レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/02/19
- 登録日時
- 2021/03/17 00:30
- 更新日時
- 2021/03/17 00:30
- 管理番号
- 6001048550
- 質問
-
解決
大坂の町奉行所与力、同心について知りたい。
- 回答
-
大坂の町奉行所与力、同心については、次の資料に記載がある。
■『大阪市史 第1』(大阪市参事会/編 大阪市参事会 1913)
「町奉行所の組織」の項(p.486-493)に、与力・同心についての記載がある。
■『江戸と大阪 富山房百科文庫』(幸田成友/著 富山房 1995.7)
「第二 市制」に与力、同心に関する次のような記述がある。
「町奉行の配下には与力と同心とがある。与力は江戸が南北二五騎ずつ計五〇騎、大阪が東西三〇騎ずつ計六〇騎、同心は両地とも五〇人ずつであった。」(p.38)
「江戸の与力は南北各々五番組に分れ、各番組について与力の首席を支配、同心の首席を年寄と呼んだ。大阪にはかような組別はなかったようですが、やはり与力の上席を支配、同心の上席を筆頭組頭などと申しました。しかし三役といって地方・川方・寺社方はいずれも古参腕利きが勤めたそうです。」(p.39)
「[江戸の同心には定廻り・臨時廻り・隠密廻りの三廻りがあったが]少数の人数でそこまで行き届いたのは手先を使用したからで、その手先の身分は(中略)市中の隅々にある売女屋―公許を得ない―の男衆で、(中略)人数は合計百五十人ほどいたという。(中略)大阪では四カ所といって鳶田・千日・天満・天王寺の四カ所に一廓を構えている一種の階級を手先に使用した。」(p.41)
■『大坂東町奉行所与力公務日記 明和五年正月ヨリ七月迄』(大阪市史編纂所/編集 大阪市史料調査会 1988)
当該資料の解題と解説である、渡辺忠司「大坂町奉行と与力をめぐる二、三の問題」(p.135-157)に次の記載がある。
「[大坂町奉行所の]定員は東町と西町の二名で、配下にそれぞれ与力三〇騎と同心五〇人がいた。(中略)現在の警察と裁判所の機能と権限を持って、近世前期には大坂市中と周辺農村および摂津・河内の治安維持、訴訟・裁判、盗みや凶悪な諸事件の調査や探索・犯人の捕縛などを担当していた。(中略)大坂町奉行所は近世を通じて江戸幕府の畿内・西国支配の中心であったが、訴訟・裁判の実務や諸事件の調査・探索は与力・同心の職務であった」(p.135)
なお「これまで大坂町奉行の研究といえば、『大阪市史』(大正三年完結)のみといってよいほどの希薄さであった。」と指摘(p.135)し、その原因に「江戸の町奉行所与力や同心については、服装・勤務時間はもちろん十手の房の色まで分かっているのに、大坂の場合はそれを確かめる史料もないという状況に示されている」と関係史料の少なさがあったと指摘している。(p.136)
■『大坂町奉行所異聞』(渡邊忠司/著 東方出版 2006.5)
「Ⅱ 大坂町奉行と与力・同心異聞」の中に与力および同心の役割について記載がある。
・「二 町与力・同心の編成と職務 1 与力・同心の編成」p.103-105
「東西に与力三〇騎・同心五〇人がそれぞれ配属され、大坂町奉行所の実務を担当した。」(p.103)
・「三 取締と捕縛 1 町廻り」p.138-144
「大坂町奉行は支配所(大坂市中)と支配国(摂・河・泉・播)の司法・行政とともに治安・警察の機構でもあった。そのために、与力を中心にして火付・盗賊・人殺などの探索・捕縛、不審者の拘束、治安の維持と取締のための町廻りなどの常備態勢があった。特に、大坂町奉行所の与力・同心、その手下である役木戸・長吏は刑事事件への対処を対象に編成された態勢である。」(p.138)
「大坂町奉行所は治安・警察機能を職務とし、大きくは民事と刑事に分かれる。そのうち盗賊・殺人などの凶悪な刑事事件を担当する役職は盗賊吟味役であり、その実務を遂行する態勢は、大坂町奉行の支配所・支配国では、与力・同心を基軸に役木戸と長吏・小頭、惣代・若キ者による態勢であった。」(p.140)
■『近世畿内・近国支配の構造』(岩城卓二/著 柏書房 2006.6)
「第一部 軍事拠点大坂と譜代大名 第一章 在坂役人と大坂町人社会-大御番頭・大御番衆・加番を中心に-」p.56-103
■『近世大坂と被差別民社会』(寺木伸明/編 清文堂出版 2015.2)
安竹貴彦「一八世紀半ば~一九世紀初めにおける大坂町奉行所の捜査・召捕とその補助者」(p.6-34)
[事例作成日:2021年2月19日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 法制史 (322 10版)
- 参考資料
-
- 大阪市史 第1 大阪市参事会∥編 大阪市参事会 1913 (486-493)
- 江戸と大阪 幸田/成友∥著 富山房 1995.7 (38-39、41)
- 大坂東町奉行所与力公務日記 大阪市史編纂所∥編集 大阪市史料調査会 1988 (135-136)
- 大坂町奉行所異聞 渡邊/忠司∥著 東方出版 2006.5 (103、138、140)
- 近世畿内・近国支配の構造 岩城/卓二∥著 柏書房 2006.6 (56-103)
- 近世大坂と被差別民社会 寺木/伸明‖編 清文堂出版 2015.2 (6-34)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000295304