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＜所蔵資料からの調査＞
「伊能嘉矩　遠野学叢書　１０」p3より略歴
　伊能嘉矩（いのう　かのり）
慶応３年（1867）遠野南部氏の城下町遠野に生まれ、明治26年東京帝国大学の坪井正五郎から人類学を学ぶ。明治28年（1895）台湾に渡り10年間にわたり台湾原住民族の調査・研究を行う。遠野に帰ってからは台湾研究を進める傍ら、柳田国男や佐々木喜善、ネフスキーなどの民俗学者と交流し、「遠野物語」の成立にも影響を与えた。大正14年（1925）に亡くなる。台湾研究の大著「台湾文化誌」は、現在も国際的に高い評価を受けている。

「伊能嘉矩氏と台湾研究」（宮本　延人　遠野市教育委員会　1982）p5に伊能嘉矩先生顕彰碑の碑文と建碑の由来に法政大学総長中村哲撰書とある。

「現代日本朝日人物事典」（朝日新聞社　編　朝日新聞社　1990）p1171より
　中村　哲（なかむら・あきら　1912.2.4～）東京都生まれ。憲法・政治学者。1934（昭9）東大政治学科卒。台北帝大教授を経て、46～82年法政大学法学部教授。大学紛争期の総長などのほか、日本政治学会理事長、私大連盟や大学設置審議会などの各種の要職を歴任した。（後略）
「柳田国男の思想　新版」（中村　哲　法政大学出版局　1974）p284からp288のあとがきに柳田民俗学や台湾について述べられていて、特にp287に
かつての偉業であった台湾総督府の旧慣調査事業を継承するのだというひそかな自負があった。
とあり、伊能嘉矩の台湾研究を継承し、中村哲氏が台湾研究をしていることがわかる。

日本近現代人名辞典　（臼井勝美［他］　吉川弘文館　2001）p79より
　いたざわたけお　板沢武雄　1895～1962　昭和時代の歴史学者。特に日蘭交渉史の専門家。（中略）「台湾文化誌」の著者伊能嘉矩の家に寄寓してその感化を受けた。（中略）宮内省図書寮や学習院教授、東大講師を経て、昭和十三年（一九三八）東大文学部助教授、ついで同十七年教授の任に就いたが太平洋戦争終戦ののち職を退いて郷里の観音寺の復興に努め、同二十七年から法政大学文学部教授として没年に及んだ。（後略）
とあり、板沢武雄が伊能嘉矩の感化を受けており、法政大学の教授であったことがわかる。