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レファレンス事例詳細

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事例作成日
2025年8月1日
登録日時
2025/08/13 15:34
更新日時
2026/02/12 18:55
提供館
県立長野図書館 (2110021)
管理番号
県立長野-25-091
質問

解決

戦時中、女優の山本安英(やまもとやすえ)と脚本家の木下順二が蓼科に疎開していたらしいが、正確な疎開地は分かるか。
回答

 『木下順二集 16』木下順二著 岩波書店 1989【912.6/134/16】p.308「著作年譜」の1945年5月に

「書物を長野県諏訪郡笹原村に疎開、以後しばしば同地へ赴く。」

とあり、完全な疎開ではないと思われる。
 『信州ふるさと変遷史 新版』 松橋好文原編 一草舎・刊 2006【261.52/ナガ】によると、長野県諏訪郡笹原村は現在の茅野市湖東にあたる地域。
 『木下順二集 3』木下順二著 岩波書店 1988【912.6/134/3】p.305「『二十二夜待ち』について」に

「戦争中、蔵書を信州の山の中に疎開していたので、毎月そこへ通った。そこは山本安英さんがお母さんたちと疎開していた場所であり」

とある。


 『笹原歴史のまち歩きマップ』笹原観光まちづくり協議会編・刊 2021【N292/685】「4 教育による村づくり」に木下順二、山本安英、山沢栄子の疎開地という記述があった。参考までに、笹原観光まちづくり協議会のホームページを紹介した。


 山本安英の疎開地については『歩いてきた道 大活字本シリーズ』 山本安英著 埼玉福祉会1990【775.1/ヤヤ】p.114に

「(前略)真山美穂さんが、前進座の関係で信州の諏訪を紹介して下さいました。(中略)そこの山の中へ、今から思えば敗戦をすぐ、三、四カ月のあとに控えた時期に、(後略)」

とあり、『演劇に生きる:山本安英と杉村春子』 福田和彦著 刀江書院 1959 p.194「25 ぶどうの会」[国立国会図書館デジタルコレクション送信サービスで閲覧可 108コマ 2025-07-16]には

「(前略)たまたま疎開の話がでたときに、真山美保が信州にあるじぶんの家を安英たちに提供したものだった。だが、ここもしばらくの間で、前進座がやはり集団疎開でこの家に入ることになり、家族の少ない安英たちは、さらに蓼科山の裏山の部落のほうへ引き移った。」

とあることから、諏訪地域内で疎開先を移動したようだが、移動前後の疎開地について具体的な場所は確定できなかった。


 なお、前進座の疎開先については「劇団前進座 公式サイト」の「前進座のあゆみ 1941年-50年」の中に「前進座は家族と約三十名の子どもを長野県蓼科と豊科に疎開させた。」とある。
 『前進座80年』 中村梅之助著 朝日新聞出版 2013【774.26/ナウ】p.34 「第二章 戦時下の前進座」にも同様の記述があるほか、この資料の著者の疎開先は豊科だったようだが、p.49に

「幸い無事に帰ってきて、家族の疎開先の湯川(茅野の郊外)の農家の広い庭先に着くと(後略)」

とある。
『角川日本地名大辞典20 長野県』「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 角川書店 1990【291.03/カド/20】によると、この「湯川(ゆがわ)」は現在の茅野市北山湯川、昭和20年当時の諏訪郡北山村湯川にあたると思われる。


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追記(2025年10月8日)
 県内出身の方から情報提供があり、木下順二と山本安英の疎開先についての新聞記事があることが分かったため、追加で紹介した。
・「舞台は疎開先の笹原?木下順二の戯曲「山脈」」 『長野日報』 平成27年(2015年) 8月21日 19面
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回答プロセス

1. 事前調査済み資料2冊を確認。『女優という仕事』 山本安英著 岩波書店 1992【775/42】p.136に疎開先として「信州の蓼科」、『木下順二集 3』木下順二著 岩波書店 1988【912.6/134/3】で回答の記述を確認。


2. 当館の蔵書検索システムで「山本安英」「木下順二」で全項目検索し、ヒットした資料の中からそれぞれの年譜を確認。『歩いてきた道 中公文庫』山本安英著 中央公論社 1994はp.147~182に「山本安英年譜」があるようだが、当館に所蔵がある大活字版には掲載がないため未確認。


3. 『歩いてきた道』で山本安英が前進座の関係であることが分かったため、前進座の集団疎開先について公式ホームページを確認。また、当館の蔵書検索システムで「前進座」で全項目検索し、沿革が分かる資料を探す。


4. 判明した諏訪郡笹原村、湯川という地名について『信州ふるさと変遷史 新版』 松橋好文原編 一草舎出版 2006【261.52/ナガ】で現在の地名を確認。『角川日本地名大辞典20 長野県』ほか、該当地域の史誌類を調べる。当館に所蔵のない『湯川むら』湯川むら編纂委員会編 茅野市北山湯川区 1976については茅野市図書館に内容を紹介したが、関連する内容は確認出来なかったと回答を受けた。


