レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年05月30日
- 登録日時
- 2013/07/18 00:30
- 更新日時
- 2023/03/23 13:36
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-61
- 質問
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解決
京都の太秦(うずまさ)にある「大酒神社(おおさけじんじゃ・おおさけのじんじゃ)」の「酒」は「裂ける」という意味だと聞いたが本当か。
- 回答
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京都の大酒神社の表記には「酒」「辟」「裂」の三通りがあり,「裂ける」という字が使われている例がありますが,文字通りの意味か,には諸説あるようです。
祭神は何かという問題とも密接に結びついており,それぞれの説に賛成・反対の意見があります。
ただ,「酒」の字には意味はなく,「サケ」という音に当てられた字にすぎないという考え方は共通しているようです。
「大酒神社」の様々な表記については,【資料2】で確認することができます。
以下に資料で確認できた説を紹介します。
①サケ=避ける
災いを避ける神,つまり道の神とする説。「サケ」は「境」と同義だという説も含む。
【資料1】【資料3】~【資料8】
②サケ=裂ける
大地を裂くように地域開発をしたことから名づけられたとする説。
【資料5】【資料7】【資料9】【資料10】
③辟=開ける(さける)
開墾を意味し農耕殖産の神とする説。
【資料1】【資料11】~【資料14】
- 回答プロセス
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京都に関する事なので,まず【資料1】を確認。元は大辟(おおさけ)神社と称し,秦氏にゆかりがあることが分かる。
京都の神社や観光案内,秦氏に関する当館所蔵資料を確認し,またこれらの資料の参考文献にもあたった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 神社.神職 (175 9版)
- 近畿地方 (216 9版)
- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『京都大事典』(佐和 隆研/[ほか]編集 淡交社 1984) p122 “大酒神社”
- 【資料2】『新修京都叢書 第24巻 新索引』(野間 光辰/編 臨川書店 2006) p100
- 【資料3】『式内社調査報告 第1巻 京・畿内』(式内社研究会/編纂 皇学館大学出版部 1979) p151~153 “大酒神社”
- 【資料4】『秦氏の研究』(大和 岩雄/著 大和書房 1993) p313 “木島坐天照御魂神社”,p387~395 “大酒神社”
- 【資料5】『京都のなかの朝鮮』(朴 鐘鳴/編著 明石書店 1999) p81~83 “大酒神社”
- 【資料6】『謎の渡来人秦氏』(水谷 千秋/著 文藝春秋 2009) p54~59 “酒公の実在性”“「酒」は「裂け」か”
- 【資料7】『渡来人』(井上 満郎/著 リブロポート 1987) p187~192 “大避神社とは”
- 【資料8】『京都の歴史 1 平安の新京』(学芸書林 1973) p108 “神々の世界(上田 正昭/著)”
- 【資料9】『秦河勝』(井上 満郎/著 吉川弘文館 2011) p82~84
- 【資料10】『日本古代王権形成史論』(山尾 幸久/著 岩波書店 1983) p338,339
- 【資料11】『京のやしろ』(中村 直勝/文,岡本 東洋/写真 淡交新社 1965) p170,171 “大酒神社”
- 【資料12】『京の社寺を歩く』(京都新聞社 2000) p140,141 “大酒神社”
- 【資料13】『新撰京都名所図会 巻2』(竹村 俊則/著 白川書院 1966) p145,146 “大酒神社”
- 【資料14】『神名の語源辞典』(志賀 剛/著 思文閣出版 1989) p73
- キーワード
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- 大酒神社
- 大避神社
- 大辟神社
- 大裂神社
- 太秦
- 秦氏
- 京都市右京区
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000133943