レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/04/23
- 登録日時
- 2017/07/14 00:30
- 更新日時
- 2017/07/14 10:43
- 管理番号
- 千県中参考-2017-5
- 質問
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解決
明治期の戸籍謄本に手書きされている先祖の氏名で、平仮名表記の部分を読み解きたいのだが、参考になる資料はあるか。
- 回答
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コトバンク(https://kotobank.jp/)内『日本大百科全書』「変体仮名」の項目や『戸籍実務六法』(p. 1631)によると、問合せのような字体は「変体仮名」と呼ばれるもので、昭和23年の戸籍法施行以前は、主に女性の名にしばしば用いられたそうです。たとえば、アの音を表すものにも「安」からできた「あ」(現在の平仮名の「あ」)のほか、「阿」や「悪」からできたものもあって併用されていたそうです。
変体仮名の一覧を収録する資料は、図書館では複数の分類に分かれて所蔵されているので、分類ごとに数点ずつ紹介します。その他にも変体仮名の一覧を収録する資料がありますので、回答プロセスの欄をご確認ください。
(戸籍)
【資料1】『戸籍実務六法 平成28年版』(日本加除出版法令編纂室編 日本加除出版 2015)
p. 1631-1635「変体仮名一覧」
(古文書)
【資料2】『古文書用字用語大辞典』(荒居英次[ほか]編集 柏書房 1980)
p. 644-652「変体かな一覧」
【資料3】『新編古文書解読字典』(林英夫監修 柏書房 1993)
p. 471-477「変体仮名用例一覧」
(書道)
【資料4】『変体がな解読字典』(竹田悦堂編 雄山閣出版 1998)
p. 129-139「かな字体一覧表」
【資料5】『漢字くずし方辞典』(児玉幸多編 東京堂出版 1993)
p. 494-516五十音順に変体仮名とその字母を記載しています。
(仮名)
【資料6】『図説かなの成り立ち事典』(森岡隆著 教育出版 2006)
p. 53-145「変体仮名」五十音順に各字を見開きで、変体仮名と字母、その解説を載せています。
なお、以下のウェブサイトでも変体仮名を一覧することができます。
【資料7】「文字情報基盤データベース」(情報処理推進機構)内「変体仮名一覧」
(https://mojikiban.ipa.go.jp/1bf7a30fda/data/MJH)
【資料8】「学術情報交換用変体仮名」(情報処理推進機構・国立国語研究所)
(http://kana.ninjal.ac.jp/)
(インターネット最終アクセス:2017年6月27日)
- 回答プロセス
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問合せのような字体の名称を特定するため、検索エンジンで「戸籍謄本」「明治の字体を読むには」「ひらがな」等のキーワードで検索したところ、次のウェブサイトに関連する記述がありました。
岩見沢公益社「相続の栞 3.戸籍の基礎知識 16.古い戸籍の文字」
(http://souzoku.kouekisya.com/3-16.html)
「明治~大正時代に作られた戸籍の場合、「変体仮名」が用いられている場合も多いので、戸籍を読み取るには独特の読解力も必要になります」として、「変体仮名とその字母の一覧表」を掲載しています。
コトバンク内『日本大百科全書』「変体仮名」の項目によると、「平仮名の字体のうち、現在普通には用いられないもの。(中略)たとえば、アの音を表すものにも「あ」(安から)のほかに(阿から)、(悪から)などがあって併用されたが、1900年(明治33)の小学校令施行規則により学校教育での統一が行われ、標準の字体以外はしだいに使用されないようになり、現在に至っている」ということです。
県立図書館の蔵書検索システムで全項目「変体仮名」と検索して、【資料5】【資料6】及び以下の資料を見つけました。
『社会人のためのビジュアルカラー国語百科』(大修館書店編集部編 大修館書店 2015)
裏見返しに「変体仮名書体表」があります。
『字典かな 写本をよむ楽しみ』(笠間影印叢刊刊行会編 笠間書院 2003)
p. 8-71五十音順で字母と変体仮名を載せています。
『古文書入門 下』(歴史教育者協議会編 河出書房新社 2000)
p. 339-341「変体仮名一覧表」
「リサーチ・ナビ」(国立国会図書館)(http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/)で「変体仮名 戸籍」と検索して、【資料1】と以下の資料を見つけました。
『戸籍六法 平成25年版』(テイハン法令編纂部戸籍実務研究会編 テイハン 2012)
p. 1465-1468「変体仮名一覧表」平仮名とその字母、変体仮名とその字母を記載しています。
『人名用漢字と誤字俗字関係通達の解説』(日本加除出版株式会社編集部編 日本加除出版 2011)
p. 396-401「変体仮名一覧表」
また、県立中央図書館の書架で日本十進分類法728(書道)付近や811.5(仮名文字)、210.29(古文書)付近を確認して、【資料2】【資料3】【資料4】及び以下の資料を見つけました。
『かな用例字典』(中田易直編著 柏書房 1994)
国文資料編(古代・中世)、国文資料編(近世写本)、歴史資料編(古代・中世・近世)に分けられて、それぞれの中で五十音順に字母とその変体仮名を記載しています。
『書道百科事典』(阿保直彦編 木耳社 1991)
p. 256-269「変体がな一覧表」
『用例かな大字典』(中田易直[ほか]編 柏書房 1980)
上の『かな用例字典』と全く同じ内容です。
『図録・古文書入門事典』(若尾俊平編著 柏書房 1991)
p. 196-213「くずし字を読む 仮名 平仮名・変体仮名」
『古文書判読字典』(浅井潤子編 柏書房 1988)
p. 328-336「かな字母一覧」
『古文書大字典』(浅井潤子編著 柏書房 1987)
p. 356-364「かな字母一覧」
『新編 古文書入門』(高橋磌一編 河出書房新社 1984)
p. 407-409「変体仮名一覧表」
『図録 古文書の基礎知識』(若尾俊平編 柏書房 1979)
p. 118-123「くずし文字 かな(変体仮名)」
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 9版)
- 民法.民事法 (324 9版)
- 書.書道 (728 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『戸籍実務六法 平成28年版』(日本加除出版法令編纂室編 日本加除出版 2015)(0106528340)
- 【資料2】『古文書用字用語大辞典』(荒居英次[ほか]編集 柏書房 1980)(9102888754)
- 【資料3】『新編古文書解読字典』(林英夫監修 柏書房 1993)(9102888191)
- 【資料4】『変体がな解読字典』(竹田悦堂編 雄山閣出版 1998)(0105357300)
- 【資料5】『漢字くずし方辞典』(児玉幸多編 東京堂出版 1993)(9102944343)
- 【資料6】『図説かなの成り立ち事典』(森岡隆著 教育出版 2006)(0105949697)
- 【資料7】「文字情報基盤データベース」(情報処理推進機構)内「変体仮名一覧」(https://mojikiban.ipa.go.jp/1bf7a30fda/data/MJH)
- 【資料8】「学術情報交換用変体仮名」(情報処理推進機構・国立国語研究所)(http://kana.ninjal.ac.jp/)
- キーワード
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- 戸籍(コセキ)
- 仮名(カナ)
- 変体仮名(ヘンタイガナ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000218711