5. 当館契約のデータベース「信濃毎日新聞データベース」と「読売新聞データベースヨミダス」で「山本安英」「蓼科」「疎開」などをキーワードに検索。


6.国立国会図書館デジタルコレクションで「山本安英 疎開」「木下順二 疎開」「前進座 疎開」などをキーワードに検索。ヒットした資料を確認。


7.情報提供のあった『長野日報』の記事を確認。『木下順二集2』木下順二著 岩波書店 1998【912.6/134/2】で「山脈」と、その解説を確認。


<調査資料>
図書
・『村芝居』宇治正美著 銀河書房 1975【N049/35】
・『蓼科山』小林泉著 芦田村他三 四村財産組合 1943【N222/20】
・『笹原のあゆみ』堀内清七著 笹原公民館 1981【N241/97】
・『茅野市史 下巻 近現代・民俗』茅野市編・刊 1988【N241/111/3】
・『湖東村史 下』湖東公民館編・刊 1961【N241/127/2】
・『奥蓼科の歴史』北沢栄一著 草原社 1982【N241/156】
・『南大塩の歩み』南大塩の歩み編集委員会編 南大塩区 1999【N241/157】
・『写真で見るむかしの茅野市 八ヶ岳総合博物館30年のあゆみ』茅野市八ヶ岳総合博物館 2018【N241/254】
・『北山村勢要覧』諏訪郡北山村編 北山村 1954【N354.1/6】
・『茅野区のある養蚕農家の記録』五味敦史編著・刊 2007【N632/13】
・『信州舞台物語 団十郎も須磨子もやってきた』長野県立歴史館編集・刊 [2005]【N770/6】
・『茅野に残る舞台・舞屋の記録』サポートC編 2015【N771/2】
・『演出者の仕事 : 岡倉士朗演劇論集』岡倉士朗著 未来社 1965
[国立国会図書館デジタルコレクション送信サービスで閲覧可 参照2025-07-24]
p.98(国立国会図書館デジタルコレクション67コマ目)に「木下さんは戦争中信州の一農村に疎開した。(中略)木下さんは村人と一しょに上演する中で」のみ記載あり。
・『芹ケ沢誌』茅野市北山芹ケ沢区 1990 [国立国会図書館デジタルコレクション送信サービスで閲覧可 参照2025-07-19]
雑誌
・『演劇人』第1号(1946年4月)
・『悲劇喜劇』 早川書房 第47巻2号1994年2月号 No.520「特集・山本安英追悼」
p.38-39「山本安英略年譜」に「四五年五月、母、叔母(養母)とともに長野県へ疎開」のみ記載があり。
新聞
・「読売新聞データベース ヨミダス」
昭和20年(1945年)10月15日 朝刊2面 「新劇の復興」
山本安英について「戦時中信州蓼科に疎開」のみ記載あり。

事前調査事項
『女優という仕事』 山本安英著 岩波書店 1992【775/42】
『木下順二集 3』木下順二著 岩波書店 1988【912.6/134/3】
NDC
  • 演劇 (770 10版)
  • 戯曲 (912 10版)
参考資料
  • 山本安英 著. 女優という仕事. 岩波書店, 1992. (岩波新書)
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002234531
    ,  ISBN 4-00-430258-7
  • 江藤文夫 [ほか]編纂. 木下順二集 3. 岩波書店, 1988.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001906580
    ,  ISBN 4-00-091353-0
  • 江藤文夫 [ほか]編纂. 木下順二集 16. 岩波書店, 1989.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001993992
    ,  ISBN 4-00-091366-2
  • 長野県図書館協会 編 , 松橋好文 原編. 信州ふるさと変遷史 : 県下81市町村のルーツと現在. 一草舎出版, 2006.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008383584
    ,  ISBN 4-902842-26-2
  • 『笹原歴史のまち歩きマップ』笹原観光まちづくり協議会編・刊 2021
    https://www.library.pref.nagano.jp/licsxp-opac/WOpacTifSchCmpdExecAction.do?tifschcmpd=1
  • 山本安英 著. 歩いてきた道. 埼玉福祉会, 1990. (大活字本シリーズ)
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002070176
  • 福田和彦 著. 演劇に生きる : 山本安英と杉村春子. 刀江書院, 1959.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000995569
  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編纂. 角川日本地名大辞典 20 (長野県). 角川書店, 1990.
    https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002055045
    ,  ISBN 4-04-001200-3
キーワード
  • 山本安英
  • 木下順二
  • 疎開
  • 蓼科
  • 前進座
照会先
  • 笹原観光まちづくり協議会
    https://www.sasahara-machizukuri.com/
寄与者
  • 当該地域出身の一般の方
備考
調査種別
事実調査
内容種別
郷土
質問者区分
学生
登録番号
1000373116
転記用URL
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000373116 コピーしました。
アクセス数 1025
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