レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年09月24日
- 登録日時
- 2023/03/06 15:51
- 更新日時
- 2025/01/10 14:17
- 管理番号
- 岩手-399
- 質問
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解決
岩手山の御祭神について知りたい。
- 回答
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幕末までは「岩鷲山大権現(がんじゅさんだいごんげん)」であったが、明治維新後の神仏混淆廃止によって「顕国魂大神(うつしくにたまのかみ)」「宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)」「倭建命(やまとたけるのみこと)」の三神へと替わった。
※顕国魂大神は大国主命(おおくにぬしのみこと)・大穴牟遅命(おおなむちのみこと)などとも呼ばれる。
下記資料などに関連する記載を確認し、紹介した。" "内は資料からの引用。
・『岩手町史』岩手町史編纂委員会∥編集 岩手町史刊行会 1976.3
p.790-791「三 岩鷲山」
"現在、岩手山頂に祀られる岩手山神社は江戸時代岩鷲山大権現と称せられたもので…"
・『滝沢市の歩み』「滝沢市の歩み」制作委員会∥編集 滝沢市 2018.3
p.207-209「岩手山信仰」
"岩手山は、山そのものを神体とする自然崇拝に阿弥陀・薬師・観音などの要素も加わって岩鷲山大権現となり、霊山として広く信仰を集めてきた。"
p.223-226「神仏判然令」
"この度の王政復古により神仏混淆をやめ、新たに顕国魂大神(大国主命・大穴牟遅命)・宇迦之御魂命・倭建命の三神を祭神とする岩手山神社に改称し…"
・『農民生活変遷中心の滝沢村史』福田 武雄∥編著 滝沢村 1974.4
p.620~627「七 岩手山神社」
>p.620「1 祭神」
"岩手山神社の祭神は三柱である。すなわち、宇迦之御魂命は五穀を掌る神であり、倭建命は、東夷鎮定の偉業をとげた神であり、特に主神である顕国魂大神は、〔中略〕天孫降臨にさきだって建国の基礎を定め、後、この国を天孫に譲った神であるという。"
>p.626~627「5 神仏分離による岩鷲山大権現」
"岩鷲山大権現は、本地仏を弥陀・薬師・観音の三尊としてきたが神祇転向について、祭神を日本武命・大国主命・宇迦之御魂命の三神合祀と致したいこと、神社名を岩手山神社と称したいこと、〔中略〕以上のように寺社奉行に願いでて許可された。"
・『神々の記憶 北東北の魅力を探る伝説探求読本』高橋 智∥篇著 盛岡出版コミュニティー 2015.3
p.230-231
”延暦20(801)年、坂上田村麻呂が"岩鷲大権現"を創祀して信仰の山となりました。文治5(1189)年9月には、源頼朝が奥州征伐で平泉の藤原泰衡を滅ぼした際、戦功のあった工藤小次郎行光に岩鷲山に奉斎する阿弥陀如来・薬師如来・観音菩薩の三尊像を賜らせたと伝えられています。”
”明治2(1869)年、柳沢新山堂は維新の名により権現号を廃止して"岩手山神社"と改称したので、権現の本地とする阿弥陀如来・薬師如来・観音菩薩を廃して、大穴牟遅命(おおなむちのみこと)・宇迦之御魂命(うかのみたまのみこと)・倭建命(やまとたけるのみこと)の三神を祀り、明治4(1871)年に郷社、大正5(1916)年11月に県社に並びました。”
・『図説盛岡四百年下巻2』吉田 義昭∥編著 及川 和哉∥編著 郷土文化研究会 1992
p.52「厳鷲山大権現岩手山神社と号す―神仏混淆廃止へ―」
・『岩手山記』小原 兄麿∥著作 岩手山壱万講社 1920.7
p.19~21「正徳年代之遣證文」
→明治2(1869)年、岩鷲山大権現の別当寺院である大勝寺住職が、神祇に転向し祭神を日本武命・大国主命・宇迦之御魂命の三神にしたいと寺社奉行に願い出た請願書が掲載。
- 回答プロセス
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主に岩手山周辺地域の市町村誌等を調査した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 東北地方 (212)
- 宗教史.事情 (162)
- 参考資料
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岩手町史編纂委員会 編集 , 岩手町史刊行会. 岩手町史. 岩手町史刊行会, 1976.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036572415-00 (当館請求記号:K213.3/イ3/1) -
「滝沢市の歩み」作成委員会 編 , 滝沢市. 滝沢市の歩み. 滝沢市, 2018.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029034417-00 (当館請求記号:K213.5/タキ) -
福田武雄 編著 , 福田, 武雄, 1906-. 農民生活変遷中心の滝沢村誌. 滝沢村, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001221188-00 (当館請求記号:K213.5/フ1/1) -
髙橋智 篇著 , 高橋, 智, 1967-. 神々の記憶 : 北東北の魅力を探る伝説探求読本 : 八郎太郎三湖伝説 鹿角金山発見伝説 岩手山伝説 姫神山伝説 早池峰山伝説 八幡平伝説 北上川源流伝説. 盛岡出版コミュニティー, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026295009-00 , ISBN 9784904870341 (当館請求記号:K388.12/タカ) -
吉田義昭, 及川和哉 編著 , 吉田, 義昭, 1931- , 及川, 和哉, 1933-2016. 図説盛岡四百年 下巻 2. 郷土文化研究会, 1992.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002169297-00 (当館請求記号:K211/ヨ1/4-2-2) -
小原 実義 著 , 小原‖実義. 岩手山記. 岩手山一万講社, 1940.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036134644-00 (当館請求記号:K291.3/イ1/1)
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岩手町史編纂委員会 編集 , 岩手町史刊行会. 岩手町史. 岩手町史刊行会, 1976.
- キーワード
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- 岩手山
- 御祭神
- 神仏分離
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000329879