レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年08月09日
- 登録日時
- 2017/08/09 14:02
- 更新日時
- 2017/08/31 13:47
- 管理番号
- いわき総合-地域514
- 質問
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解決
いわき市好間町の古河好間炭礦跡には「産業戦士の像」があるが、そこにある説明文には、「北海道から九州にかけて軍需省の指定した11箇所の優良工場に像を制作しました」と書かれている。この11箇所がどこか知りたい。
- 回答
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『山本作兵衛と炭鉱(ヤマ)の記録』(平凡社 2014)の「立ち尽くす混凝土(コンクリート)‐十一体の坑夫像」(P113-117)に、詳しい記述と各地の像の写真が掲載されています。これによれば、以下のとおりです。
①北海道夕張市 北炭夕張炭鉱
②北海道芦別市 三井芦別炭鉱
③北海道空知郡上砂川町 三井砂川炭鉱
④福島県いわき市 古河好間炭礦
⑤福島県いわき市 常磐炭礦(現在は、いわき市石炭・化石館敷地内に移設)
⑥新潟県長岡市 東山油田
⑦新潟県出雲崎町 西山油田
⑧新潟県新潟市 新津油田
⑨福岡県水巻町 日炭高松炭鉱第一鉱(昭和41年解体)
⑩福岡県水巻町 日炭高松炭鉱第二鉱
⑪九州(所在不明) 「滅敵」の像
これらの像の制作者は、「軍需生産美術推進隊」(1944年4月結成)彫塑班メンバーである、中村直人(なかむら なおんど)、圓鍔勝三(えんつば かつぞう)、木下繁、林是(はやし なおし)、古賀忠雄、野々村一男、長沼孝三、峯孝、川上金治などです。
この「軍需生産美術推進隊」をキーワードに、「国立国会図書館デジタルコレクション」(http://dl.ndl.go.jp/)で検索すると、「Hill Wind 三重県立美術館ニュース №38」がヒット。「71年ぶりの邂逅‐1940年代展拾遺」(P3-4)に、新潟にある3体の像について、写真入りで解説がありました。[最終アクセス2017.8.9]
また、「国立国会図書館サーチ」(http://iss.ndl.go.jp/)で「軍需生産美術推進隊」を検索すると、「近代日本における戦争と彫刻の関係-軍需生産美術推進隊を中心に(迫内祐司)」(『鹿島美術財団年報 別冊 27号』P67-77収録)という論文がヒット。本資料はいわき市立図書館では所蔵がないため、遠隔複写サービスを案内しました。[最終アクセス2017.8.9]
- 回答プロセス
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1.資料を調査
上記回答のとおり。
なお、いわき市内にある2点の像についての資料は、次のとおり。
・『炭鉱(ヤマ)へのまなざし』(いわき市立美術館 2004)
P25-26に像の写真あり。P214-216に解説あり。
・『常磐炭田史研究 創刊号』(常磐炭田史研究会 2004)
P37-38に2点の「産業戦士の像」についての記述あり。
・『常磐炭田史研究 第2号』(常磐炭田史研究会 2005)
P14-18に、いわき市石炭・化石館敷地内にある、元常磐炭礦の「坑夫の像」についての記述あり。
これによれば、元の題字は「総蕨起(そうけっき)」であること、像のモデルなどについての記述あり。
・『「セメント彫塑と直人」修復と保存』(相場啓介 中村直人彫刻絵画調査研究所 2013)
・「ヤマに仰ぐ「總蹶起」像」(「毎日新聞 福島版」昭和19年10月20日4面)
「日本一の“進発”像」(「毎日新聞 福島版」昭和19年10月24日2面) ともに完成当時の新聞記事。
- 事前調査事項
- NDC
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- 石炭 (567 9版)
- 彫刻 (710 9版)
- 参考資料
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- 【資料①】『山本作兵衛と炭鉱(ヤマ)の記録』[K/567/ヤ・1114068628]
- 【資料②】「Hill Wind 三重県立美術館ニュース №38」[国立国会図書館デジタルコレクション]
- 【資料③】『炭鉱(ヤマ)へのまなざし』[K/567/ヤ・1111908974]
- 【資料④】『常磐炭田史研究 創刊号』[K/567/ジ-1・1111901375]
- 【資料⑤】『常磐炭田史研究 第2号』[K/567/ジ-2・1111914089]
- 【資料⑥】『「セメント彫塑と直人」修復と保存』[K/712/ナ・1114628751]
- 【資料⑦】「毎日新聞 福島版」(昭和19年10月)[電動書庫]
- キーワード
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- 産業戦士の像
- 坑夫の像
- 坑夫像
- 軍需生産美術推進隊
- 古河好間炭鉱 古河好間炭礦 古河好間炭砿
- 常磐炭鉱 常磐炭礦 常磐炭砿
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000220164