レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2025年08月26日
- 登録日時
- 2025/12/25 14:27
- 更新日時
- 2025/12/26 09:50
- 管理番号
- 千県中参考-2025-01
- 質問
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解決
神社は高台にあることが多いが、その理由を説明している本はあるか。
- 回答
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【資料1】から【資料6】は山岳や水源等に対する信仰心を表すため、【資料7】【資料8】は津波等の自然災害を避けるためという理由をあげています。
【資料9】【資料10】は両方の理由をあげています。
【資料1】『山に立つ神と仏 柱立てと懸造の心性史』
p184「第6章 祀り拝む場のしつらえ」に、信仰対象の岩を破壊することなく祀り、密接するために懸造という建築様式が用いられたことが記載されています。
【資料2】『日本人はどのように国土をつくったか 地文学事始』
p61「二章 秋津洲の山と川と神々」に、流水の疎通分配を司る水分神(みくまりのかみ)を祀る祭場として、山の高所や分水嶺が挙げられています。
【資料3】『神々の精神史』
p207-208「世捨てと山中他界」に、村落の周囲にある山岳が、現世から隔絶された他界の象徴として扱われ、禁忌や儀礼の場として用いられたことが記載されています。
【資料4】鈴木昭英「麓山信仰と修験道」
p15に、「はやま(麓山、葉山、羽山、半山、端山)」と呼ばれる山が全国に存在し、そのほとんどが山頂に麓山神社という小祠を祀っていることが記載されています。
【資料5】『仏教民俗学大系 3 聖地と他界観』
p33「聖域とその境界〈総論〉」に、山中に神霊や祖霊が集まるところを聖地と崇め、祭祀の場に祠堂・社寺の施設(奥宮)を、里近くに祭場(里宮)を設けて神霊・祖霊を祀ってきたと記載されています。
p107「山岳宗教における奥院と里宮―大峰山の弥山を中心に―」に、聖地とされる山・島やそこに存在する木・岩・洞窟などを祀るために祠堂や社寺が作られたことが記載されています。
【資料6】藤田直子, 熊谷洋一「GIS解析による都市における神社・寺院・公園の立地地点の分布形態の差異に関する研究」
p19に、神社が斜面に分布しているという調査結果の理由として、河川・海・樹木を神体とする神社があること等が記載されています。
【資料7】『神社は警告する 古代から伝わる津波のメッセージ』
p42-44「第一章 神社の手前で津波が止まった?」にて、来歴を辿ることができないような古い神社ほど津波の被害を免れていることから、長い年月のなかで幾度もの天災を経て、その立地を確立してきたのではないかと考察されています。
【資料8】宇多高明, 三波俊郎, 星上幸良, 酒井和也「2011年大津波の災害と被災を免れた神社」
pⅠ_43に、東北地方太平洋沖地震に伴う津波被害について、海岸線近傍の神社のほとんどが津波災害を免れたという調査結果を記載しています。また、その理由として、長い年月にわたる苦労の記録を子孫に伝えるために、安全な場所に神社を建てたのではないかと推察しています。
【資料9】高田知紀, 桑子敏雄「由緒および信仰的意義に着目した神社空間の自然災害リスクに関する研究 和歌山県下の398社を対象として」
p144「2.2 祭神によって異なる津波被害の重度」に、源氏の氏神である八幡神を祀る神社は、源氏が戦争で陣を張った場所、すなわち交通の要所や周囲の様子を見渡せる小高い丘であり、それに加えて水資源の確保が容易な場所に多く建てられたと考えられると記載されています。
p148「4.3 熊野系神社」に、熊野三山を総本社とする熊野系神社は、三山の信仰という背景から高所に建てられたと考えられると記載されています。
p150「5. 結論と今後の展望」に、現在の神社の立地について、建立・管理する人々が自然災害のリスクを避けることを重視した結果であるという考え方や、災害発生後に人々によって遷されたという考え方が記載されています。
【資料10】高田知紀, 梅津喜美夫, 桑子敏雄「東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置に関する研究」
pⅠ_169に、「昔の人びとは、津波や洪水の被害を受けないように、高台の安全な場所に神社を配置していたのだと考えられる。」と記載されています。
pⅠ_170「(1)スサノオを祀った神社」に、スサノオは水害や疾病等のリスクに対する神徳をもつ神であることから、その神社も災害時に安全な場所に建てられたという考え方が記載されています。
pⅠ_170-Ⅰ_171「(2)熊野系神社」に、「熊野神社が海岸沿いに建てられる場合にも、水際の低地ではなく、海岸線からやや奥まった場所か、あるいは山として見立てることができる丘陵の上が選ばれていたと考えられる。」と記載されています。
- 回答プロセス
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(1)当館蔵書検索システムでの全項目検索
・「神社」と「山岳崇拝」をかけ合わせて検索した結果から【資料1】を見つけた。
