レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年04月25日
- 登録日時
- 2024/04/01 15:12
- 更新日時
- 2024/09/12 13:21
- 管理番号
- ASN2022-14
- 質問
-
大正から昭和10年代(1912~1935)の職業観(転職に関する考え方)について知りたい。
【情報源・背景】
織田作之助「俗臭」について主人公の職業や仕事の話を書いた作者の意図を分析する。
主人公が転職を繰り返して金持ちになっていく話であるため、時代背景を知りたい。
- 回答
-
当時の職業案内や労働問題など、周辺の情報も含めて紹介します。
詳細は解答プロセスをご参照ください。
- 回答プロセス
-
1.基本事項の確認
1-1.ジャパンナレッジ[契約データベース] <全文検索:俗臭、織田作之助>
「俗臭」の時代背景に関する情報はない。
次の資料に芥川賞候補時の選評を確認できる。
「文藝春秋 昭和15年3月号 第十八巻第四號 三月特別號」(『文藝春秋 2 昭8-16(1933-1941)』)
p.361、362、364、365、368
1-2.レファレンス資料 <分類:910(日本文学)、366(労働)>
『日本近代文学大事典 第1巻』(日本近代文学館編 講談社 1977 9103/N774/1A)
p.343-345 「織田作之助」
p.344 昭和14年9月に「海風」に載せた『俗臭』が、芥川賞候補
『昭和文学年表 第2巻 昭和11年〜昭和20年』(浦西和彦, 青山毅編集 明治書院 1995 91026/U84-6/2A)
p.136に「俗臭」の初出情報
昭和14(1939)年9月7日 「海風」5年1号 p.22-57
【★1】『近代日本職業事典』
巻末の参考文献を参照する。
巻末付録:p.507「明治大正期諸職業給与一覧」、p.510「昭和初期諸職業給与」
2.図書
2-1 .【★1】の参考文献より
2-1-1.本学図書館OPAC検索 https://www2.aasa.ac.jp/org/lib/
【★2】『職業づくし(現代漫画大觀第8編)』
中央美術社昭和3年刊の復刻。各職業の風刺画と解説。
【★3】『新版大東京案内』
昭和4年中央公論社刊の復刊。
p.263「生活の東京」 新職業の解説
p.309「細民の東京」貧民街の職業、生活について。
2-1-2.国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/
○回答に直接繋がる情報は無かったが、周辺情報の参考になるかもしれない。
【★4】『現代生活職業の研究:一名・最新職業案内』[インターネット公開]
当時の職業案内手引き書。p.249には「七、公益職業紹介所」の項目も確認できる。
求人と求職で求めるものが異なるため、容易に人や職が得られない、という記述あり
【★5】『東京大阪両市に於ける職業婦人調査』[インターネット公開]
p.9「第二章 職業別調査槪況」
タイピスト、店員、交換手、事務員の年齢、勤続年数、被服費年額、就職理由、就職経路など
p.209「第三章 勤務先別比較」
2-2 .OPAC検索 https://cat.lib.aasa.ac.jp/ <キーワード:大正 職業>
○次の資料は、回答に繋がる情報を確認できなかった
『大正期の職業婦人』(村上信彦著 ドメス出版 1983 366/MU43)
大正時代の職業に関する空気感は分かるが、女性に特化
『大正史講義, 文化篇』(筒井清忠編 筑摩書房 2021 21069/TS93-1/2)
『職業』(岩見照代監修 ゆまに書房 2016.4 36721/I94-1/22)
『大正という時代 : 「100年前」に日本の今を探る』(毎日新聞社編 毎日新聞社 2012 21069/MA31)
2-3.国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/
<キーワード:転職 大正時代、転職 昭和 初期、離職 大正時代、離職 昭和初期 など>
<キーワード:職業観 / 絞り込み 出版年:1920~1929 出版年:1910~1919>
<キーワード:転職 / 絞り込み 出版年:1920~1929 出版年:1910~1919>
【★6】『求職事情ニ關スル調査』 [インターネット公開]
昭和3年の調査内容で、転職した理由が記されている。
p.24「二、轉職ノ理由調」
など
○回答に直接繋がる情報は無かったが、周辺情報の参考になるかもしれない。
【★7】『現代日本小史』※2024.4現在 国立国会図書館内のみ
下巻 p.161-188 「第二章 大正時代における勞働問題と勞働者運動」
p.168-「第二節 大正後期の労働問題」
大正9年(1920)の恐慌が原因で軍需工場が一挙に倒壊、失業者が相次いで街頭に投げ出された、とあり。
2-4.Google ブックス https://books.google.co.jp/
書籍の全文検索ができるため、調査のヒントとして利用する。
<キーワード:転職 大正時代、転職 昭和 初期、離職 大正時代、離職 昭和初期 など>
○本学に所蔵していないため、他機関の資料で内容を確認するとよい。
【★8】『令和の主役はあなたです! : 新しい時代の生き方・働き方』
一部本文が、プレビューで確認できる。
p.40「定年制度が登場したのは大正時代末期から昭和の初期といわれています。」
「当時の工場労働者は、非常に転職率が高かった」
【★9】『「日本株式会社」の昭和史 : 官僚支配の構造』
一部本文が、プレビューで確認できる。
