レファレンス事例詳細

事例作成日: 2024年10月9日

登録日時: 2024/12/02 15:09

更新日時: 2024/12/15 17:31

提供館: 大阪成蹊大学大阪成蹊短期大学図書館 (3300041)

管理番号: OS2024-1

質問: 解決

日本で最初の図書館とされる湯島の書籍館では服装に制限があったと聞いたが、どんな服装の場合入館制限がかかるのか

回答: ①「書籍館書冊借覧規則」（明治5年六月）（国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開）に関連記述が見つかる。
以下抜粋
「・・・一借覧人ハ貴賤ヲ論セス毎日朝八字ヨリ夕四字迄ヲ限り候事　但半袂濶袖等ノ見苦敷風躰之者ハ不許入館候事・・・・」
当館所蔵資料の以下の書籍にも「書籍館書冊借覧規則」の全文掲載あり
■『図書館発達史』佐藤政孝著　みずうみ書房　1986年刊　P164-165
②「半袂濶袖等ノ見苦敷風躰之者」について
・「闊袖」とは・・袖口の下方、袂（たもと）の部分を縫い合わせない袖。広袖（ひろそで）。平袖（ひらそで）」（日本国語大辞典より）
・「半袂」では辞書等ではヒットせず。
③以下の文献を紹介する。
■『日本公共図書館の形成』永末十四雄著日本図書館協会 , 1984.4　P21　当館所蔵あり
「... 半袂濶袖等/見苦敷風体之者ハ不許入館候事」(同規則)と服装によって入館を規制したのは、利用者を階層的に限定する意図を示すものであった。知的特権を温存するというより、「博ク考古徴今」「著述編輯ノ便ニ供」(市川清流建白書)する学術図書館たらしめようとしたことによるものであろう・・・」
■『国文学年次別論文集: 国文学一般』1996年版Ｐ724　google books ..で以下の記述確認
「... 半袂濶袖等ノ見苦敷風体之者へ,不許入館候事。」「一借覧ノ者八,前以テ左之通り出銀相納メ可申事。このように「借覧人ハ貴賤ヲ論ゼズ」とはいうもののあとでは半袂=筒袖,濶袖=どてらなどを着ていて見苦しや職人が常用していたものであった。この事は身分的差別と言うべきであろう。・・・・・有料で一部知識人のためのものであったということができるであろう・・」
https://books.google.co.jp/books?id=U08jAQAAMAAJ&newbks=0&printsec=frontcover&dq=%E5%8D%8A%E8%A2%82%E3%80%80%E6%BF%B6%E8%A2%96&q=%E5%8D%8A%E8%A2%82%E3%80%80%E6%BF%B6%E8%A2%96&hl=ja&source=newbks_fb&redir_esc=y（2024.12.2確認）

回答プロセス: ①コトバンクやJapanKnowledgeで、”書籍館”でキーワード検索➡デジタル大辞泉、大日本百科全書、日本国語大辞典、図書館情報学用語辞典第5版、等に「書籍館」についての情報を確認するも服装による入館制限関連の記述はなし。　
「湯島の図書館とは明治5年（1872）年文部省が創設した東京都文京区の湯島聖堂内にあった図書館のこと」（デジタル大辞泉）
②ＮＤＬサーチで、”書籍館”でキーワード検索➡国立国会図書館デジタルコレクションに関連情報多数ヒット、
　➡国立国会図書館デジタルコレクションの「書籍館書冊借覧規則」（明治5年六月）に関連記述みつかる。以下抜粋
「・・・一借覧人ハ貴賤ヲ論セス毎日朝八字ヨリ夕四字迄ヲ限り候事　但半袂濶袖等ノ見苦敷風躰之者ハ不許入館候事・・」
③「但半袂濶袖等ノ見苦敷風躰之者」について調べる
Japanknowledgeで”濶袖”検索➡［クヮッシウ］【闊袖】袖口の下方、袂（たもと）の部分を縫い合わせない袖。広袖（ひろそで）。平袖（ひらそで）　※闊➡「濶」は俗字　「日本国語大辞典」より。　　「半袂」では辞書等ではヒットせず。
④Google Booksで”半袂濶袖”等のキーワード検索をし関連記述の文献複数ヒット、当館の所蔵の有無を調査し現物（書庫資料）で確認する。