・「異界」と「信仰」をかけ合わせて検索した結果にあった『日本人の異界観 異界の想像力の根源を探る』(小松和彦編 せりか書房 2006)のなかから、キーワード「山中他界」「山中他界観」を見つけた。
(2)NDLサーチ(https://ndlsearch.ndl.go.jp/)でのキーワード検索
・「山中他界」で検索した結果から【資料3】【資料5】を見つけた。
(3)CiNii Research(https://cir.nii.ac.jp/)でのフリーワード検索
・「神社 立地」で検索した結果から【資料6】【資料9】を見つけた。
(4)発見した資料の参考文献のうち当館所蔵資料の調査
【資料3】の引用文献として【資料4】が紹介されていた。
【資料6】の参考文献として【資料2】が紹介されていた。
【資料9】の参考文献として【資料7】【資料8】【資料10】が紹介されていた。
(インターネット最終アクセス:2025年8月26日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 神社.神職 (175 9版)
- 日本の建築 (521 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『山に立つ神と仏 柱立てと懸造の心性史』(松崎照明著 講談社 2020.5)(1102566999)
- 【資料2】『日本人はどのように国土をつくったか 地文学事始』(上田篤編 学芸出版社 2005.4) (2101807070)
- 【資料3】『神々の精神史』(小松和彦[著] 講談社 1997.5)(0105220529)
- 【資料4】鈴木昭英「麓山信仰と修験道」(『日本民俗学会報』32号 1964.2)p15-21(0502806824)
- 【資料5】『仏教民俗学大系 3 聖地と他界観』(桜井徳太郎編 名著出版 1987.12)(9102266146)
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【資料6】藤田直子, 熊谷洋一「GIS解析による都市における神社・寺院・公園の立地地点の分布形態の差異に関する研究」(『景観生態学』12巻1号 2007.12)p9-21
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jale2004/12/1/12_1_9/_article/-char/ja/) - 【資料7】『神社は警告する 古代から伝わる津波のメッセージ』(高世仁著 講談社 2012.11)(2102547500)
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【資料8】宇多高明, 三波俊郎, 星上幸良, 酒井和也「2011年大津波の災害と被災を免れた神社」
(『土木学会論文集B3(海洋開発)』68巻2号 2012.9)pⅠ_43-Ⅰ_48
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejoe/68/2/68_I_43/_article/-char/ja/) -
【資料9】高田知紀, 桑子敏雄「由緒および信仰的意義に着目した神社空間の自然災害リスクに関する研究 和歌山県下の398社を対象として」(『実践政策学』2巻2号 2016)p143-150
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ppseb/2/2/2_143/_article/-char/ja) -
【資料10】高田知紀, 梅津喜美夫, 桑子敏雄「東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置に関する研究」(『土木学会論文集F6(安全問題)』68巻2号 2012)pⅠ_167-Ⅰ_174
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejsp/68/2/68_I_167/_article/-char/ja/)
- キーワード
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- 神社(ジンジャ)
- 神社建築(ジンジャケンチク)
- 山岳崇拝(サンガクスウハイ)
- 山岳信仰(サンガクシンコウ)
- 津波(ツナミ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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【調査したが回答が得られなかった資料】
・『小学生博士の神社図鑑 ぼくの近くにはどんな神さまがいるの?』(佐々木秀斗著 桜の花出版 2022.9)
・『日本の神社と「神道」』(井上寛司著 校倉書房 2006.12)
・『ムラとマチの時空 社会と暮らしの地理』(橋本征治著 関西大学出版部 2008.3)
・『神道がよくわかる本』(阿部正路著 PHP研究所 1997.8)
・『聖地への信仰 地理学からのアプローチ』(川合泰代著 古今書院 2020.4)
・『山岳信仰と村落社会』(西海賢二編 岩田書院 2012.10)
・『神社の成立と展開』(白山芳太郎著 富山房企畫 2021.11)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000378479