レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年08月09日
- 登録日時
- 2018/08/09 13:39
- 更新日時
- 2022/08/30 17:06
- 管理番号
- 1866
- 質問
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解決
「相嵩」という言葉の意味を知りたい。
- 回答
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読みは「あひ(い)かさむ」、「あひ(い)かさみ」等。
「村入用相嵩」、「諸入用銀年々相嵩」、「拝借高相嵩返納難儀之趣」といった文で用いられる「相嵩」は「(数量が)増える、費用がかかる」の意で、語調を整えた、あるいは強調したものと思われる。
- 回答プロセス
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質問者がその言葉を見かけたという『古文書大字典』、『古文書字叢』を確認。
・『古文書大字典』(浅井潤子/編著、藤本篤/編著 柏書房 1987年)p.73項目「嵩(スウ、シュウ、かさ)」・・・「相嵩」等くずし字の字例あり。
・『古文書字叢』(根岸茂夫/[ほか]編集 柏書房 1990年)p.113項目「嵩(スウ、シュウ[シユウ]、かさ、かさむ)」・・・「村入用相嵩」、「諸入用銀年々相嵩」、「拝借高相嵩返納難儀之趣」等くずし字の文例あり。
『古文書字叢』の文例より「相嵩」は「あひ(い)かさむ」「あひ(い)かさみ」と読み、「(数量等が)増える」という意味だと推測。
国語辞典、古語辞典、古文書関連書の各項目を調査。
・『時代別国語大辞典 室町時代編 1 あ~お』(室町時代語辞典編修委員会/編 三省堂 1985年)
p.161「あひかさ・む[相嵩む]」・・・「『あひ』は強調の接頭辞。一定の基準以上に数量を増し加える。」
・『基礎古文書のことば』(秋山高志/監修 柏書房 2001年)
p.144「相[あい(アヒ)]」・・・「動詞について語調を整えたり語勢を強める接頭語。」
p.76「嵩[かさむ]」・・・「➀大きくなる。➁増える。➂費用がかかる。」
・『古語大辞典』(中田祝夫/[ほか]編 小学館 1983年)
p.53「あひ[相]」・・・「1.[名詞](略)2.[接頭]➀ともに、一緒に、互いにの意を添える。➁(➀の意が薄れて)心から、よく、それに対して、などの意、または強調の意を添える。」
p.351「かさ・む[嵩む](動詞活用ま・み・む・む・め・め)」・・・➀数量が大きくなる。かさ張る。増える。➁他に比べ程度が上になる。勝る。➂増長する。」
上記3冊より「相嵩」の読みは「あひ(い)かさむ」「あひ(い)かさみ」等だと思われる。
「相」、「嵩」には複数の意味があるが、『古文書字叢』の文例に出ている「相嵩」は「(数量が)増える、費用がかかる」の意で、語調を整えた、あるいは強調したものと推測される。
質問者に「相嵩」は複数の意味を持つ可能性があると伝え、上記3冊を提供した。
- 事前調査事項
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質問者によると、当館所蔵の『古文書大字典』『古文書字叢』で見かけた言葉とのこと。
- NDC
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- 日本史 (210 10版)
- 辞典 (813 10版)
- 参考資料
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- 古文書大字典
- 古文書字叢
- 時代別国語大辞典 室町時代編 1 あ~お
- 基礎古文書のことば
- 古語大辞典
- キーワード
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- 古文書
- 日本語-古語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000240337