レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/03/24
- 登録日時
- 2023/03/30 00:30
- 更新日時
- 2023/03/30 00:30
- 管理番号
- 6001060573
- 質問
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解決
『摂津名所図会』巻之四 「竹田近江機捩劇場(たけだおうみからくりしばい)」には、舞台上に鳥がいるように見える。この鳥について記載されている資料はあるか。
- 回答
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■『日本名所風俗図会 10 大阪の巻』(角川書店 1980.6)
p.155に「摂津名所図会 巻之四」の「竹田近江機捩劇場」の挿絵が載っている。
挿絵中の文字の翻刻も載っており、「竹田近江機捩劇場(からくりしばゐ) 阿蘭陀(おらんだ)が足もかがまぬ目で見れば天地も動く竹田からくり」とある。
挿絵には舞台真ん中あたりに鳥がいるが、鳥に関する記載は見当たらない。
「竹田近江機捩劇場」の鳥に関して記載のある資料は次のとおり。
■『図典「摂津名所図会」を読む:大阪名所むかし案内』(本渡章/著 創元社 2020.6)
「第一章 大坂へ来たりし験 道頓堀のからくり芝居〔摂津名所図会 巻之四〕」に「竹田近江機捩劇場」の挿絵(p.12-13)があり、p.14-15に「オランダ人を仰天させた人気芝居 舞台に飛び出た諫鼓鳥」の項があり、「絵は、からくり芝居の舞台が山場を迎えたところ。出し物は『船弁慶』」(p.14)として次のような記載がある。
・「(一)人気演目『船弁慶』」
「不思議なのは舞台上手にあらわれた二羽のニワトリ。『船弁慶』にはニワトリが出る場面はない。」
・「(二)鳥の名は諫鼓鳥」
「太鼓からドロドロと出てきたのは、実は諫鼓鳥(閑古鳥)だった。」とある。「諫鼓鳥」については、民による諫言のための鼓が善政により叩かれなかった古代中国の伝承から派生した語とあり、「鼓が鳴らないので、とまった鳥が逃げないとの意。(中略)絵は『船弁慶』の演出に太鼓から飛び出す諫鼓鳥のからくりを描いた。」とある。(p.14)
■『大阪名所むかし案内:絵とき「摂津名所図会」』(本渡章/著 創元社 2006.9)
『図典「摂津名所図会」を読む:大阪名所むかし案内』と同じ著者による資料。概ね同内容の記載があるが、閑古鳥に関しては、古代中国の伝承と似た内容の桓武天皇の逸話が記載されている。
「第一景 道頓堀のからくり芝居〔摂津名所図会 巻之四〕 オランダ人を仰天させた人気芝居 舞台に飛び出た閑古鳥」(p.17-22)
・「二、鳥の名は閑古鳥」(p.20)
「太鼓からドロドロと出てきたのは、実は『閑古鳥』だった。(中略)名所図会は『船弁慶』『閑古鳥』という二つの人気芝居の見せ場をひとつの絵にして読者を二倍楽しませようとした。」とあり、『閑古鳥』という演目になったという桓武天皇の逸話について記載がある。
■『図説からくり人形の世界』(千田靖子/著 法政大学出版局 2005.11)
「第1章 からくり人形の世界 六 興行からくり人形 竹田からくり座」に『摂津名所図会』の「竹田近江機捩劇場」が載っており「オランダ人らが見ているのは水からくりも使った『船弁慶』か.太鼓と時を告げる『諫鼓鳥』も見える.」とある。(p.35)
[事例作成日:2023年3月24日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 人形.玩具 (759 10版)
- 日本 (291 10版)
- 参考資料
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- 日本名所風俗図会 10 角川書店 1980.6 (155)
- 図典「摂津名所図会」を読む 本渡/章‖著 創元社 2020.6 (12-15)
- 大阪名所むかし案内 本渡/章∥著 創元社 2006.9 (17-20)
- 図説からくり人形の世界 千田/靖子∥著 法政大学出版局 2005.11 (35)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪,図・絵
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000331240