レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年12月07日
- 登録日時
- 2022/01/11 09:39
- 更新日時
- 2022/05/31 12:40
- 管理番号
- ASN2021-16
- 質問
-
解決
巡査の社会的立場(身分や権力)に、どれほどの差があったのか。
作品の初出が大正元年なので、それ以前の範囲で知りたい。
【背景】
ゼミの発表準備で、志賀直哉の「正義派」を担当することになった。
その中で線路工夫と巡査が対立するのを見て、気になった。
[作品初出]
志賀直哉"正義派"朱樂 1912.09
確認資料:『日本近代文学年表』(小田切進編 小学館 1993.12 91026/O172-5)
時代背景として、労働運動・鉄道ストライキがあったことを確認している。
【関連質問】
ASN2021-15 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000310188
- 回答
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待遇・賃金などの周辺情報も併せて紹介しています。
詳細は、回答プロセスをご確認ください。
- 回答プロセス
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1.基本事項の確認
1-1.JapanKnowledge[契約データベース]
「巡査」(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)
警察官の階級の一つ。巡査の名称が最初に用いられたのは、1872年(明治5)の警保寮職制
(太政官 (だじょうかん) 布告)においてであるが、当時の巡査は一等から三等までの3階級に
分かれており、現在の巡査と異なったものであった。
「巡査」(『日本国語大辞典』)
公安の維持や犯罪の捜査・逮捕などの仕事をする。
明治初期、東京の警吏は、「府兵」「取締」「邏卒」などと呼ばれていた。「巡査」が初めて使用
されたのは、挙例の太政官布告で、続いて1874年に、東京では警吏の名称として「邏卒」が廃止
され、「巡査」に統一された。全国的に「巡査」と改称されたのは、その翌年の1875年であった。
1-2.レファレンス資料 <分類:2106(日本近代史)、351(統計学)>
【★1】『明治時代史大辞典, 2』
p.248「巡査」
警察官の一番下の階級。民衆への態度の背景や、エリート警察官層と格差があったこと
などの記述がある。参考文献あり。
○次の資料からは、回答に繋がる記述を確認できなかった。
『明治大正国勢総覧, 復刻版』(東洋経済新報社編 東洋経済新報社 1975 351/ME25)
2.図書
2-1.【★1】の参考文献から探す
【★2】『官僚制・警察(日本近代思想大系3)』
前半に史料、後半に解説を掲載している。
p.466-500 「日本近代警察の確立過程とその思想」(大日方純夫)
p.480- 巡査の採用について。
p.492- 巡査に求められたこと。
p.493- 民衆の警察に対する意識について。
*次の資料は貸出中のため、正確な内容を確認できていないが、
当時の一般巡査の生活実態を紹介しているようである。
『近代日本の警察と地域社会』(大日方純夫著 筑摩書房 2000.4 3177/O14)
●次の資料は当館に所蔵なし。他機関資料で確認が必要。
『天皇制警察と民衆(日評選書)』(大日方純夫著 日本評論社 1987.7)
『日本近代国家の成立と警察(歴史科学叢書)』(大日方純夫著 校倉書房 1992.11)
2-2.本学図書館所蔵資料から探す
2-2-1.本学図書館OPAC https://cat.lib.aasa.ac.jp/drupal/
<キーワード:警察 日本、警察 近代 / 著者名:大日方純夫 / 件名:警察 日本 など>
○次の資料からは、回答に繋がる記述を確認できなかった。
『警察の社会史(岩波新書 新赤版 271)』(大日方純夫著 岩波書店 1993.3 080/I-2/271)
『遊郭・花街/社会外之社会/警察統計 戦前日本の社会事業・社会福祉資料 ; 第6期第8巻』
(舟津悠紀編集・解説 柏書房 2020.7 369/SE751/6-8)
2-2-2.ブラウジング(書架を見て探す)<分類:3378(物価)、360(社会)、382(風俗史)>
【★3】『値段史年表 : 明治・大正・昭和』
p.91「巡査の初任給」 明治7年~昭和61年までの巡査の初任給が記載。
【★4】『労働者の生活と「サボタージュ」』
『生活不安』 (1919年) ほか全6点の翻刻した資料。
p.29-30 「大阪府警察官俸給累年比較表」で、明治42年~大正7年の巡査達の給料を比較できる。
p.173-185 「巡査の生活」 大正7年ではあるが、巡査の生活状況を確認できる。
【★5】『百年前の家庭生活』
p.202-221 「第六章 家計からみた貧富の差 三、都市家庭の暮らし向き」
「(三)下級公務員の家庭」で、巡査の初任給と家計を確認できる箇所あり。
章末の参考文献に”「社会生活の安全期間 巡査の生活」『女学世界』第4巻第9号、
1904年9月[丸岡秀子編『日本婦人問題資料集成 第7巻 生活』(ドメス出版社)
124-126頁”が掲載。→【当館所蔵あり、請求記号:367/N773/7】
○次の資料からは、回答に繋がる記述を確認できなかった。
『物価の文化史事典』(甲賀忠一, 制作部委員会編 展望社 2008.7 337821/KO24)
『大正期の家庭生活』(湯沢雍彦編 クレス出版 2008.8 3821/Y99-1)
2-3.CiNii Books https://ci.nii.ac.jp/books/ <キーワード:警察 生活 歴史>
●次の資料は当館に所蔵なし。他機関資料で確認が必要。
『明治時代警察官の生活 (生活史叢書)』(岡忠郎著 雄山閣出版 1974)
2-4.Google Books https://books.google.co.jp/
<キーワード:巡査 生活、巡査 大正時代、警察 大正時代、警察 近代 など>
【★6】『日本の戯画 : 歴史と風俗』
p.217 「巡査の生活」
明治40年代は巡査の横柄ぶりが相当なものがあり、横暴ぶりが板について
「オマワリコワイ」となってしまった、とあり。巡査の生活を描いた
風刺画も掲載。(「巡査の生活」画:北澤楽天)
国立国会図書館デジタルコレクションでも閲覧可能。(【★7】)
【★8】『東京百年史. 第3巻』
「第四編 日露戦争と「軍都」東京 第一章 「軍都」化と警防 第三節 警防の確立」
p.878-880 「巡査の生活」あり
明治22年8月の巡査服務心得で、巡査の職務について規定している。