p.18「昭和初期には、日本はアメリカと同じくらい転職する割合が高かった。」
「このころ日本ではまだ終身雇用は一般的でなく、短期で職場を変わることが普通であった。」
3.論文
3-1.CiNii Research https://cir.nii.ac.jp/
トップ画面=「すべて」から「論文」に選択を変更してキーワード検索を行う。
<キーワード:転職 明治>→ 26件
【★10】安藤 りか "転職悪玉説の誕生をめぐる試論 : 明治時代後期に注目して"[PDF]
など
<キーワード:勤続 明治>→ 7件
【★11】千本 暁子 "明治期職員層における長期勤続奨励策とその系譜--三井のばあい"[送信サービス閲覧]
など
3-2.国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/
<キーワード:転職 大正時代、転職 昭和 初期、離職 大正時代、離職 昭和初期 など>
<キーワード:職業観 / 絞り込み 出版年:1920~1929 出版年:1910~1919>
<キーワード:転職 / 絞り込み 出版年:1920~1929 出版年:1910~1919>
增田義一”職業觀念の均一主義” 実業の日本 28(12) 1925.06
[国立国会図書館内のみ(書誌ID:000000010077)]
など
○回答に直接繋がる情報は無かったが、周辺情報の参考になるかもしれない。
【★12】小滝 一彦"戦間期における企業内教育訓練投資"[送信サービス閲覧]
第1次世界大戦(1914)から昭和恐慌(1930)に至る時期。雇い主側の視点
3-3.周辺事情を調査中に見つかった資料
【★13】大久保 幸夫"転職の常識は本当か (特集 日本の雇用--新しい現実)"
「1.人材は本当に流動化したのか」に「転職行動の歴史」について触れている部分がある。参考文献を参照するとよい。
【★14】北垣信太郎"東京帝国大学法科大学卒業生の進路分析"
東京帝国大学法科大学卒業生の進路を分析した論文。第1章の「4」に「昭和2年卒」の就職先の状況が分析されている。
⇒次のサイトで本文を確認できる。
東京大学文書館 https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/history/index.html
TOP画面「刊行物一覧」>「1. 定期刊行物(PDFで閲覧できます)」の
「『東京大学文書館紀要』(旧『東京大学史紀要』)(1978年より年1回発行)」を選択
>巻号一覧から該当の論文を選択
4.[3-3]の参考文献より
【★15】『能力を楽しむ社会 : 負け組をつくらない日本型モデルの構想』
p.22- 「雇用システムの近代化 明治時代から戦争直前まで」
5.新聞
失業・就職難に関する記事、職業紹介所に関する記事を確認する。
5-1.レファレンス資料 <分類:2106(日本史--明治・大正)、2107(日本史—昭和)>
【★16】『大正ニュース事典』
「総索引巻」より記事を探す
[検索例] 事項別索引より 職業紹介所⇒ 2巻p.283 4巻p.172、345、347、5巻p.374
4巻(大正8年・9年)
p.345~351 失業に関する記事
p.347「求人求職の調節がうまくいかない」(大正9年6月24日 東京日日新聞) など
【★17】『昭和ニュース事典』
「総索引巻」より記事を探す
[検索例] 事項別索引より 就職率⇒2巻p.254 職業紹介所⇒1巻p.249、318
1巻(昭和1年~昭和3年)
p.318「初日に大学卒業生ら二百余人が来る」(昭和2年5月8日 時事新聞夕刊) など
2巻(昭和4年・5年)
p.183-187「失業問題」
p.253-258「就職難」
p.186「知識階級失業者、二日間に五千余人が登録」(昭和5年5月21日 中外商業新聞)
など
5-2.データベース <キーワード:職業観、転職 など>
次の新聞データベース、時代を「大正・昭和戦前」に絞って検索する。
職業観に関する記事は少ないが、転職に関する記事が多数ある。転職に関する心持ちがうかがい知れる。
【★18】ヨミダス歴史館(読売新聞)[契約データベース]※2024.4 現在「ヨミダス」
“物価と俸給の調和 小学教員に転職の多い理由 都会ほど払底が甚だしい” 1919.06.09 朝刊 p.5
“[身の上相談] 転職したい女” 1920.03.23 朝刊 p.4
など
○次のデータベースでは、上記の検索方法では回答につながる記事を確認できなかった。
毎索(毎日新聞)
朝日新聞クロスサーチ
以上
<Web 最終確認 : 2022/5/9>
- 事前調査事項
-
【質問時に紹介した資料】
『近代日本職業事典』(松田良一著 柏書房 1993 366/MA74)
【質問者が行なう調査】
・『近代日本職業事典』で小説に登場する職業のことを調べる。
・作家研究から情報を調べる。
- NDC
-
- 労働経済.労働問題 (366 10版)
- 日本史 (210 10版)
- 参考資料
-
-
【★1】松田良一 著. 近代日本職業事典. 柏書房, 1993.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002295876 , ISBN 4-7601-1025-9 (当館請求記号:366/MA74) -
【★2】田口鏡次郎編. 職業づくし. 大空社, 2010.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1130000797332860928 (当館請求記号:7261/G341/8) -
