レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/10/22
- 登録日時
- 2019/10/30 17:05
- 更新日時
- 2019/11/14 10:12
- 管理番号
- 島根参2019-10-002
- 質問
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解決
「学ぶことで才能は開花する 志がなければ、学問の完成はない」という名言があるが、誰の、どこから出た言葉なのか知りたい。
- 回答
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当館所蔵から以下の資料を紹介。諸葛亮が遺した「誡子」の書に、「非学無以廣才、非志無以成学 (学ぶにあらざれば以て才を広むるなく、志あるにあらざれば以て学を成すなし)」という一節があると記述されています。
【資料1】『諸葛孔明 「三国志」とその時代』(講談社 2011)
「第三章 晩年>8.その遺文>庭訓」
”孔明の家庭教育はいかがであったか。・・・(中略)・・・長子瞻を訓戒した「誡子」の書は特にその思想を見るに足る。「それ君子の行いは静もって身を修め、倹もって徳を養う。澹泊にあらざればもって志を明らかにするなく、寧静にあらざればもって遠きを致すなし。それ学は須らく静なるべし。才は須らく学ぶべし。学にあらざればもって才を広むるなく、静にあらざればもって学を成すなし。・・・(中略)・・・」
学問の意義を説き幼い嫡子の将来を励ましたもの、澹泊寧静の語は淮南子主術訓に見えており、孔明は博く古典を読み、その中から価値ある部分を伝統に拘泥せずに採り上げ自己のものとしたのであろう。・・・”
【資料2】『諸葛孔明語録 中国古典新書続編 4』(明徳出版社 1986)p178~179「13.子を誡むるの書 二則」
“その一 学問修養とその方法及び意義について、訓誡したもの。
それ君子の行ひは、静以て身を修め、倹以て徳を養ふ。澹泊にあらざれば以て志を明かにするなく、寧静にあらざれば以て遠きを致すことなし。それ学は須く静なるべし。才は須く学ぶべし。学ぶにあらざれば以て才を広むるなく、志あるにあらざれば以て学を成すなし。・・・”
“夫君子之行、静以修身、倹以養徳。非澹泊無以明志、非寧静無以致遠。夫学須静也、才須学也。非学無以廣才、非志無以成学。・・・(『御覧』巻四百五十九鑒戒下)
- 回答プロセス
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(1)当館所蔵の以下の資料を調査。該当する記載なし。
『世界名言大辞典』(明治書院 2018) p318~321「学問・学識」、p313~316「教育・教養」
『名言名句集成 日本篇・中国篇・欧米編』(日本実業出版社)
『格言大辞典』(東出版 1995) 日本の部:教育、志那の部:教育、西洋の部:教育
『東西名言辞典』(東京堂出版社 1969)
(2)「学ぶことで才能は開花する 志がなければ、学問の完成はない」をキーワードにGoogle検索。諸葛亮の言葉であるとする情報がいくつかヒットした。『座右版 中国古典名言事典』(講談社 1993)、『中国名言辞典』(東京堂出版 1980)、『中国名言集一日一言』(岩波書店 2008)を調査したが、該当する記載は見つからず。※『座右版 中国古典名言事典』p304~「小学」に「諸葛孔明がその子を戒めたことば」として「静以て身を脩め、倹以て徳を養う。」あり。
(3)「学ぶことで才能は開花する」「志がなければ学問の完成はない」をキーワードに国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)を検索。以下の資料がヒット。諸葛亮の『誡子書』の一節であるとする記述あり。
「『三国志』から現代中国と世界を推理する : 易中天『三国志 素顔の英雄たち』を味わいながら」(電子書籍・電子雑誌) 関下稔 (立命館大学, 2010-03) 掲載雑誌名:立命館国際研究. 22(3)
“・・・最後に私が座右の銘にしている諸葛亮の『誡子書』の一節を掲げておこう。澹泊明志 寧静致遠 静学才志(無欲でなければ志は立たず、穏やかでなければ道は遠い。学問は静から、才能は学から生まれる。学ぶことで才能が開花する。志がなければ学問の完成はない。”
「私の国際経済学・現代世界経済論研究を振り返って」(電子書籍・電子雑誌) 朝日稔(関下稔) (立命館大学, 2007-03) 掲載雑誌名:立命館国際研究. 19(3)
“・・・極めつけは諸葛孔明の誡子書の一節「澹泊明志 寧静致遠」の言葉です。・・・無欲でなければ志は立たず、穏やかでなければ道は遠い。学問は静から、才能は学から生まれる。学ぶことで才能は開花する。志がなければ、学問の完成はない。・・・”
(4)当館所蔵から諸葛亮の故事に関する資料を調査。【資料1】【資料2】に該当する記述が見つかった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 8版)
- 中国 (222 8版)
- 人生訓.教訓 (159 8版)
- 参考資料
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【資料1】宮川尚志 [著] , 宮川, 尚志, 1913-2006. 諸葛孔明 : 「三国志」とその時代. 講談社, 2011. (講談社学術文庫 ; 2075)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011291142-00 , ISBN 9784062920759 (p230 当館請求記号 289.2/シ11) -
【資料2】中林史朗 著 , 中林, 史朗, 1950-. 諸葛孔明語録. 明徳出版社, 1986. (中国古典新書. 続編 ; 4)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001859166-00 (p178~179 当館請求記号 082/チ/4 ※書庫資料)
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【資料1】宮川尚志 [著] , 宮川, 尚志, 1913-2006. 諸葛孔明 : 「三国志」とその時代. 講談社, 2011. (講談社学術文庫 ; 2075)
- キーワード
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- 中国
- 文化
- 古典
- 三国時代
- 英雄
- 諸葛氏集
- 人生訓
- 遺文
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000263196