レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年08月18日
- 登録日時
- 2017/01/18 17:14
- 更新日時
- 2017/03/15 11:46
- 管理番号
- 埼熊-2016-080
- 質問
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解決
大宮の氷川神社に伝わっていたとされる氷川暦(大宮暦)について記述のある資料があれば教えてほしい。
- 回答
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以下の資料を紹介した。
1 図書
『埼玉大百科事典 4』(埼玉新聞社 1975)
p262「氷川暦」に「氷川暦は別名大宮暦とも言う。」などの記述あり。出典資料として「北条五代記」「新編武蔵風土記」が挙げられている。
『国史大辞典 2 う-お』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1980)
p695「おおみやごよみ 大宮暦」あり。
「大宮暦の資料はきわめて乏しく、いつごろからあったものか明らかでない。」
「『新編武蔵風土記』一五三によれば斎藤某が武蔵国大宮氷川神社から出していたものという。」などとあり。
『大宮市史 第3巻 中 近世編』(大宮市 1978)
p49-53に「大宮暦」の項目あり。「北条五代記」などの資料からの引用や、関係記述あり。
『日本の暦』(岡田芳朗著 新人物往来社 1996)
p197-200 「大宮暦」の項あり。
『三島暦と日本の地方暦展』(三島市郷土館編 三島市教育委員会 1987)
p2「大宮暦師被官の文書(河合家文書)」(古文書のカラー写真)あり。
p29「三島暦と大宮暦」の項目あり。慶長9年の大宮真似暦事件で、大宮の暦師は遠島に処されるところを、三島暦の版元河合家の被官となることで許されたことがp2掲載写真の古文書に記録されているとの記述あり。
『暦』(渡邊敏夫著 恒星社 1937)
p230-231「大宮暦」の項あり。
『暦学史大全』(佐藤政次編著 駿河台出版社 1977)
p1086「第十三章 大宮暦について」あり。
『暦と日本人』(内田正男著 雄山閣出版 1992)
p242-243「暦日相違」の項に、三島暦と大宮暦との相違による一件について、『新編武蔵風土記稿』と『北条盛衰記』の関係記述部分が引用されている。
『暦 日本史小百科 5』(広瀬秀雄著 近藤出版社 1978)
p156-157「三島暦の日付」の項に、桃裕行氏の論文を紹介する形で、三島暦と大宮暦との相違による一件について、『新編武蔵風土記稿』と『北条五代記』の関係記述部分が引用されている。
p157-158「地方暦」の項に、江戸時代以前に存在した地方暦の一例として、「大宮暦」の記述あり。
『日本の暦』(渡辺敏夫著 雄山閣 1977)
p291-292「第八章 三島暦 第二節 暦日相違のこと」の項に、三島暦と大宮暦との相違による一件について、近藤正斎『好書故事』の関係記述部分を引用している。
p297-298「第九章 大宮暦」の項あり。
『暦と迷信』(鈴木敬信著 恒星社厚生閣 1952)
p146-147 「大宮暦」の項あり。詳細は不明とし、「北条五代記」の関係記述部分が引用されている。「朝廷から頒布の暦を復刻したものでなく、誰か暦に詳しい人が作り出したものと思われる。」との記述あり。
2 雑誌記事
松本宏著「暦の歴史と地方暦-大宮暦を偲んで」(『大宮の郷土史 24』p1-8 大宮郷土史研究会 2005)
p3「五、『大宮暦』について」に「(前略)これは武蔵一宮である大宮氷川神社から頒布された暦であったが、現在のところ実物が知られていないのでその性格や形態は分からない。」
沼田尚道著「大宮暦と北原村の暦新田-昔、一宮に頒歴あり」(『大宮の郷土史 31』p54-66 大宮郷土史研究会 2012)
p57「天正年間に停止されたという大宮暦」
「歴史学者で東大名誉教授の桃裕行は、その著作「暦法の研究」において、「新編武蔵風土記稿」が記した大宮暦が停止されるきっかけとされる三島暦と閏月の違いについても言及しつつ、武蔵氷川社発行の大宮暦は恐らく京暦と同じであったと述べています。」
岡田芳朗著「地方暦総覧 : 全国各地に伝わるさまざまな暦を検証する (特集 知っておきたい旧暦の楽しみ方)」(『歴史読本 2012年10月 57-10』p164-177 新人物往来社 2012)
p169「大宮暦」について三島暦との相違や、大宮の暦師が三島暦の偽暦を作り、その罪により流刑に処せられるところを三島暦師の家人になることで赦されたなどの記述あり。
- 回答プロセス
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1 参考図書類を確認する
2 自館目録を〈大宮暦〉〈氷川暦〉で検索するが該当なし。
3 《国会図書館レファレンス協同データベース》(https://crd.ndl.go.jp/reference/ 国会図書館)を〈大宮暦〉で検索する。
「大宮暦の現物を見てみたい。(さいたま市立中央図書館)」(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000188622 国会図書館)
回答は「現物はない」としている。参考資料にあげている『大宮市史 第3巻 中 近世編』(大宮市 1978)を確認する。
4 埼玉関係雑誌記事索引データベース(埼玉県立図書館)を〈氷川暦〉で検索するが該当記事なし。
埼玉関係雑誌記事索引データベース(埼玉県立図書館)を〈大宮暦〉で検索する。(回答情報)
5 沼田尚道著「大宮暦と北原村の暦新田-昔、一宮に頒歴あり」(回答情報)より「暦法の研究」を調査する
『桃裕行著作集 第8巻 暦法の研究 下』(桃裕行著 思文閣出版 1990)
p223「京暦と三島暦との日の食違いについて」
「(前略)もしこの伝えが天正十年のことを指しているとすれば、年末に至って月の大小の違いから、月の大小の違いから、閏月の異同を生じ、元日の慶賀が延期される基になった三島暦は、先の北条。上杉等の用いた暦と同一のものとなろう。そして武蔵氷川社発行の大宮暦は恐らく京暦と同じであったのであろう。」
6 自館所蔵の暦に関する資料を調査する
7 インターネット情報を調査する
《CiNii Articles》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)を〈大宮暦〉〈氷川暦〉〈地方暦〉〈関東 & 暦〉で検索する。
《国会図書館デジタルコレクション》(http://dl.ndl.go.jp/ 国会図書館)を〈大宮暦〉〈氷川暦〉〈地方暦〉〈関東 & 暦〉で検索する。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2016年8月16日。
- 事前調査事項
- NDC
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- 時法.暦学 (449 9版)
- 神社.神職 (175 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
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- 『埼玉大百科事典 4』(埼玉新聞社 1975)
- 『国史大辞典 2 う-お』(国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1980) , ISBN 4-642-00502-1
- 『大宮市史 第3巻 中 近世編』(大宮市 1978)
- 『大宮の郷土史 24』(大宮郷土史研究会 2005)
- 『大宮の郷土史 31』(大宮郷土史研究会 2012)
- 『桃裕行著作集 第8巻 暦法の研究 下』(桃裕行著 思文閣出版 1990) , ISBN 4-7842-0625-6
- 『日本の暦』(岡田芳朗著 新人物往来社 1996) , ISBN 4-404-02385-5
- 『三島暦と日本の地方暦展』(三島市郷土館編 三島市教育委員会 1987)
- 『暦』(渡邊敏夫著 恒星社 1937)
- 『暦学史大全』(佐藤政次編著 駿河台出版社 1977)
- キーワード
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- 氷川暦
- 大宮暦
- 氷川神社(さいたま市)
- 暦-歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000206743