【★3】今和次郎 編. 新版大東京案内. 批評社, 1986.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001810811 (当館請求記号:29136/KO71) -
【★4】東京職業研究所 編. 現代生活職業の研究 : 一名・最新職業案内. 東京職業研究所, 1923.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000583972 (インターネット公開) -
【★5】東京大阪両市に於ける職業婦人調査 : タイピスト・事務員・交換手・店員 昭和2年3月. 中央職業紹介事務局, 1927.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000627402 (インターネット公開) -
【★6】求職事情ニ關スル調査. 東京市, 1928.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008996104 (インターネット公開) -
【★7】矢内原忠雄 編. 現代日本小史. みすず書房, 1952.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000891974 -
【★8】蓑宮武夫 著. 令和の主役はあなたです! : 新しい時代の生き方・働き方. PHP研究所, 2020.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I030224609 , ISBN 978-4-569-84532-6 -
【★9】小林英夫 [ほか]著. 「日本株式会社」の昭和史 : 官僚支配の構造. 創元社, 1995.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002419622 , ISBN 4-422-30030-X -
【★10】安藤 りか. 転職悪玉説の誕生をめぐる試論 : 明治時代後期に注目して. 名古屋 : 名古屋学院大学総合研究所, 2021. 名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University. Social sciences 58(1) p. 107-126
https://doi.org/10.15012/00001340 (PDF) -
【★11】千本 暁子. 明治期職員層における長期勤続奨励策とその系譜--三井のばあい. 松原 : 阪南大学産業経済研究所, 1987. 阪南大学産業経済研究所報 / 阪南大学産業経済研究所 [編] (17) p. p59~61
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I2903410 (送信サービスで閲覧可能) -
【★12】小滝 一彦. 戦間期における企業内教育訓練投資. 東京 : 労務行政研究所, 1999-01. 労働統計調査月報 51(1) (600) p. 10~15
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I4650627 (送信サービスで閲覧可能) -
【★13】大久保 幸夫. 転職の常識は本当か. 東京 : 東洋経済新報社, 2007. (特集 日本の雇用--新しい現実) 一橋ビジネスレビュー / 一橋大学イノベーション研究センター 編 55(3) p. 34~46
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I9305337 (当館請求記号:ひ) -
【★14】北垣 信太郎. 東京帝国大学法科大学卒業生の進路分析. 東京 : 東京大学文書館, 2004-03. 東京大学史紀要 = Journal of the history of the University of Tokyo / 東京大学文書館 編(22) p. 1~24
http://hdl.handle.net/2261/0002001280 (PDF) -
【★15】大久保幸夫 著. 能力を楽しむ社会 : 負け組をつくらない日本型モデルの構想. 日本経済新聞社, 2000.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002899434 , ISBN 4-532-14843-X (当館請求記号:3364/O54) - 【★16】大正ニュース事典編纂委員会, 毎日コミュニケーションズ出版事業部編 内川芳美, 松島栄一監修. 大正ニュース事典. 毎日コミュニケーションズ, 1986-1989. (当館請求記号:071/TA24/*)
- 【★17】昭和ニュース事典編纂委員会, 毎日コミュニケーションズ編集製作 内川芳美, 松尾尊兌. 昭和ニュース事典. 毎日コミュニケーションズ, 1990-1994. (当館資料番号 2107/SH971/*)
- 【★18】ヨミダス[契約DB] (読売新聞記事検索)
-
【★1】松田良一 著. 近代日本職業事典. 柏書房, 1993.
- キーワード
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- 転職
- 職業
- 職業選択
- 大正時代
- 昭和初期
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 転職
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000348454