レファレンス事例詳細

※以下、インターネット情報は2023年4月29日最終確認。

杉並区の担当部署である政策経営部営繕課に問い合わせてみましたが、平面図などの資料は残されていないということでした。以下、図書館所蔵資料とインターネット資料を中心にご紹介いたします。


＜杉並区立図書館所蔵資料＞

・『杉並区勢概要　昭和28年度版』（杉並区役所／編・発行、1953年、S11.31キ）
→巻頭の口絵の中に、「杉並図書館」のモノクロ写真が掲載されています。また、p.127に、昭和27年現在の杉並区立図書館のデータ（館長、所有地、電話、蔵書数、閲覧人員数）がまとめられています。

・『杉並区勢概要　昭和31年度版』（杉並区役所／編・発行、1953年、S11.31キ）
→pp.96-99の「図書館」の項目に、図書館の沿革、施設の概要（敷地坪数、建物坪数、書庫坪数、各部屋の内容と定員数）、蔵書数、閲覧数などがまとめられています。

・『杉並区立図書館だより　第1号―第21号』（杉並区立杉並図書館／編・発行、S11.01ス）
→第9号（1975.3）に「草創期」（永福図書館　斎藤よし江）というコラムがあり、「昭和27年4月、明るくモダンな建物の図書館が完成した。（中略）山口蘭渓の書になる門表、東郷青児のポスター、福田勝治の装飾プランなど文化区に相応しい人々の協力によりスタートしました。館内は暖色で統一され、書庫だけが鉄筋の木造図書館は一層親しみ易く……」などと書かれています。また、第10・11合併号（1975.10）には、「25周年を迎えた区立図書館」（教育長　西村峻一）という記事があり、杉並図書館の標札の写真が掲載されています。

・『杉並の図書館　昭和47年度版―昭和51年度版』（杉並区立図書館／編、杉並区立杉並図書館、S11.01ス）
→1972年版のp.3に、杉並図書館の正面写真と平面図があります。以降の各年版にも同様に平面図がありますが、後述の「国立国会デジタルコレクション」収録の資料類を元に昭和20～30年代当時と比較すると、部屋割には大きな変更があるようです。
また、1975年版では、「Ⅰ杉並の図書館・この四半世紀」という特集が組まれており、「2．新館の建設」では、建設当時の杉並図書館について、「昭和27年5月24日。国電・荻窪駅から歩いて５分の閑静な住宅地・旧西田町の一角に瀟洒でモダンな図書館が開館した。当時としては珍しく、明るいクリーム色で統一された木造モルタル平屋建で、書庫だけが鉄筋づくりであった。」などと書かれています。

・『杉並区政史』（東京都杉並区／編・発行、1995年、S11.31ス）
→pp.861-862に「杉並図書館の解説」という項目があり、杉並図書館の概要（創設の経緯、敷地面積、職員数、座席数、図書収容能力など）が書かれています。上記『杉並の図書館』の「Ⅰ杉並の図書館・この四半世紀」を参考に書かれたと思われ、重複する内容も多いようです。

・『杉並区教育史　下巻』（東京都杉並区教育委員会／編集・発行、1966年、S11.37キ）
→pp.671-672に「図書館」の項目があり、杉並図書館の正面から撮影した写真が掲載されています。また、昭和23～30年の蔵書数と利用者数が記載されています。

・『杉並区議会史』（杉並区議会史編さん委員会／編・発行、1975年、S11.31ス）
→pp.362-363「第五章　昭和二十六年　第八節　第四回定例会」の議事録内に、「議案第三十八号　杉並区立図書館敷地買収の件（標記図書館敷地として西田町一丁目七七〇番地外九七三坪三一を中田幾太郎外より買収するもの）」という記述があります。

・『杉並区広報縮刷版　ＮＯ．１』（杉並区企画部広報課／編・発行、1982年、S11.31キ）
→「杉並区広報　No.23」（昭和27年5月26日発行）に「都内随一を誇る区立図書館　5月24日開館式を挙行」という記事があります。文章だけの簡単な記事ですが、着工月、落成月、設備、読書室の収容人数などに触れています。

・『杉並区史』（東京都杉並区役所、1955年、S11.21ス）
→pp.1110-1111に、杉並図書館の写真と、蔵書数（昭和28年）、閲覧人員数（昭和27年・昭和28年現在）のデータが掲載されています。

・『図書館雑誌』(1952年4月號）
→pp.4-5の「建設ニュース」内で、杉並区立図書館が紹介されています。阿佐谷中学校内の一部から西田町に新館建設が進められ、近く移転の運びになったとあり、「木造平屋建総建坪192.6坪（但書庫は鉄筋コンクリ―ト建）予算は597万円である。」などと書かれています。

・『道　安井郁 生の軌跡』（「道」刊行委員会／編、法政大学出版局、1983年、S11.31ミ）
→昭和27年に図書館の館長をしていた安井郁氏の遺稿と追悼集です。p.166に図書館に触れた箇所があり、「杉並図書館には、一般室のほかに、学習室と児童室を設けてみたが、学習室はとくに中学生や高校生の利用が多くてたいへんな盛況である。」などと書かれています。
※安井郁氏については、「すぎなみ学倶楽部」（https://www.suginamigaku.org）にも「【記録集】杉並にも公民館があった＞３．公民館建設の立役者」（https://www.suginamigaku.org/2015/01/kominkan-03.html）という記事があり、その活躍が紹介されています。

・『歴史の大河は流れ続ける　（３）』（杉並区立公民館を存続させる会／編・発行、1982年、S11.37ス）
→pp.25-26に「杉並図書館の前史－畔柳哲男氏に聞く－」という記事があり、都立杉並図書館時代からの歴史について解説しています。昭和27年の新築移転当初の様子や職員体制にも触れています。


<データベース>

「国立国会デジタルコレクション」（http://dl.ndl.go.jp）を検索したところ、以下の資料がありました。いずれも「図書館・個人送信限定資料」として収録されています。

・『読書春秋』（3巻（8月号）、春秋会、1952年8月、18コマ、http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10987318）
→「<図書館めぐり>19」の中で、昭和27年4月に新築されたばかりの杉並区立図書館が紹介されています。文章のみですが、館内の様子が詳細に記載されており、設計者が佐藤孝氏であること、調度の装飾には画家の恩地孝四郎氏と写真芸術家の福田勝治氏が関わっていることが書かれています。

・『図書館建築平面図集　第2』（日本図書館協会、1957年、14-15コマ、http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2935839）
→杉並区立図書館の平面図、設計方針、使用感想が書かれています。部屋割を見ると上記「<図書館めぐり>19」の記述とは食い違うところもあるようなので、開館から数年の間に多少の変更があった模様です。


<インターネット情報>

・「区制20周年記念映像「杉並物語」 【昭和27年制作】」
（https://www.youtube.com/watch?v=PHsK_U__coI）
→YouTube杉並区公式チャンネルに昭和27年制作の映像がありました。杉並区について紹介したもので、10：32の時点で昭和27年に完成した図書館が映ります。説明はありませんが、外観や書架の映像は登場します。

・「空から見た杉並【昭和45年制作】」
→杉並区公式チャンネルです。空から区の施設を撮影したもので、11：38の時点で杉並区立図書館の外観が登場します。

建築設計図は、古い建築関係の雑誌などに掲載されていることもあります。建築分野の専門的な調査ですと、「建設産業図書館」（https://www.ejcs.co.jp/library/）でもレファレンスを受け付けているようです。