レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年07月04日
- 登録日時
- 2024/05/04 16:50
- 更新日時
- 2024/05/10 21:53
- 管理番号
- 県立長野-24-028
- 質問
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解決
「エプソン」ブランドが誕生したのはいつか。また、ハンドヘルド・コンピュータHC-20の発表、発売はいつか。
- 回答
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1 「エプソン」ブランドの誕生・制定について
『究め極めた「省・小・精」が未来を拓く』 大河原克行著 ダイヤモンド社 2015【N549/16】p.19に1975年6月12日、信州精器は、新たなブランド「EPSON」を制定したと発表した。このブランド名は、1968年9月に出荷を開始した小型軽量デジタルプリンター「EP-101」に由来する。
とあった。また、『年表で読むセイコーエプソン[1881〜2000年]』 セイコーエプソン編 セイコーエプソン 2001 【N549/8】に
「1975年(昭和50年)6.12「EPSON」ブランド制定」
当社の現行社名「セイコーエプソン」のもととなった「EPSON」のブランドは、信州精器から市場に送り出す商品の一層の普及、販売促進とイメージアップを図るために、商標(ブランド)として制定した
とある。
2 ハンドヘルドコンピューター HC-20の発表・発売について
HC-20の発売については、複数の文献に1982年7月という記述があったが、日付についての記載があるものは確認できなかった。
『究め極めた「省・小・精」が未来を拓く』p.501982年7月に発売したハンドヘルドコンピューター「HC-20」は、セイコーエプソンの小型軽量技術を世界中に知らしめるきっかけになった製品だといえるだろう。
『年表で読むセイコーエプソン[1881〜2000年]』p.109
1982年(昭和57年)7月 世界初のハンドヘルドコンピュータHC-20、HX-20(海外)
『日本経済新聞』昭和57年(1982年)10月8日 11面
「携帯型パソコン大もて-営業マン狙い新機種続々、OA機器メーカー参入で相次ぐ。」
この七月から出荷を始めたエプソンの携帯型パソコン「エプソンHC-20」は、大きさがA4判で総重量がわずか一・六キログラム、メモリー容量が最大五十六キロバイトと大きく、ビジネス用にも十分使える。発売以来、需要は好調で、今年度当初八万台の生産計画をこのほど倍以上の二十万台に上方修正し、生産ラインの拡張に踏み切った。
発表に関しては、『信濃毎日新聞』1981年10月21日付記事に、1981年10月20日に始まったデータショウで「前日発表したハンドヘルド(持ち運び自由)コンピューター「HC-20」を展示」とあるので、発表したのは1981年10月19日だと考えられる。また、1981年10月20日付の『日経産業新聞』には、10月19日にHC-20を「発売」とあるが、ほかの文献では1982年7月となっているものが多数ある。
『信濃毎日新聞』昭和56年(1981年)10月21日 朝刊6面
「東京・晴海の「データショウ’81」信州精器など103社 パソコン、多数の新機種」
コンピューターと関連機器の新製品、新システムを展示した「データショウ’81」は二十日、東京・晴海の東京国際貿易センターで二十三日までの日程で開き、初日だけで約二万七千人が入場する盛況となった。(中略)信州精器は、一号館から三号館までの会場のうち一号館に出展。同館でもっとも広い二百平方メートルのコーナーに、「世界でトップシェア」を誇るミニプリンター(印字機)やオフコンなどのほか、前日発表したハンドヘルド(持ち運び自由)コンピューター「HC-20」を展示。
『日経産業新聞』昭和56年(1981年)10月20日 4面
「諏訪精工舎と信州精器、OAに本格進出-超小型パソコン・日本語WPなど発売。」
セイコー・グループの諏訪精工舎(本社長野県諏訪市、社長服部一郎氏、資本金九億円)と信州精器(本社長野県塩尻市、社長中村恒也氏、資本金八億百九十万円)の両社は十九日、パーソナルコンピューター、日本語ワードプロセッサー(文書作成編集機)および各種周辺装置などを発売(中略)両社が今回発売したのは、携帯に便利なハンディ・タイプの「ハンドヘルド・コンピュータHC-20(中略)出荷は「QC-20」が十二月から、それ以外はすべて来年春からの予定。3.エプソンへの商号変更
複数の文献に1982年7月23日という記述があった。
『年表で読むセイコーエプソン[1881〜2000年]』p.110「1982年(昭和57年)7.23 信州精器(株)、エプソン(株)に社名変更」
EPSONの知名度が急速に高まるなか、信州精器(株)は、7月23日付をもって社名をエプソン(株)と改め、創立20周年と合わせて記念式典を行った。『日経産業新聞』昭和57年(1982年)7月21日 5面
「信州精器、社名を『エプソン』に変更-知名度の高いブランドをそのまま社名に。」
信州精器(本社長野県諏訪市、代表取締役専務中村恒也氏、資本金八億百九十万円)は二十三日付で社名を「エプソン」に変更する。
- 回答プロセス
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1 「EPSON」の可能性もあるが、書名であればヨミは「エプソン」となるため、「エプソン」で、当館蔵書を検索する。ヒットしたものの中から、社史や会社を紹介する資料を調査する。
2 HC-20の発売については、月までの記述はあるが日付がはっきりしないので、当館契約の新聞データベース「日経テレコン21」および「信濃毎日新聞データベース」でも検索する。1981年10月20日付の『日経産業新聞』には、10月19日にHC-20を「発売」とあったが、1で調べた書籍類の多くは、1982年7月となっているものが多数。「信濃毎日新聞」昭和56(1981)年10月21日付の記事では、「発表」としている。
3 社名変更の新聞記事を、2で使ったデータベースで探す。
<調査済資料>
・『セイコーエプソン知られざる全貌』 青柳一弘著 日刊工業新聞社2000【N549/6】
・『エプソン「挑戦」と「共生」の遺伝子』 加藤良平著 実業之日本社 2004【N549/7】
・『セイコーエプソン物語』 伊藤岩廣著 郷土出版社 2005【N549/9】
・『意志あるところに道は開ける』 安川英昭著 学芸みらい社 2015【N549/15】
・『長野が世界に誇りたいものづくりの会社』 SBC信越放送著 あさ出版 2013【N509/22】
- 事前調査事項
- NDC
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- 企業.経営 (335 10版)
- 情報工学 (548 10版)
- 情報学.情報科学 (007 10版)
- 参考資料
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大河原克行 著. 究め極めた「省・小・精」が未来を拓く : 技術で驚きと感動をつくるエプソンブランド40年のあゆみ. ダイヤモンド社, 2015.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I026521321 , ISBN 978-4-478-06636-2 (【N549/16】) -
年表で読むセイコーエプソン 1881〜2000年. セイコーエプソン, 2001-02.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I20111000000094924 (【N549/8】)
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大河原克行 著. 究め極めた「省・小・精」が未来を拓く : 技術で驚きと感動をつくるエプソンブランド40年のあゆみ. ダイヤモンド社, 2015.
- キーワード
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- エプソン
- 信州精器
- HC-20
- ハンドヘルドコンピュータ
- EPSON
- コンピュータ
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000349849