明治後半になると、過酷な勤務から生ずる巡査の不満が、再々民衆に向けられていた
ことが記載されている。
【★9】『東京百年史. 第4巻』
「第四編 世態人情の動揺 第三章 不景気と生活難 第一節 暗い話題」
p.1067-1068 「巡査の生活苦」あり
2-5.【関連質問 ASN2021-15】の調査で発見した資料より
【★10】『就職之手引 : 最近調査』
p.42 中学校卒業者に適する職業として警部をおすすめする中に、巡査の月給が十二圓位と記載あり。
p.52 小学卒業者に適する職業として紹介。同じく月給十二圓と記載。
3.新聞記事
新聞記事からも当時の様子を確認することができる。
例として朝日新聞の検索結果を紹介。
【例】朝日新聞オンライン記事データベース 聞蔵 II ビジュアル[契約データベース]
<新聞縮刷版タブ / キーワード:巡査 生活 など / 発行日:1907(明治40)年~1914(大正3)年>
“巡査の大恐慌 問題は宅料弁当料 生活難の下級官吏” 1911.01.29 東京・朝刊 p.5(1段)
→巡査の給料が安いこと、警察署によって給料の支払い方が違うなど、生活費が困窮し、不平不満が
たまっていることが分かる。
“可驚米価の騰貴(続) 巡査の生活難 盛に内職せよ” 1912.02.25 東京・朝刊 p.5(1段)
など
<Web最終確認日:2022/01/14>
- 事前調査事項
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【紹介済み資料】
『歴史学事典 第9巻法と秩序』(山本博文責任編集 弘文堂 2002.2 203/R251/9)
p.334-335「巡査」
警察官の最も下の階級。民衆への態度の背景や、エリート警察官層と格差があったこと
などの記述がある。参考文献あり。
- NDC
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- 社会 (360 10版)
- 行政 (317 10版)
- 日本史 (210 10版)
- 参考資料
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【★1】宮地正人, 佐藤能丸, 櫻井良樹 編 , 宮地, 正人, 1944- , 佐藤, 能丸, 1943- , 桜井, 良樹, 1957-. 明治時代史大辞典 2 (さ~な). 吉川弘文館, 2012.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023769748-00 , ISBN 9784642014625 (当館請求記号:2106/MI71-1/2) -
【★2】加藤周一 [ほか]編 , 由井, 正臣, 1933-2008 , 大日方, 純夫, 1950-. 日本近代思想大系 3. 岩波書店, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002078650-00 , ISBN 400230003X (当館請求記号:121/KA86/3A) -
【★3】週刊朝日 編 , 週刊朝日編集部. 値段史年表 : 明治・大正・昭和. 朝日新聞社, 1988.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001930338-00 , ISBN 4022558687 (当館請求記号:337821/SH99-1) -
【★4】村嶋歸之 [著] , 村島, 帰之, 1891-1965 , 村島, 帰之, 1891-1965 , 津金沢, 聡広, 1932- , 土屋, 礼子, 1958-. 労働者の生活と「サボタージュ」. 柏書房, 2004. (村嶋歸之著作選集 : 大正・昭和の風俗批評と社会探訪 ; 第3巻)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007562745-00 , ISBN 4760126147 (当館請求記号:360/MU58/3) -
【★5】湯沢雍彦, 中原順子, 奥田都子, 佐藤裕紀子 著 , 湯沢, 雍彦, 1930- , 中原, 順子 , 奥田, 都子. 百年前の家庭生活. クレス出版, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008291318-00 , ISBN 4877333363 (当館請求記号:3821/Y99) -
【★6】宮尾しげを 編著 , 宮尾, しげを, 1902-1982. 日本の戯画 : 歴史と風俗. 第一法規出版, 1967.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001093481-00 (当館請求記号:721/MI81) -
【★7】宮尾しげを編著 , 宮尾, しげを. 日本の戯画 : 歴史と風俗. 第一法規出版, 1967.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I009636982-00 (図書館送信参加館公開) -
【★8】編集: 東京百年史編集委員会 , 東京都. 東京百年史 第3巻. 東京都, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I002600994-00 (図書館送信参加館公開) -
【★9】編集: 東京百年史編集委員会 , 東京都. 東京百年史 第4巻. 東京都, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I002611333-00 (図書館送信参加館公開) -
【★10】酒巻源太郎 著 , 酒巻, 源太郎. 就職之手引 : 最近調査. 盛文社, 1911.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001534253-00 (インターネット公開)
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【★1】宮地正人, 佐藤能丸, 櫻井良樹 編 , 宮地, 正人, 1944- , 佐藤, 能丸, 1943- , 桜井, 良樹, 1957-. 明治時代史大辞典 2 (さ~な). 吉川弘文館, 2012.
- キーワード
-
- 巡査
- 警察
- 警察官
- 生活
- 待遇
- 大正時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 職業
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000310501