レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年02月10日
- 登録日時
- 2012/02/10 11:19
- 更新日時
- 2015/04/20 11:16
- 管理番号
- 京高図司-2011-08
- 質問
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解決
『伊勢物語』第24段・「梓弓」に関連して、「当時、夫が家を出て三年間消息不明の場合は、妻は再婚できるという法令があった」という注釈が付してあるが、その法令とは何か?
- 回答
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令の戸令(こりょう) 養老令では「令」巻第四 戸令第八の二十六条
- 回答プロセス
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①『竹取物語 伊勢物語 新日本古典文学大系17』岩波書店、1997
107ページの注9に、「令制の戸令に、夫が他国に行き、三年間消息不明であれば、他人との結婚が許される定めがあった」
②『国史大辞典』吉川弘文館、1985
第6巻の「戸令」の項の参考文献欄を参照。
③『律令 日本思想体系3』岩波書店、1976
233ページ、「令」巻第四 戸令第八の二十六条(結婚条)の規定が根拠であると思われる。
「(結婚)已に成りたりと雖も、其れ夫外蕃に没落して、子有るは五年、子無きは三年までに帰らず、及び逃亡して、子有るは五年、子無きは二年までに出でこずは、並びに改嫁聴せ」
(注)『律令 日本思想大系3』 7ページ 凡例1 「本書には養老律令を収録する」
- 事前調査事項
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①『伊勢物語』第24段・「梓弓君に寄り添うわがこころ」は、「宮仕えをしに行く」と言って出て行った男の帰りを、三年間待ちわびた女の悲しみを綴った段である。
②『ビギナーズ・クラシックス 伊勢物語』の108ページには、「当時、夫が家を出て三年間消息不明の場合は、妻は再婚できるという法令があった」との解説がある。
- NDC
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- 小説.物語 (913 9版)
- 法制史 (322 9版)
- 社会史.社会体制 (362 9版)
- 参考資料
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- 『竹取物語 伊勢物語 新日本古典文学大系17』岩波書店、1997
- 『国史大辞典』吉川弘文館、1985
- 『律令 日本思想大系3』岩波書店、1976
- 『ビギナーズ・クラシックス 伊勢物語』角川書店、2008
- 『物語にみる婚姻と女性 『宇津保物語』とその他』江守五夫、日本エディタースクール、1990
- 『平安文学でわかる恋の法則』高木和子、筑摩書房、2011
- 『平安貴族の結婚・愛情・性愛』増田繁夫、青簡社、2009
- 『平安朝の結婚制度と文学』工藤重矩、風間書房、1994
- キーワード
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- 伊勢物語
- 婚姻
- 婚姻制度
- 律令
- 平安時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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・『律令 日本思想体系3』564ページ「補注」に、「これらの条文が現実に機能していたかは問題」 との記述あり。
・『ビギナーズ・クラシックス 伊勢物語』の108ページには、「ここでは、法令のためというより、女が自分を納得させるのに三年という期限が必要だったのかもしれない」との注釈がある。物語の象徴的な設定として、この法令が用いられているように思える。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 教職員
- 登録番号
- 1000101302