照宮御遺訓
  • 東照公御遺訓
  • 東照神君遺訓
  • 徳川家康遺訓
  • 東照宮御消息
  • 人の一生は
  • 人のいましめ
照会先
  • 栃木県立図書館
寄与者
  • 愛知県立図書館[貴重和本デジタルライブラリー]
備考
NDC副出:175
調査種別
文献紹介
内容種別
質問者区分
社会人
登録番号
1000182432
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000182432 コピーしました。
アクセス数 18848
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