レファレンス事例詳細

※明確な証拠は無いが、そのように考えられており、そう記述されている一般的な印刷史の資料は多数ある。それらは既に目を通しているとのことなので、和書は通常の印刷史の類は外した。

後藤正昭『ブドウがブドウ酒にかわるとき』（中央法規出版 1997年）
p.80 「圧搾機と印刷文明」　より
　「1445年、ドイツのヨハン・グーテンベルクは活字の鉛鋳造に成功、これを組版にした。
　このとき彼は、ブドウ酒圧搾機を利用して加圧式の印刷機をつくり、活字による印刷を発明、印刷方法に革命をもたらしたのである。」

川俣正一、三谷正明監修『ワインと印刷』（開成出版　1995年）
　「はじめに」より
　　「印刷機械の生産性は、ブドウ絞り機をお手本にした初期の手動印刷機では毎時150枚程度でした。」

毎日新聞社(大阪) 工務局 編 ; 平野岑一『活字と活版』（毎日新聞社 1949年）
　p.20「…（中略）ヨーロッパで、印刷といふと、不便な木版によるものだけであつた、ばれんでごしごしこすりつけるので、裏面は顔料でよごれてしまひ、一面刷がやつとのことであつた、グーテンベルヒは、ぶどう汁をしぼる器具から、壓搾式の印刷機を思ひつき、とにかく、両面刷に漕ぎつけたのだった、…（後略）」

The British Library guide to printing : history and techniques
　p.38　「Printing press」より
　「Little is known about the presses used by the very earliest letterpress printer, though it is supposed that Gutenberg's presses derived from the wine press, which dates back to ancient Roman times.」

Moran, James. Printing Presses : history & development from the Fifteenth Century to Modern Times
p.16- 「The Beginning」
　　p.19 「It has been a tradition, particularly in Germany, that Gutenberg adapted a wine press,」
　の文章の前後数ページに渡り、グーテンベルクが何にヒントを得て新たな印刷機を発明したか、当時存在した他の機械や後の時代の数々の文献を挙げて考証、推察している。

＊2014年追記＊
『印刷博物誌』p.454　「グーテンベルク時代の印刷所と印刷機」
『近代印刷のあけぼの：スタンホープと産業革命』p.33-　「第2部　ブドウしぼり機からの出発」